湖はんリトリートイベント「湖はんの知らない声優の世界」を開催しました
2024年4月18日にたかしおが主宰するコミュニティ『湖はんリトリート』のメンバーである井崎まゆさんによる、コミュニティメンバー限定のクローズドイベントを開催しました。
テーマは「湖はんの知らない声優の世界」。井崎さんから、声優の30年史や声優専門学校で働く中で分かったこと、日常で使える発声など、幅広くお話しいただきました。
クローズドなイベントだからこそ聞ける声優の世界の実情なども盛りだくさんで、ものすごく面白い時間でした。そんなイベントの様子を一部ご紹介します。
スピーカー:井崎まゆさん
フリーライター。文系大学院を卒業後、アニメ系専門学校で声優を育てる仕事を経験。転職エージェントに転職しキャリアアドバイザーに従事。現在はフリーランスとしてライター、キャリアコーチなどに取り組む。国家資格キャリアコンサルタント。
スピーカー井崎さんの変遷
最初に、今まで井崎さんの歩んできた道について自己紹介を交えながら話してくださいました。
中学・高校時代はめちゃくちゃ声優オタクだったという井崎さん。大学・大学院では社会学系の内容を学び、声優ファンのことを中心に研究し、最終的に論文も執筆したとのこと。
声優の変遷なども辿る必要があったため、国会図書館に毎日通って300〜400冊くらいの雑誌を読んだそうです!
その後大学院を卒業の時期、たまたま大学に声優専門学校での新卒の求人が出ており、応募してみたら見事通ったという井崎さん。声優の学科が良いという希望を言ってみたところそれが通り、そこから3年間声優を育てたとのこと。
井崎さんの今までの経歴について伺うだけでも掘り下げたいことがたくさん!声優が好きだったところから、研究もしてきたということでここだけでも何時間でも喋ってもらえそうな気がしました。
声優とはどういうお仕事なのか?
声優のことを話すにあたって、そもそも声優とはどういうお仕事か?というお話から。「マイクを通して表現をする声の特殊な技術を身に着けてきた人」というのが基準であるとのこと。
現在、いろいろな活動をされている方も多く、歌を出したり舞台に出たりというお仕事をされる方も増えています。とは言え、「声優と呼ばれるからにはマイクを通した演技の仕事が中心になる」というイメージは強いそうで、養成所や専門学校でもそこを一番に教えているとのこと。
声優の多様化する働き方のお話の最中、舞台や2.5次元ミュージカルに出てらっしゃる方や、写真集を出した方などの話でチャットも含め大盛り上がりでした。
そこで「声優になるときにはどういう仕事から入っていくことが多いのか」という質問がたかしおさんから。
井崎さんによると、駆け出しの方は吹き替えが一番単価が安く、人脈によって入りやすいお仕事だそうです。ただ、吹き替えは実力で単価にも差がつきやすく、実績や著名かどうかで単価が結構変わってくるとのことです。リアルなお話ですね。
声優の歴史について
次に、声優という仕事が世に広がるまでにどのような変遷があったのか。それはアニメ業界の変遷と関係があるとのこと。
アニメがサブカルチャーとしてあった1980年代まで、アニメ業界が確立した1990年代、メディアミックスが当たり前となりさらに拡大していく2000年代。それぞれの時代で声優のあり方も変わってきたとのことでした。
自分自身が見てきたアニメに置き換えて考えてみても、私が子どものころの1990年代はまだまだ声優さんは表に出てくる場面が少なかったように思います。それが、ここ最近は至るところで声優さんがどのように声を吹き込んでいるのかなど、声優さんにスポットを当てた発信が見られるようになったと感じています。
アニメ好きのいち視聴者としては、アニメを見て楽しむ以外にも、どういうことを意識して演技をしていたかなどを知ることができ、アニメの楽しみ方が増えて嬉しいです!
