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共に生きるよろこびを感じ合える社会をはぐくむ | 株式会社はぐくむ

こんにちは!はぐくむ湖畔のnote編集部です。
はぐくむ湖畔は、世田谷区東松原にあるコミュニティカフェです。

以下の記事では、はぐくむ湖畔がどんな場所なのか、何を目指しているのか、全体像をご紹介しています。はじめましての方はぜひご覧ください。

そして今回は、はぐくむ湖畔を語る上で避けては通れない、運営会社である株式会社はぐくむについてご紹介します。代表の小寺毅(こでら たけし)にインタビューをして、「どんな会社なのか」「どんな想いで事業をしているのか」などをじっくり聴いてきました。その内容と合わせてお届けします!

株式会社はぐくむは何をしている会社なのか

人生には、多様な選択肢があっていいはず
はぐくむ湖畔を運営する株式会社はぐくむは、「ひとりひとりが可能性にフタをせず、実現したい未来にむかって生きられる社会を目指したい」という想いを胸に、2006年に創業しました。「共に生きるよろこびを感じ合える社会づくり」を軸に、「教育事業」「コンサルティング事業」「タウン事業」を展開しています。
コーチングの手法を用いて、ただ漠然と働くのではなく、何のために働き、何のために生きるのかを問うプログラムを大学生や社会人向けに企画・実施。また、脱・ヒエラルキー、脱・指示命令コントロール型の組織を目指す企業に向けて、組織コンサルティングを行っています。

現在は3つの事業を展開していますが、もともと会社を起こした背景には、小寺が抱いていた「教育」に対する違和感がありました。

「僕はソ連(*1)とアメリカで幼少期を過ごしました。そして中学3年生の時に日本に戻ってきて、日本で逆カルチャーショックを受けたんです。特に、当事者として1番強く感じたのが、偏差値教育に対する違和感でした。」
(*1)1989年以前であるため、ここではソ連と表記しています。

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優秀さや素晴らしさを偏差値で測り、良い点数をとって、より高い偏差値の学校に行くことが「いいこと」とされることに対する違和感。まるで人生には1本の道しかないように感じたと言います。

「生き方って、もっと多様な選択肢があると思ってるし、人間の価値や素晴らしさは偏差値だけで測れるものではないなと思っていて。そんな想いがあり、もっと選択肢のある生き方や人生を過ごせるような社会にしたい。そして、それを教育の現場の中で伝えられるようにしたいと思ったことが、最初の原体験になっています。」

はぐくむの土台にある「コーチング」のこと

コーチングに出会う前から、体験していた
株式会社はぐくむでは、前述したように3つの事業を展開しています。そして、その全ての土台となっているものが「コーチング」です。
コーチングとは、相手の話に耳を傾け、質問を投げかけながら、相手の内面にある答えや願いを引き出す目標達成の手法のこと。
小寺が学問としてのコーチングと出会ったのは大学3年生の時ですが、アメリカで生活していた中学生時代に、「コーチング的な関わり方」を体験していたそうです。

「授業は少人数制でよく話す場面があるんですけど、僕は英語ができないことがコンプレックスだったので、話したくなくて。でも、先生たちがやたらと「毅はどう思う?」と聞いてくるんですよ。話したくないし、話しても伝わらないし、僕にとっては二重苦三重苦でした(笑)。」

それまでは日本の教育を受けてきていて、そもそも授業中に自分の意見を言うことにも慣れていませんでした。しかし、先生に質問されるうちに、不思議とだんだん自分の意見を言いたくなってきたのだそう。英語が話せないことは気になりつつも、それよりも「伝えたい」という気持ちが大きくなり、拙い英語でも伝わるようになっていきました。

「継続的に問われる機会があり、話したことをちゃんと受け止めてくれる。すると、自分の中から伝えたいことが出てくるようになる。その感覚が「コーチング的」なのかなと。先生にそうやってアプローチしてもらったことで、その学校にいた2年間は生き生きとしてとても楽しかったんです。」

