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拙作語り⑫~Secret Base
概説
高校のサイエンスクラブとその所属メンバーを中心とした現代学園短編連作小説。
学生やってた時代からンン年経ちつつ書き(自爆)、今現在はやはりスマホ&SSL対応の問題で出しておらず、かといって形式上PDF頒布も出来ないので、もしかしたらもう日の目を見ないかもしれないと思っている作(さらに爆)。もはや供養的な意味で、概略をこちらに記載(もっと爆)。
理科ネタと本人の気力さえあれば続きそうなスタイルだったが、リアルタイム連載を意識して2011年春まで+後日談(未来予想図)という形で結ぼうと…でも構想は終わってるとしても後日談書いてなかったなと(爆)。
実は…的な話をしてしまうと、拙作『扶桑奇伝』で苦労をかけた主に若い面々に少しもハッピーというか平穏な生活をさせてみたいという気持ちから描き始めたともいいます(爆)。なので、メインキャラは概ね設定や立ち位置をリサイクルというかスライドして再構築しています(爆爆)
登場人物
各登場人物には、理科室およびクラブ活動時間限定のニックネームがあり。
主に科学者から取られているけど、初代顧問が異動になるとそのルールが無くなり自由度が増し増しになる(苦笑)。
初代サイエンスクラブ
部長:五十嵐飛鳥〈ハッブル〉(3年男子)
部長より部長らしい副部長:神足魅羽〈ノーベル〉(3年女子)
宇内那由多〈ラザフォード〉(2年男子)
橿原万希〈キュリー〉(2年女子)
有田啓人〈メンデレーエフ〉(1年男子)
岸浪竜起〈フェルミ〉(顧問・化学教諭)
二代目
飛鳥・魅羽が卒業し、以下二名が加わる。
祝部斎〈ベイツ〉(1年男子):魅羽の従弟
石動咲良〈デル・リオ〉(1年女子)
三代目
那由多・万希が卒業、顧問・岸浪教諭が異動により、以下三名が加わる。
津久井聡介〈ネモ〉(1年男子)
橿原千賀〈メルセンヌ〉(1年女子):万希の妹
水本淳哉〈パン〉(顧問・物理教諭)
四代目
啓人が卒業し、以下一名が加わる。
来栖怜司〈ルビン〉(1年男子):
顧問・水本教諭が担任するクラスの融通のきかない男子生徒。「高校を単なる大学への準備期間とだけ思って過ごすなんて、つまらないよ」と半強制的に入部させられるが…
斎と咲良の高校卒業で本編は一区切りで、OB・OGたちの後日談で完結…のはずだったが。そういう意味では今も未完です(おおいに自爆)。
努力した点
秋の文化祭発表セクションには、自身が理系出だから相応に努力はしたけど、いやこれが大変で…(困)
これが書きたくて始めたはずが、ここがしんどくて筆進みが遅れるという、おかしなことに(大困)
各キャラと発表テーマの板書イラストだけ挙げておきます;
これに関しては毎年描いていってたので、その時々で調子というか…絵の出来に差があることは否めない(墓穴)
2007年
そのニックネームのごとく、とりわけ天文分野に強い関心を持っていた飛鳥〈ハッブル〉は、学校にあった天体望遠鏡で少しずつ放課後に観測した結果のまとめを展示。人数と顧問が居ないとクラブ活動として成立せず、クラブ発足は3年生となった時。ゆえにクラブとして活動したのは1年のみな彼。
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石鹸作りと製作物頒布を行った、魅羽〈ノーベル〉。化学反応式を板書。
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花火好きから理科室に通い、クラブ発足と共に加入した那由多〈ラザ〉。概ね予想通りだが、炎色反応実験の実演。
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草木染めと製作品頒布を行った、万希〈キュリー〉。
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理科実験だけでなく「楽しい・おいしい」も追及し、カルメ焼きを作った啓人〈メンデ〉。
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2008年
