1月18日 いい部屋に住む【今日のものがたり】
片づけが終わって部屋がきれいになると、今度こそモノは増やすまいと思うものだ。でも、気づくとなぜかモノは増えていて、しばらくは見て見ぬ振りをして過ごしてしまう。
それでもあるとき、ふっと片づけスイッチがオンになり、掃除をするぞ! という気持ちが生まれる。
今日がその日だった。
「まずは、完全にいらないものから処分していこう」
少しでも悩んだらとりあえず残す、という考えで仕訳を始める。ゴミはゴミ箱に捨てているはずなのに、この仕訳だけでゴミ袋がいっぱいになるのはなぜだろうか。
「なにかを買ったらなにかを捨てるっていうのやらないとダメかなぁ」
確かにそれを実行できれば増えるということはなくなるはずなのだ。しかし、それは実際難しいのだ。だから今、こうして大掃除することになっている。
「わっ、なつかし! ここにあったのかー」
危険なワードが出てきた。掃除をするといつも邪魔して来るもの。それは思い出だ。思い出はなかなかに強敵である。時間をというものを軽々盗んでいくからだ。
「はぁ~この頃から可愛かったよねぇ」
聞き捨てならない言葉だ。しかし、ここは心を鬼にして掃除を続けなければいけないとき。
「あっ、これ! ヤバ……」
いけない。これは、いけない。掃除あるあるの第一位と言っても過言ではないかもしれない、本を手に取り……それである。
読み始めたが最後、気づいたら一冊読んでしまうのだ。いや、一冊なんてまだやさしい話。気づいたら二冊目に突入している。
「……しまった。また読みふけってしまった」
今回は三冊目で止められた。さあ、掃除はまだまだこれからだぞ。
「とりあえず、大きさを揃えてここに積んでおいて……」
どうした。やっつけに見えるぞ……。しかも、手に持っているのは……
「ちょっと休憩しようか。おいでチョコちゃん」
今日はどうやらいつもと違って真剣に掃除をすると思ったから、オレもまじめに見届けようとしていたのだが……。
「さっきチョコちゃんの小さいときの写真見つけたんだけど、この頃からずっと可愛いね」
……掃除をするしないを決めるのはオレではないからな。オレは、あくまで猫である。この家の、この部屋の主であるアキちゃんにお世話になっている猫なのだ。チョコという名前の。それ以下もそれ以上もない。
「このあとはチョコちゃんの遊び場と寝床も掃除するからね」
だからオレは、アキちゃんが大好きである。