このアメリカでの経験があったからこそ、すぐにコーチングを「いいものだ」と思い、躊躇なく学ぼうと思えたそうです。

「急がない」独自のコーチングスタイルで人生に寄り添う
一般的なコーチングでは「GROWモデル」と呼ばれる基本モデルを使い、クライアントの目標達成を支援します。一方、株式会社はぐくむが提供するコーチング(以下、はぐくむコーチング)は、基本はおさえつつ、徐々に独自のスタイルになっている部分も出てきています。

「GROWモデルは、具体的な目標ありきで進めていくので、自分の中に明確な目標がある人が対象となります。逆にいうと、明確な目標がない人は対象から外れてしまうんですね。」

従来のコーチングでは目標ありきで対話が始まる。しかし、はぐくむコーチングでは「何もない」という人も対象になるのだそう。

「明確な目標や達成したいことがない人とも対話を重ねます。すると、話し始めた時点では“こうしたい”がなかった人でも、話しているうちに何かが生まれてくることがあります。僕たちはそこに非常に価値を見出しているんです。」

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さらに、近年のコーチングブームに対し、このように付け加えます。

「僕は“最短最速思考”と名付けたんですけど、資本主義の中で、最短最速でゴールにたどり着くことを良しとして、それをサポートする意味においてコーチングが盛り上がっている部分もあると思っています。ビジネスの中で、より速く、より効率的に社員が目標達成するために用いられる。それはそれでいいとして、はぐくむとしては“共に生きる社会”をはぐくんでいく上では、そんなに急ぐ必要もないのかなと。むしろ急がないからこそ、急いでいた時に見落としてしまったものも取り戻せるのではないでしょうか。」

はぐくむコーチングでは、あえて「最短最速思考からの脱却」とうたい、ゆっくりと時間をかけ、いつもとは違う環境やテーマでお話しすることも大事にしています。
さらに、コーチングを通して実現したいことについても聞いてみました。

「僕らは、その人が「生きるよろこび」を感じられるようなサポートがしたいと考えています。それは、決して「いいこと」ばかりがある人生を過ごしてほしいという意味ではなく、何が起きたとしても自分の人生を味わい深く、一人じゃなくて、周りにいる人たちと共に味わって生きる人生を過ごせる。そういう生き方に寄り添っていきたいなと思っています。」

共に生きるよろこびを感じ合える社会をつくる

物質的な豊かさもほしい。でも、それだけあれば「幸せ」?
経済的・物質的には決して豊かとは言えなかったソ連と、経済的に発展していて、物質的な豊かさがあるアメリカでの生活を経験した小寺。2つの国での経験から、必ずしも「物質的な豊かさ=幸せ」になるとは限らないと感じていたそう。とはいえ、物質的な豊かさがないと困る部分もあります。

「なんとなく、いい塩梅で生きていきたいという思いがありました。そして、いい塩梅で生きることにおいて、日本の中で足りないと思っているのが「共に」という感覚かなと思っています。」

資本主義を突き詰めていくと、その中で勝ち続けられる人や、優秀さを示し続けられる人にとっては生きやすい社会になるかもしれません。しかし、「そうではない人」にとっては息苦しくなってしまう場面もあり、分断・分離が生まれてくる可能性もあります。

「はぐくむとしては、その分断・分離の境目を、もっと滑らかにしていきたいなと思っています。いろんな人たちが、共に手を取って暮らしていけるような社会にしていきたい。」

創業当時は、「一人一人が本当に幸せな世界をはぐくむ」という言葉を使っていました。その想いは今も持ち続けており、究極的に向かっていきたい方向性なのだそう。
しかし、もう少し手触り感のある言い方はないだろうか...。そう思っているうちに出てきたのが、「共に生きるよろこびを感じ合える社会」でした。ちなみにこのフレーズが生まれたのは、オフィスを東松原に移した2010年。シェアハウス事業を始め、この街で自分たち自身の、仕事も生活も含めた「暮らし」を始めた頃でした。