昨年の炎色反応実験から発展させ、「金属イオンと発色」のテーマで呈色実験を行い錯体の解説をした、この年の部長・那由多〈ラザ〉。
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昨年、先輩・魅羽が行った石鹸作りを継承した万希〈キュリー〉。
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同じく、昨年には先輩・万希が行った草木染めをやったのが啓人〈メンデ〉。「売って売りさばきたい」という希望から(苦笑)。
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気象、飛行機、鳥、昆虫と、空に係る多項目に関心をもつ斎〈ベイツ〉。この年は、紙飛行機から飛行理論を探る。
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鉱物好きから入部した咲良〈デル・リオ〉は、高校の地学担当・樋口教諭の大学時代の同窓生で今も大学に残り研究をしている佐伯助手と共に信州の山中でフィールドワークを体験。その成果と併せ、ミニ鉱物展を開催。
そういやこの短編連作には時事・クロニクル的な要素もあるのだけど、「色とり忍者」とか懐かしいこと書いてあるなと…(めちゃイケ…)。
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2009年
原点回帰というか「楽しい・おいしい」実験に戻って、「電気パン」を実演した啓人〈メンデ〉。
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斎〈ベイツ〉、2年目は気象。天気のことわざを検証。
そういや斎って、この年の入学者首席なんすよね…頭よさそうな切り口でくるよなぁという…。でもどんなに成績優秀でも家の神社を継ぐから神道学科と行先が決まっている、というジレンマを抱える男子生徒でもある。。
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2年目の咲良〈デル・リオ〉は、化学担当の大坪教諭にも知恵を借り、結晶生成実験。定番の再結晶ほか「高校実験室でも可能なダイヤモンド合成(ただし顕微鏡レベル)」にも挑戦。
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1年目、海が好きな1年男子・聡介〈ネモ〉は、潮だまり(タイドプール)の観察まとめを紹介。
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小中学校と、児童楽団・吹奏楽部をやってきた千賀〈メルセンヌ〉は、音すなわち波動の可視化を試みる。
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そして。何とこの年は顧問・水本教諭もブース出展(爆笑)。
言ってしまえば「恐竜塗り絵」。地味に先生、絵が上手いからこそ出来たワザ(笑)
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2010年
当時健康状態も良くなくて、どうにもつらくて(嗚呼)
この年加入の怜司〈ルビン〉が顧問で担任の水本教諭と先輩・千賀〈メルセンヌ〉を前に発表練習をするというのだけ必死こき作成・・・【嗚呼】
そもそも理科が得意でもない怜司は当然のように文化祭発表のテーマに悩み、水本教諭の提案のままに夏のサイエンスキャンプに参加し、医科大学でのプログラムで出会ったカメラマン志望の小日向くんと意気投合。理科とアートの交差点を探る試みで、錯覚について実例を交えつつ展示を行った。
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ここには書ききれない恋愛あり友情あり。
那由多と万希は同じ中学出身で、那由多は転入生。万希はそんな彼を追っかけて、この高校に入学したが、「大学までは追いかけない」と別の道を進むと決める。ただ・・・・・
とか。
地味に初代顧問・岸浪教諭の大学時代を外伝として書いていたりも。
実は万希が好きだったが那由多が居たから身を退いた啓人は、万希の妹・千賀が現れたことで自分の気持ちを再確認することとなったり。