声優になる方法を、その歴史とともに
次にお話しいただいたのは、声優になる方法について。
声優になるルート
声優に必要な声の技術
声優になる人のポイント
上記3つに分けて教えていただきました。
声優になるルートとは
声優のなり方としてはいろいろなパターンが入り混じっているとのことでした。いわゆる子役上がりの方も多いようですが、どのルートであっても、実力、運、時流などいろいろな条件が揃わないと売れない、いわゆる芸能人の人と一緒だということ。
声優になるルートとして代表的なのは専門学校や養成所。専門学校に入りたい人は幅ひろく選択肢が欲しい人、養成所に入る人は憧れの声優がその事務所にいて、その人みたいになりたいからという理由など、その事務所以外は基本的に見ないという人だそうです。
声優に必要な声の技術
次に、声優に必要となる声の技術。大きく分けて発声、滑舌、表現の3つが重要とのことで、具体的な経験談も交えて教えていただきました。
まずは発声。良い楽器から音が出ているようなイメージで、良い声は喉からだけでなく体に支えられて出てくるそうです。
次に滑舌。単に言葉をローマ字に分解して喋ればいいのではなく、時には子音だけで発する言葉をうまく織り交ぜることで、滑らかに聞こえるように工夫する技法を使うそうです。また、正しいイントネーションも練習して、うまく聞かせるための工夫がたくさんあるとのこと。
そして最後に表現について。読解力もなければダメで、さらに読解したことを声に乗せるということがすごく大変だそう。台本を読み解いて、自分が果たすべき役割を理解してそれを声に乗せて出すという、声の技術ではないところも実はすごく大事というお話でした。
声優になるポイント
最後に、声優になるポイントというとてもリアルなことも話してくださいました。
井崎さんが見ていた専門学校では、最初は一学年が250人くらいのところ。それが卒業するときには200人くらいまで減っていたそうです。なぜかというと、練習が地道過ぎたり、結果が出るか分からないことに自分の毎日を捧げたり、いつ仕事に呼ばれても良いよう定職に就けなかったりと、表に出てくる華やかな部分以上に大変な実情がありました。
だからこそ、残っていくのは努力している人。365日練習できる体づくり、レコーダー1万回、毎日練習室に来て声を出せるなど、残っていく人には地道さや愚直さがあるそうです。
それに加えて営業力とか、運も味方につけなければいけないとのこと。井崎さんの、「普段私たちが目にしている方々は、本当にあらゆることを積み重ねて並々ならぬ想いをかけて立っている姿」という言葉が心に刺さりました。
声優のノウハウを日常生活に取り入れる
最後のトークテーマは、私たちが日常に取り入れられることについて。
すぐに取り入れられることとしては、顔の筋肉の使い方。頬骨を上げるイメージで声を出すことで、声が前に出て届きやすくなり、印象もすぐに変わるそう。
また、体を作って腹式呼吸をして体から声を出すことを意識することを勧めてくださいました。体の中心である腹部から声を響かせることで、喉に負担をかけずに声を出せるようになるそうで、まずは自然に腹式呼吸をして喋れるようになると、声も枯れないとのこと。湖はんリトリートでは、筋トレ部があるためメンバーが「やっぱり筋肉!」と盛り上がっていました(笑)。
また、意外なところでは飲み物のお話も。「これからイベントで喋るぞ!」みたいなここぞというときにはお茶はNGで、お水の方が良いとのこと。なぜかというと、緑茶やウーロン茶などは喉の脂が奪われやすいからだそうです。これは全くの予想外のお話で、びっくりしました!
イベントを終えて
イベントを終えて、参加していた皆さんの声が本当に熱量があったので一部をご紹介します。
日頃何気なく聞いている声優さんの裏側を知ることができ、さらに日常に意識できる声のことまで教えていただけて、本当に大満足のイベントでした!
お話を聞いていると、どんどん聞きたいことが出てきましたし、また第二回、第三回と企画が繋がっていくことを楽しみにしています。井崎さん、改めてありがとうございました!
執筆:山本 麻友香
元ハウスメーカー勤務の実績やブログ執筆経験を活かし、フリーランスライターとして活動中。2017年生まれの1人息子がいる母でもある。好きなことは、スポーツをすること、見ること、食べること、寝ること。
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