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9月24日 今日は海藻サラダをもりもり食べる【今日のものがたり】

 俺は少々不本意ながらも妹の灯里あかりとともに、星川ほしかわ先生のいる図書室にちょくちょく行くようになってしまった。
 でも最近は、学校の宿題とか野球に関することとか、何か調べたいときに家よりずっとたくさんの本があるここは便利だということに気づいて、まぁ悪くはないところかなと思い始めている。
 だからといって、灯里みたいに毎日のように行ったりはしないけどな。

「てるてる先生、この海藻見たことありますか?」

 しかも“てるてる”なんて愛称呼びなんてもってのほかだ。星川先生がなぜ“てるてる”かというと名前が輝明てるあきだからだ。この説明すら若干しんどい。
 星川先生も先生で“てるてる先生”って呼ばれたら嫌な顔一つくらいすればいいのに、なんか無表情っていうか、可は少しはありそうだけど不可はないみたいなよくわからない顔でいる。

 というか、灯里はなんで海藻図鑑なんて見ているんだ?

「お兄ちゃんもお肉だけじゃなくて野菜とか海藻サラダとかもちゃんと食べないとね」
「食べてるし」

 わかめが少し、苦手なだけで。

「わかめ食べないと髪の毛ぼーぼーにならないよ」

 ぐ……おうおう、今日はわかめたっぷりの海藻サラダを食べようじゃないか。だけどな……

「野球やってたら基本髪は短くて良いし、ほかの野菜食べてればバランスはとれるだろ。それにわかめと髪の毛の話は迷信だろ」
「迷信なのかなぁ。でもでも、この海藻図鑑のお写真、どれもきれいですごいねー」

 た、確かにこの図書室にある図鑑の写真はきれいなものが多い。図鑑なのだからそうあるべきなのかもしれないけれど、ずっと見ていても飽きない感じの写真なのだ。それは認める。

「もうずっと海に行けてないから、この図鑑見て海のなかを潜っているような気分になれたらいいなって」

 海藻図鑑を見ていたのはそれが理由か。
 海……言われてみればもう2年? 3年? 行っていない気がする。山穂やまほから海に行くのはすごく遠いというわけではないけど、俺と灯里の二人で行くには少し遠い。保護者か誰か……

「ねぇ、てるてる先生、いつか一緒に海に行こうね。あ、お兄ちゃんもね」

 星川先生って肌が白いし(日焼けしないタイプなのか?)、泳ぎがめっちゃうまそうって感じじゃないけど、実際どうなんだろう。
 というか、俺をとってつけたように加えるなよ。ホント灯里は星川先生のこと好きだよな。なんでそんなに話したがるんだろう?

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