*
「橿原…おねえちゃん…って。君、橿原先輩の妹さん?」
啓人の問いかけに、彼女は大きくうなずいて返す。
「でも…顧問も変わったし、昨年度までと同じようにはいかないと思うけど。それに、橿原先輩が楽しそうにしてたのは、このクラブの活動そのものだけが理由じゃない気もするし」
今年度の部長である啓人は戸惑いながらも、後でがっかりされたら困るので、本当のところを話してみた。
「え?けど、わたしはもう決めたんで。これから色々企画して、楽しいクラブ活動にしちゃいましょうよ。先輩」
姉・万希よりも積極的で活発、底抜けに明るい女子生徒。姉妹ゆえに顔立ちはどことなく似ているが、性格は対照的だ。
「橿原先輩の妹さんかぁ。同じ女子として言うのもおかしな話だけど、男子に注目されるでしょお?お姉さんもそうだったけど、キミもいいルックスしてるし」
つい話に加わった二年生・咲良の言葉に、
「いーえっ、そんなことありませんってば!でも…高校生になったし、恋愛なんてのもしてみたいですね」
「ふーん…橿原さんは現在フリーなんだ」
「まあそうなりますね、祝部先輩。現在ってか、ずーっと。クラリネットがボーイフレンド代わりでしたもん」
啓人は、斎に笑顔で返す千賀を見つめた。
啓人は万希が嫌いではなかった。いや、正直に言えば好きだった。しかし、出会ったとき既に彼女は一人の男子生徒だけを追っていた。彼がいけすかない男ならば正面きって戦いを挑む気にもなっただろうが、彼のことも嫌いではなかったので、二人を密かに応援し見守ることにしたのだった。だが……
(あの時は身を退いたんだ。オレは、あいつが嫌いじゃなかったから。でも、今度は…)
<Apr-2009>
*
学園ものというと、華々しいスポーツとか、いじめとか妊娠とか、はたまた異世界・SFも絡んだりとか、そういう件も入ったりですけど。
拙作『Secret Base』は、総括すれば「とにかく『爽やかな』高校生たちの青春群像」でもありました(?)。
このタイトルは、本編終盤の春の一節によります。
*
話が一段落したのを見取り、水本教諭がまとめる。
「ともあれ、めでたく二人ご卒業だね。また何かあったら、顔出してくださいよ。皆待ってますから。…ね?」
笑顔でうなずいて手を振る在校生たちに送られ、斎と咲良は三年間の放課後を過ごしたクラブの活動拠点を後にした。
不意に、咲良が何かを口ずさむ。
♪最高の…思い出を…
2005年に解散したガールズバンド・ZONEの「secret base~君がくれたもの~」だった。
「僕たちの秘密基地とも、さよならかぁ…」
「秘密、基地…?」
咲良は斎に向き直り、
「そうでしょ?あたしたちの、『秘密基地』…」
そして、今来た廊下を振り返る。
「第一理科室…教室よりも思い出が詰まってる場所。色んなこと企んで、失敗もして」
「…そうだね」
斎が微かに笑う。
「先輩たちも、きっと同じ思いでこの廊下を歩いて行って…振り返ったろうね」
時は巻き戻せない。ただ、前へと進むほかない。しかし――
同じ場所で・同じ時を過ごした、記憶。それは財産であり宝物。いつか、心を支える柱となり、懐かしく思い返すことが出来るもの。
「今日は『終わり』じゃない。立ち止まってる時間、もったいないよ」
二人の先には、春そして新しいスタートラインが待っている。
<Mar-2011>
*
そして、後日談・未来予想図として、
201X~ Someday, somewhere
■あの日の空と望遠鏡~Asuka and Miu
■未来は変えられる~Nayuta and Maki
■君がそこに居るだけで~Keito and Chika
■私の帰る場所~Itsuki and Sakura
という構成を考えており。
ドリカムの「時間旅行」じゃないが、2012年の金環食のタイミングで飛鳥と魅羽が結婚を決めた的なくだりがありましたね…。
これは飛鳥本人も一人称の外伝で、
*
考えてみれば、この地球上には何十億という人間が居るのに、『運命の人』がこんなに早く・こんな近いところで見付かるというのはロマンに欠ける話ではある。
けれども、こればかりは多分理屈じゃないから…それでいい。
*
と述べているとおりでもあり。。
何年も書き継いできたものなので、やはり思い入れはありますよね…
出せそうにはないけど(困)。。