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5月25日 納本日は大きな図書館へ【今日のものがたり】

「え、明日はここに来ない?」

「はい。一ヶ月に一度だけ、ここではなく別のところへ行かなければいけなくて」
 
 ここは、城下町の図書館。
 私は一応この国の姫という立場にある。ゆえに気安く城を出てはいけないのだけど、図書館で働いていて、今、私のそばで申し訳なさそうにしているクローディアのおかげでここにいることができている。
 だから、そんな顔をしなくてもいいのに。私は彼女に笑顔を向ける。

「明日は城でおとなしくしているわ」

 クローディアが管理を任されている書庫は通常の書物とは少し毛色が違っていて、私はそれがとても興味深くて、毎日ここへ来ることがとても楽しみなのよ。

「でも、どこへ行くかは教えてもらえる?」

「は、はい……! ここ一ヶ月でこの国に流通した書物が国立の大図書館に集められる『納本日』という日がありまして、それが明日なんです。その書物たちを確認しに大図書館へ行くのです」
「……な、に、それ……めちゃくちゃ気になるわ!」
 城でおとなしくなんてしていられない案件……。

「ですよね。納本された書物からそれぞれの図書館におく書物を選別するんです。その助手として私も同行することになっていて……」
「まぁ素敵。新しい書物にたくさん出会えるってことでしょう?」
 ああ……クローディアは本当に魅力的な職業に就いているわ。

「そうですね。私の管轄対象になる書物もごく稀にまざっていることもあるので、そのときはすごいテンションあがります」
「想像するだけで私もテンションがあがってくるわ……。明日、楽しんできてね。そして、行ってきた感想を聞かせてちょうだい」
「もちろんです! あ、あの、おみやげも買ってきます! ……と、姫様におみやげなんて……すみません」
「いいえ。私、クローディアのおみやげ、とっても楽しみにしているわ」

 

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