5月20日 森林は木がいくつ?【今日のものがたり】
「なぁ葛木(かつらぎ)、質問していい?」
休み時間、近くの席の柏木(かしわぎ)がノートを広げながらそんなことを言ってきた。
「いいよ。なに?」
ノートに書かれていたのは漢字だった。
「『木』は?」
「『き』」
「『林』は?」
「『はやし』」
「『森』は?」
「『もり』」
「『』は?」
「え? 木が4つ?」
こんな漢字あったっけ?
「おれ知ってる。それ『ジャングル』だろ」
俺たちの話を聞いていたのか、梅木(うめき)が横から言ってきた。
「正解!」
「マジで?」
「本当かは知らんけど、小学生のとき先生がそう言ってた記憶がある」
梅木の記憶力に拍手。ただ、俺と梅木は小学校が違うから俺の記憶には本当にないだけかもしれないが。
木→林→森→……
き→はやし→もり→ジャングル……
「……なんか納得しちゃうな」
「で、柏木と葛木はなんでそんな『木』の話してんだ?」
「いや、なんか携帯見てたら今日が森林の日らしくてさ」
「へぇ~」
「でもなんで5月20日なんだ?」
「森林のなかに木が5つあって、森林の総画数が20だかららしい」
「なるほど!」
「梅木くんと柏木くんと葛木くんも合わせたら木が5個あるよね。森林の完成だ」
ニコニコしながら話しかけてきたのは俺の後ろの席の……苗字に『森』がつくな……森島 楓(もりしま かえで)だった。
「わたしも小学生のときかな、木が4つでジャングルって聞いたことあるよ」
「だよな、だよな。国語の先生の定番持ちネタなのかな」