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ハッピーなことも、そうじゃないことも、まるごと分かち合う
共に生きるよろこびとは、一体どういうことを指しているのか。「わかりそう」で止めたくなくて、あえて突っ込んで聞いてみました。

「僕たちが言う「共に生きるよろこび」の中には、いわゆるjoyやfunのような、楽しいことだけではなく、いろんなトラブルやすれ違いも含んでいます。ハッピーなことも転んでしまったことも含めて、人生の喜怒哀楽を分かち合うことで味わえる気持ちや体験があります。それそのものが「豊かだな」と思っているんですよね。」

確かに、楽しいことも楽しくないことも、それぞれを深く味わうことができれば、人生がより彩り豊かなものになりそうです。
とはいえ、人と共に生きることって、ともすると「苦しいこと」にもなってしまうのではないか…。そんな思いも湧き上がってきます。どうすれば「共に生きる苦しみ」ではなく、「共に生きるよろこび」になるのでしょうか。

「心持ちだと思うんですよね。そして、苦しい時は苦しいって言えることが大事かなと思っています。東松原に引っ越してきた当時、はぐくむの社員は僕とグッチだけでした。四六時中一緒に過ごしていて、いろんな苦しさもありました。そういう時でも、苦しいことを隠さずに言い合えたのがよかったなと思っているんです。」

苦しいことを隠さずに分かち合う。その経験は、現在の組織コンサルティングにもつながっています。一般的な会社だと、苦しい時に苦しいと言えなかったり、本当は苦しいのに、苦しくない素振りをしなきゃいけないと感じている人も多いようです。

「その裏には、“常に優秀さを示してないと自分の居場所がない”という心の動きがあるのではないでしょうか。すると、会社の中で等身大のままでいることが難しくなってしまう。だからこそ、心理的安全性という言葉がこれだけ注目を浴びているのだと考えています。願わくば、みんなで分かち合えたらいいとは思いますが、ちゃんと聞いて受け止めてくれる人が、一人でもいれば成り立つと思います。」

株式会社はぐくむは、創業当時から社員やインターンなどの垣根なく、みんなが自分の等身大の気持ちや状況をシェアする文化があります。そのようなコミュニケーションを続けてきたからこそ、現在のような「コミュニティ」という形が成り立ってきているのかもしれません。等身大の自分を受け止めてもらえる人がいたり、場所があるということは、大きな財産となりそうです。

はぐくむが目指す「まちづくり」とは

「都心にオルタナティブなまちをつくりたい」東京にこだわる理由とは
ここ数年で「地方」が盛り上がりを見せてきています。人も会社も、地方へ移ることが珍しくなくなり、その動きは今後ますます加速していきそうです。その中で、「ゆっくり」「共に」など、「東京っぽくないワード」を並べる株式会社はぐくむは、なぜ東京都で、しかも世田谷区でまちづくりをしようとしているのでしょうか。

「都心であることには、結構こだわってきました。みなさんが想像するようないわゆる「都会」で、オルタナティブなまちづくりをしていることに意味があるかなと思っていて。地方やいわゆる田舎で実現できたとしても、『まぁ田舎だから(できたんだろうね)』と片付けられてしまう傾向があると感じています。」

そうではなく、今の日本の資本主義の中のど真ん中で生きてる人たちに対し、「都心でもできる」ということを示したいという思いから、東京でトライすることにこだわっているのだとか。

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また、従来の資本主義の延長線上に「ゆたかさ」はあるのだろうか?という問いから、実験的に地域通過を導入する取り組みもスタートしています。

「お金が占める割合って、心の中でも、経済の中でも大きいと思っています。そこで、地域通貨を導入することによって、新たなお金との付き合い方の実験をしてみたいと考えています。」

