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3月18日 春の睡眠【今日のものがたり】

 春眠暁を覚えず。

 春の夜は寝心地が良いので夜明けに気づかず寝過ごしてしまうといった意味だそうだ。しかし私は春の夜なのに眠れないでいる。もうすぐ夜明けということもわかるくらい眠れないでいる。
 こうなったら眠れない理由を考えてみようと思う。

 まず、本当に春の夜は寝心地が良いのだろうか。
 私は春夏秋冬、特別好きな季節もなければ、嫌いな季節もない。それぞれに一長一短があると思っている。
 春もそうだ。何かが始まる季節、というイメージがあり、それは決して悪いものではない。しかし、始められない自分がいた場合、それはなんというか、複雑な心が生まれる。いや、複雑ではないな、寂しいのである。ひとりのような気がして、寂しいのだ。

 と言っておきながら私はひとりの時間が好きだったりする。人の心というのは実に勝手なものであると思わざるをえない。
 それこそ春はただそこにあるだけなのに、眠れないことを春という季節のせいにしてしまっていないか?

 私はもしかしたら、春という季節を好きになりたいのかもしれない。そして、考えがとりとめないのは眠れていないからだろう。

 春眠暁を覚えず。これに続く言葉を考えながらとりあえず横になろうか。
 春眠暁を覚えず……処処啼鳥を聞く……
 …… …


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