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11月17日 ドラフト話から【今日のものがたり】

 プロ野球のドラフト会議で指名された選手たちの入団内諾や仮契約のニュースをよく見るようになった。

 放課後の図書準備室。文芸部員である俺と大麦おおむぎ みやこは週3回ここで活動をしている。一番大きなイベントが学園祭で文芸誌を発行することで、それは先日何とか無事終了した。なので今はまったりそれぞれやりたいことをやる時間となっている。
 俺は来年の新入部員募集用の小冊子に載せる小説を考えているところだ。扱う題材を何にするか……野球……は前に書いたからなぁ。

「ねぇ、こいたん、、、、大翔たいしょうおじさんはドラフト会議で気になる選手がいたとか話してない?」

 大麦むぎがパソコンのキーボードを打ち続けながら問いかけてきた。こいたん、というのはむぎだけが使う俺の呼び名である。小井戸こいど 大心たいしんだから、こいたん。響きが恥ずかしいのだが、だからといってしっかり名前で呼ばれるとそれはそれでドキリとするのでこいたんでいいのかなとも思っている。ちなみに大翔おじさんというのは俺の父親のことだ。

「あーなんか、ネオゼフィルスに指名された外野手が気になるとか言ってたな。昨日だったか入団内諾のニュースがあったはず」
「ネオゼフィルスの外野手かぁ。こいたんもしっかりチェックしてるんだね」
「野球に関する情報は大切だからな」
「おじさん、めっちゃ野球好きだもんね」
「自分で草野球チーム作ってプレーまでしちゃうくらいにな」
「息子の大心くんはスコアラーになるし」
「半分、俺の趣味も入ってるんだけどな」

 そう、俺は親父の草野球チームの試合におけるいろいろなデータを収集し分析しているのである。野球のプレー経験はあるけど、俺に合っているのはこちらだなと、楽しくやらせてもらっている。

「久しぶりにおじさんとキャッチボールしたいなー。最近、おじさんたち練習してないよね?」
「そうだそうだ、言うの忘れてた。今週末、二ヶ月ぶりに練習するみたいだからむぎも来なよ」
「え、そうなの? 早く言ってよー。あーすごいモチベーションがあがってきた!」

 かたかたとむぎのキーボードを打つ音が本当に早くなった。わかりやすいなぁ、むぎは。そういうところがかわいいんだけど。うん、やっぱり次の小説も野球ネタでいこう。むぎもきっと楽しく読んでくれるはずだから。

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