第5球 プロ初○○
皆さま、こんにちは。千葉ホワイトシャークスの内野手・晴野航大(はるの こうた)です。
青葉(あおば)からの指名で今回のエッセイは僕が担当します。どうぞよろしくお願いします。
青葉とは同い年で、高校のころから存在は知っていました。2人とも甲子園には行けませんでしたが、縁あり、こうしてお互いプロ野球選手になれたのは幸せなことだと思います。もちろん、なれただけで満足せず、上を目指して日々精進します。
なんて、青葉は僕よりバリバリ一軍で結果を出しているので、一緒にするなと各方面から突っ込まれちゃいますね。
今季の青葉は一軍で18試合も先発していてすごいなと思って見ていました。二軍だとシーガルスターズはホワイトシャークスと同じリーグなので、青葉と対戦したことがこれまでに8回あるのですが、ヒットは強引に引っ張って一二塁間を抜けていった1回しかないです。
いつか、いや、近い将来、一軍で青葉と対戦したいですね。一軍だとリーグが違うので、なかなか対戦する機会は巡ってこないかもしれませんが、叶えたい目標の一つです。
前置き、というか青葉との話が長くなってしまいましたが、今回のエッセイテーマは『プロ初○○』でいこうと思います。
プロ初出場、初安打、初打点、初ホームラン……etc、僕は昨年プロ初出場し、初安打も記録しました。
初めて一軍の試合に出場したのはシーズン終了直前の9月で、チームの順位が確定したあとでした。いわゆる消化試合と呼ばれるもので、それでも一軍に呼んでもらえたことはすごくうれしかったです。プロ野球選手として一軍の試合に出ることは夢でしたから。
もちろん家族には昇格が決まってすぐに連絡しました。どんな形で試合に出られるかはわからないけど、ベンチ入りはするから見に来てと伝えました。寮から近いので、チケットを買ってすぐ実家まで持っていきました。
一軍にいる間はずーっとドキドキしていて、もう、がっちがちでしたね。僕、肩が凝ったことなんてなかったのに、トレーナーさんに硬すぎると苦笑いされてしまうくらいひどかったんです。ベンチに足引っかけてコケそうになるし、でもそのときコーチや監督、先輩方がみんな笑ってくれて、逆にその笑いで僕の緊張もほぐれたような気がします。
プロ初ヒットが出たのもコケそうになった直後で、来た球に対して素直にバットが出る、とはこういうことかというくらい自然なスイングができて、あ、これ打てた、と確信しながら一塁に駆け出してました。結果はセンター前ヒットで、自分の中ですごくすとんと納得できるヒットだったのがすごくうれしくて、しかもそれがプロ初ヒットでなんかダブルでうれしいみたいな気持ちになったことを今でも覚えています。
プロ初ヒットのボールはその日の試合後すぐに両親に手渡ししました。めっちゃ喜んでくれました。ものすごく久し振りに頭もなでられて、恥ずかしかったんですけど、とてもうれしかったです。
昨年は5試合で7打席立って、2安打でした。2本目のヒットはバントのサインで、三塁方向にうまく転がせた球がラインぎりぎりで止まる、ラッキーヒットでした。
そういえば、前回のエッセイで青葉がバントについて話していましたね。それを読んで、僕にバントのことを聞いてきた理由がわかりました。バントの失敗は……いやもう、大変なことです、これは。やべ、失敗した、めちゃ怒られる、とわかっていても顔には出せないし、ベンチの空気も重くなるし、だからといってベンチ裏にはいけないし、針のむしろってやつですね。僕も二軍の試合で失敗したことがあって、二軍の試合ですらそうなんですから、一軍は……推して知るべしです……。
今シーズン僕は一軍の試合に20試合出場することができました。ですが、このエッセイを読んで下さっている方々のほとんどが、晴野航大って誰? 状態だと思います。なので、来季は今年の倍は試合に出て、「晴野ってあのエッセイ書いていた奴か」と思い出してもらえるくらいの選手になりたいです。いや、なります!
初ホームラン……も打ちたいですが、それよりも僕は三塁打をたくさん打ちたいと考えています。三塁打ってホームランより数が少ないですし、なにより、二塁を回ったところでスタンドからの歓声がひときわ大きくなって、いけー! って雰囲気になるじゃないですか。そこがたまらなくて、試合が盛り上がるヒットの一つだと思っています。僕は足が武器でもあるので、名前を覚えてもらうためにも、三塁打をたくさん打ちたいと思っています。
なんて、今年の長打が二塁打2本だった奴が言うなよと、また突っ込まれそうですが、このオフからキャンプにかけてガツガツやっていくので、来シーズンどこかの球場で僕を見かけたら、こっそりでも良いので、応援よろしくお願いします。
それでは、次回のエッセイもお楽しみに。
千葉ホワイトシャークスの晴野航大でした。
◇晴野航大プロフィール◇
千葉ホワイトシャークスの若手内野手。今季は主に代走・守備固めとして20試合に出場。打席数が少ないながらも打率.294、7盗塁を記録。来季は走攻守すべてをレベルアップさせ、一軍定着、レギュラー選手を脅かす活躍が期待される。
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