4月28日 四つ葉のクローバーを探して【今日のものがたり】
「なぁ、どうして四つ葉のクローバーって見つけると幸せになれるんだろうな」
グラウンドの脇に草がたくさん生えているところがあって、私たちはそこで四つ葉のクローバーをよく探していた。
「本当にどうしてだろうね」
「めずらしいからじゃない?」
「宝くじで一等が当たるみたいな?」
「ゲンキンだなーおまえは」
「たとえだよ、たとえ」
みんなで笑い合った。四つ葉のクローバー探しをしている間、話が途切れることはなかった。不思議だ。なんであの頃は毎日毎日一緒にいたのに話すことが尽きなかったんだろう。
「今、思ったんだけどさ、こうやってさ、放課後に四つ葉のクローバーを探せていること自体が幸せなのかもな」
それはとっても幸せな考えだと思った。私はその言葉をドキドキする胸に抱きながら、本当に四つ葉のクローバーを見つけたのだ。
「おおっ、すげーな。さすが、四葉(よつば)って名前だな」
「そ、そんなことないよ」
「いや、ホントにすげーよ。な、な、それどうする?」
「うーん、どうしようかな。栞に、しようかな」
なんて、照れ隠ししていたの小学生の頃の私。
今でもその四つ葉のクローバーの栞を見ると思い出す、淡い淡い初恋のお話である。