4月17日 なすが好きなだけ【今日のものがたり】
これは、なすが好きだという私の一人語りである。ただそれだけなので、盛り上がりもなければオチもないのでご容赦いただきたい。
私は幼少の頃、なすはどちらかというとあまり好きではなかった。いや、どちらかではないな、確実にあまり好きではなかった。なぜそうだったのか、おそらく味噌汁に入っているなすの食感が苦手だったのだろう。味も何というか形容しがたいもので……今なら喜んで食べるのだが……。
そんな幼少期だった私がなぜ、なす好きな大人になったのか。正直、気づいたらなす料理を好んで食べていることに気づいたくらいなので、絶対にこれだ! という確定的な出来事はない。
しかしそんなことはないはずだ。なにかしら、些細なことでもきっかけがあったはずだ。私は目の前にあるなすを見つめる。
浅漬け……そうか。
私も二十歳を超えて、居酒屋と呼ばれるところで飲んだり食べたりする機会が生まれ、その際、漬け物を注文し、そこには必ずと言っていいほどなすがあった。一本漬けとも呼ばれるそのなすは……おいしかった。そう、確かにおいしかったのだ。
そうして私は、焼きなすも、蒸しなすも、煮浸しも、味噌汁(なす入り)も、みなすべて躊躇することなくいただけるようになり、いつのまにか、なす好きな大人になっていた。
そういうことか。
なすがおいしいことに気づけて良かったと、なすの浅漬けをつまみにしながら好きな野球の試合をテレビで見ている夜である。