見出し画像

9月23日 万年筆が持つ――【今日のものがたり】

 なんかカッコいい。

 私が万年筆に抱いていたイメージだ。
 ならば、使うしかないのでは? カッコいいと思うものを放っておくのはもったいないよ。

 家電量販店の文具売場で1,000円くらいの万年筆を買った。黒色のインクがセットについていたけど、ブルーブラックの色味が気になったのでそれも買ってみた。

 家に帰って、私はすぐ机に向かった。買ったものはすぐ使いたくなる性分なのだ。

 万年筆にブルーブラックのインクカートリッジをセットする。ノートを広げる。少し、緊張する。

 いざ。

「おおっ」

 うん、やっぱりなんかカッコいい。声が出るほどに。書き味とかインクの出方とか文字の形までも。自分の書いた字なのに。

 普段、ノートとか手帳に書く文字は基本、自分しか見ない。だからなのか、私はそういう、自分のために書いている字に愛情がないと、あるとき気づいた。

 でも、万年筆だと気持ちも入るしなんだか文字の形まで変わってるし、背筋まで伸びる。今まで使っていたペンには申し訳ないなと思いつつも、万年筆の持つ魔力に驚いている。

 いつか、自分の書く文字にも愛情が見えてくるかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?