例えば、お金に対して「損をしないように上手に使いたい」「使ったらなくなってしまう」という感覚があるかもしれません。そのような損得勘定からお金を使うのではなく、シンプルな「ありがとう」という気持ちや、「誰かに対して役立ちたい」「喜んでもらいたい」という気持ちからお金と付き合う感覚を試す狙いがあるのだそうです。
実際に、株式会社はぐくむが運営するLIFE DESIGN SCHOOLのコミュニティの中では、活発に地域通貨「mii」でのやりとりが行われているのだとか。

「やはり、円を支払う時とは感覚が違うみたいです。例えば、1000円を払うのは躊躇するかもしれませんが、1000miiを誰かに送ることには躊躇しない。円でやりとりをしていたら、ここまで活発な循環は起こらなかっただろうなと思うようなことが起きています。」

現在はコミュニティの中での実験にとどまっていますが、今後ははぐくむ湖畔でmiiが使えるような取り組みもしていきたいと話していました。

様々な生き方を尊重して分かち合う生き方を、ひろげていく
シェアハウスから始まった、株式会社はぐくむの街づくり。シェアハウスはまさに「共に生きるよろこび」を感じ合える場所だと話しています。

「現在のシェアハウスは、主にLIFE DESIGN SCHOOLのスクール生が暮らす家になっていますが、中長期的に見ればスクール生の年齢も上がっていきますし、いろんな家族形態やライフスタイルも出てくると思います。それに対応する形で、住居もいくつかのタイプができてくると思っていて。そうやって様々な生き方も尊重して分かち合いながら暮らしていくような、新たな生き方を体現する1つの場所になったらいいなと考えています。」

いろんな人が増えることで、コミュニティに色とりどりの才能が集ってきます。そして、それが循環するような形を作っていきたいと話していました。
最後に、今後の展望についても聞いてみました。

「もともと教育に対する興味から始まっている会社なので、街の中に教育的な場を作りたいという想いがあります。学童保育園や、ゆくゆくは小中学校や高校を作れたらいいなと。子ども達が支持命令型の、僕らからするとちょっと窮屈な社会の中で生きていくのではなく、もっとのびのびと育っていける環境が作れたらいいなと思っています。」

そして、東京での街づくりにこだわりつつも、自然の中に複数の拠点を持ちたいという思いもあります。

「今は拠点が世田谷区の東松原にあるので、残念ながら自然は少ないです。できれば自然に触れながら生きていけるようなまちづくりをしていきたいとも思っているので、二拠点や多拠点という形で、森や海など、特徴のある拠点を少しずつ増やしていきたいですね。そして東松原の“都会の家”と行き来しながら、自然や色んな人たちと触れ合って生きていけるようなまちづくりをしていきたいです。」

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自身のバックグラウンドに「海外」があることもあり、過去にはデンマークやオランダでのツアーを行ってきました。現在はコロナの影響で開催が難しくなっていますが、日本から海外へ行き、色んな文化や生き方を知る交流の機会を作ることも再開したいと考えているそう。また、海外から日本へ来てもらい、はぐくむの暮らし方や世界観を体感してもらう機会も作っていきたいと話していました。

「共に生きるよろこびを感じ合える社会」から、「ともに生きるよろこびを感じあえる世界」へ。すぐに実現できることではないかもしれませんが、そんなことを想像して頬の力が緩むのを感じました。

HOTORI ー 共に生きるよろこびを感じ合える社会をはぐくむコミュニティ ー

この度、はぐくむ湖畔のメンバー限定SNSコミュニティー「HOTORI」が誕生しました!
HOTORIは、はぐくむ湖畔が開催するアカデミー、コミュニティディナー、たねラボに参加された方同士が、横断的につながることができる場です。
同じような価値観や世界観を持つ人がつながり、お互いの実現したいことを応援し合い、「何かが生まれる場所」になることを願っています。
また、2022年6月30日までにHOTORIに仲間入りされた方には、はぐくむ湖畔のグッズをプレゼントいたします。

▽ HOTORIについて、詳細はこちらの記事をご覧ください!





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