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1月13日 遺言の意味を……【今日のものがたり】
ナギへ
こんなふうに手紙を書くなんてもしかしたら初めてかもしれないね。ナギがこの手紙を読むのはいつになるかな。いつになっても、読んでくれたら僕は嬉しい。
ナギとはたくさん遊べて、お話しできて、本当に楽しかったよ。僕があまり遠くにいけなくなったときも、お城の周りを一緒に散歩してくれたし、道に咲いている草花の名前をよく聞いてきたよね。少しは覚えたかな? もう僕からは教えてあげられなくなるけど、ごめんね。
僕はナギのことが大好きだよ。
ナギがいつどんなときでもナギでいてくれたから僕はずっと幸せだった。ううん、これからもずっと幸せなんだ。できることならナギの思い出のなかにずっといたい。ちょっと重いかな。でも、僕の思い出のなかにナギはもう絶対消えたりしないで残っているから。
朝起きて、ナギが僕のところへ来てくれたときが僕は一番ワクワクした。いつもいきなりだったけど、その突然が僕にはプレゼントみたいで嬉しかったんだ。
ありがとう。最後まで僕のそばにいてくれて。
ありがとう。僕のナギでいてくれて。
またいつか、会おうね。
それまでナギはずっと元気でいてね。
「リキ……私はずっと元気でいるよ。リキが思い出のなかにいてくれるから」
やっと読むことができたリキからの手紙。これは遺言だ。
私はきっとこれから繰り返しこの手紙を読むのだろう。そして読むたび、新たな気持ちが生まれてわたしは生きていけるんだ。リキの分までなんておこがましいことは言えない。私は私の生をめいいっぱい生きるんだ。
私がリキに手紙を送ろうと思うその日まで。