1月22日　カレー味？ 全部入り？ 新商品の作り方【今日のものがたり】

　僕たちのお店、戸村ベーカリーは定番商品に加え、毎週何かしら新しいパンやサンドイッチを考えて販売している。今日はその開発会議の日だ。
　目の前には食パンの耳を切った四角いパンが置かれている。
「今回はサンドイッチね。ベースの味は何にしようか」
　里子さんの言葉に僕は笑顔でうなずく。
「カレー味のポテトサラダを具にしたいと思っているんだ」
「カレー味のポテトサラダって……なんでカレー味？」
　里子さんの疑問に僕はニヤリとする。今このシーンを漫画で描いてもらえていたら、目がキラリと光る演出もあったかもしれない。
「よくぞ聞いてくださいました！　里子さんもご存じの通り、戸村ベーカリーにはすでにポテトサラダサンドが定番商品としてあります。ですが、王道のポテトサラダだけでなく、ここは当店独自のカラーを出していきたく……」
「あなたと私の好きなカレー味を選択した、と」
　そう、ここが重要。僕だけでなく、里子さんもカレーが好きだからね。里子さんの表情が少しずつ変化していく。これは好感触だ。
「左様でございます。やっぱり作る者がおいしいと思うことが創作の大前提ですから」
「サラダにカニカマもいれたんだ」
「そこ！　よくぞ気づいてくださいました！」
「戸村くん、カニカマ好きだよね」
「なーんか好きなんですよね。ポテトサラダに入れることでちょっとしたおもしろ食感にもなるかなぁって」
「うん、このポテトサラダ美味しい。これだけでもいけるね」
　よし、新商品誕生だ！
「このサンドイッチの名前なんですけど……二人で考えたからラブラブサンドっていうのはどうでしょう？」
「……戸村くん？　いつも二人で考えてるでしょ？」
　里子さんの頬がすこし赤くなる。かわいい……おっと、惚気てしまった。すみません。
「名前もですが、いつから売り出しましょうか」
　僕は名前を考えるときに参考にしている本を開き、あるページで手が止まった。
「……里子さん、僕たち天才かもしれません」
　ごくりとつばをのみ込む。
「見てください、この1月22日。カレーの日で、カニカマの日で、さらにはラブラブサンドの日ですよ！　すごくないですか」
「なにその全部入り。しかもラブラブサンドって……？」
「北海道のメーカーさんが作っているサンドイッチみたいです。あ、このいちごホイップ＆チョコおいしそう」
「へぇ～でもこれ、何かに似ているような……」

　はい、このように戸村ベーカリーの商品は開発されております！　毎週楽しく、おもしろく、美味しいパンを生み出します！