【読書感想】ゴッホとの奇跡のストーリー:「たゆたえども沈まず」が綴る「世界を変える一枚」の創造
【小説】
「たゆたえども沈まず」原田マハ
令和2年4月10日初版発行
19世紀後半。
パリの美術界を舞台に、日本人画商と無名の画家ゴッホ、それを献身的に支える弟テオのアートフィクション。
今回もまた、どこまでがフィクションで、どこからがノンフィクションかが、わからなくなります。
マハさんの本は、最後まで一気に読み上げた後、あとがきまで読んで、やっと自分の中に落とし仕込むことができる、不思議な作品。
ジャポニズムが隆盛を極めた19世紀のパリで、懸命に生きる若者たちの姿が、今、目の前にありありと浮か日あがります。
大きなうねりはいつの時代にも起こり得ること。
今もきっとそう。
うちの中2の娘も、将来の仕事に関して、ものすごく不安を抱いています。
そんな娘に私も言いたい。
たゆたえども沈まない、けれども大波に立ち向かうばかりでなく、時には嵐が過ぎ去るのを揺さぶれられなが待つ「舟」のような心が、今の時代、めっちゃ必要なんじゃないか?ってね。
「世界を変える一枚」が生まれるまでの
奇跡のストーリー。
ゴッホの作品がまた見たくなる、そんな美術館へのチケットのような本です。