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1月3日 瞳にうるおいを【今日のものがたり】
目の前に目薬がある。
俺は日々、こいつと戦っている。
今日こそはなんとしてでも勝利したい。
「いくぞ……俺」
目薬の蓋をゆっくりとあける。
大丈夫だ。
俺は昔から、やればできるやつだったはずだ……!
「……うおぁっ」
なぜた! なぜ、そこでいつも俺は……
「また目薬、無駄にしてる」
「姉貴はだまってろ」
「はいはい」
姉貴はポーチから目薬を取り出し、息を吸うようにサラリと目薬を目にさした。
無論、一滴も無駄にしていない。
「今日も敗北か……ッ」
わかっている。さす瞬間に目を閉じなければ良いだけの話だということは。
しかし、それがなぜかうまくできないのである。
さりげなく目薬をさして、ひとみスッキリ! って、笑顔になるCMに採用されるレベルの姉貴に肩を並べられる日は来るのだろうか。