3月11日 いのちを生きる【今日のものがたり】
未来は何が起こるかわからない。
覚悟はしていた。でも、実際にそれを目の当たりにして、私の覚悟なんて薄っぺらいものだったと実感したあの日。
もっと、もっと早く、心から楽しんでいれば良かった。来年は楽しもう、心から楽しむんだって、心に決めた日から幾日もたたずにその希望は潰えた。そのときは涙も出なくて、何も、何も、できなかった。ぼんやり空を見上げても何もなくて、今でもまだ、現実のことに思えなくてふわふわしている。
けれど、思いもしなかった喜びも確かにあった。それは本当にいろいろな偶然が重なって生まれた希望だった。去年までは考えられなかった場所に光があった。とてもまぶしくて、ときには畏怖すら感じるほどの、光。
でも、その喜びのおかげで私は泣くことができた。泣いたって時は巻き戻せないし、楽しみたかった日々はもう巡ってこない。
思い出さずにいれば、楽なのかもしれない。でも、そんなことできない。だって、忘れたいわけじゃないから。ずっと思っていたことだし、これからも思っていたいことだから。
生まれた光は、そんな私を支えてくれる力なのだと、そんな気がしている。
大袈裟だって笑われるかもしれないけれど、私にとってそれは。
それはきっと、いのちをつないでくれるものだ。
一番叶ってほしかった願いは叶わなかったけれど。
それでも、私は生きる。
未来は何が起こるのかわからないのだから。
だから、私は、生きる。
いのちを生きる。