『オランピアソワレ』感想
☆あらすじ
〔白〕の少女が舞うと夜が遠離る。自らを「オランピア」と名乗り、人形のように微笑むこともなく、人形のように舞い続ける彼女を人々は敬い、恐れていた。命よりも色を重んじる天供島で、彼女はたった一人しか存在しない色を持つ。稀少な〔白〕を途絶えさせないためにここで18歳を迎えた彼女は交配相手を捜さねばならない。過去の出来事から外界との交流を拒んでいた彼女は亡き母の言葉を信じて一歩を踏み出す。本当の自分を愛してくれる者を見つけるために。自分が求める魂の半身と出逢うために。
☆スタッフ
・ディレクター: 渡邉渡さん
・イラスト: さといさん
・シナリオ: 片桐由摩さん
☆MUSIC
・OP: 「たとえともに」 ENAさん
・ED: 「誰よりも」 ENAさん
「ひとこと」 ENAさん
・メインテーマ: 幾千幾万幾重ノ色色-イクセンイクマンイクエノイロイ
ロ-
☆主人公
・オランピア
唯一存在する〔白〕の少女。太陽を輝かせることができる舞手であり、「オランピア」と呼ばれている。18歳の誕生日を迎えたことをきっかけに夫捜しを始める。白鼠の「だいふく」を飼っている。
本名は「白夜」。孤高な存在で気丈な性格なのかと思いきや、天真爛漫で好奇心旺盛でいい意味でギャップがあって可愛かった。知らない土地に連れて来られて、周囲に身寄りもなくただ崇められている存在だからこそ、本当の自分を偽らざるをえなかったのかもしれないけど、外に出て手紙配達を始めるオランピアの姿に好感が持てた。璃空に止められながらもすぐ黄泉に行く行動力も好き。とても人間味があって、強くて美しいヒロイン。
☆攻略対象と感想
・朱砂 (CV.松岡禎丞さん)
中立組織「コトワリ」の若き所長。オランピアの保護条例を出し、彼女の夫捜しを促す。冷静沈着で、一切私情を挟まないところから『鉄仮面』と呼ばれているが、面倒見はよく、陰になり、日向になり主人公を手助けする。
ヒムカ√のあたりから様子がおかしい全力全開センター男。この男の強さをまざまざと見せつけられた。夫捜しを促すわりには、自分の√に入った途端めちゃくちゃグイグイくる。でもその一方でオランピアの好感度が最初低いのが面白い。しかも料理できてしまうので、とてもお腹が空く。燻製いいな…ってなりました。この√になると初っ端から天女島にも行けてしまうし、そこの問題以上にイザナミの問題が起こるのでね。時々、本当にふとした絶妙な瞬間に敬語が崩れるのも良かった。あと天女島で生まれた男児っていう珍しい肩書きがあるんだけど、それどうしてだったかあまり覚えていない。スサノオの生まれ変わりだから特別待遇?「生きたいように生き、愛したい女を愛します」って言葉もそうだし、オランピアを助けるために死に水に迷いなく飛び込んだ朱砂さん、本当に運命にガンガン反していく男。どういう精神力?色に縛られている天供島でここまで強く自由にいられたのは、〔赤〕という身分ゆえなのかもしれないけど(業が深い…)、スサノオの生まれ変わりとして見られながらも、我は我を突き通した朱砂は強いよ…。だからこそバドエンのオランピアを刺して殺してしまうエンドがより輝いているんですけど。あとここで、道摩の過去もわかって、最後に道摩がオランピアを抱きしめてそれを朱砂が見守るっていうスチルが良かった。あとCERO D
シーンが一番えっちだった。
・玄葉 (CV.杉田智和さん)
中立組織「コトワリ」の副所長。免疫研究に力を注いでいる医学博士だが、主人公をみるとからかわずにはいられない性格。空気を読むことに長け、場を明るくするみんなの兄的存在であるも、内心では色層という階級制度には強い反発を覚えている。
一番年上なだけあってもちろん大人な部分もあるんだけど、オランピアの水着姿を見て照れたり、ハンカチを拾ってもらった時とか薙草のこととかで嫉妬したり、結構可愛い大人だったなというイメージ。可愛いと色気の共存。百戦錬磨とかじゃなかったのかあ…ってなった。天供島にはびこる剥を治療するための薬を作ろうと頑張っている所とか、飄々としているように見えて、中身はひたむきで真っすぐなんだなあと感じた。最終的には剥の特効薬の白妙を作り出したりするというのに、その前にプレイした縁の衝撃が強すぎて、所々記憶が飛んでいるのが申し訳ないところ…まーじで申し訳ない気持ち。自分のためにオランピアが薙草に抱かれそうになったって聞いた時の余裕を無くした時の玄葉がやばかったみたいです。まあでも確かにいつも飄々としている男が必死になるのいいよな…。ちなみにハンカチのスチルが好きです。とても良かった。面倒臭い男・雑草に詰められて、私の夫は玄葉ですって言ったオランピアちゃんすごくかっこ良かったです!あと朗読劇とか諸々見たりして、なんか黄と関係があるっぽい感じだったけどなんでだっけ…元々[黄]の生まれだったんだっけ…。本当記憶・・・。
・璃空 (CV.島﨑信長さん)
黄泉警邏隊に所属する軍人。黄泉に繁がる鳥居の警備と巡回が主な役目。「拔」の優秀な使い手であり、次期「青」の長を約束されているため、自らの役目を果たそうと日々精進している。
最初に攻略したんだけど、クールな見た目に反してハンバーガー好きだったり初心だったり、オランピアに躍らされている所もすごく可愛い。オランピアがだんだん璃空の扱いを心得ていく所も面白かった。舞を指南する時の真面目で美しい表情もハンバーガーを食べて嬉しそうにしている表情も素敵。多分一番表情豊かであと表情と挙動で感情がわかりやすい。そのギャップが良い!誇り高い青の次期長でありながら、実はハズシの子であるという過去を持っている璃空なんだけど、そんな過去があるから、誰よりも誇り高くあろうとしていた所とか、それを黄泉の桜の下でオランピアに告げる所が美しくてとても好きだった。自己肯定感の低い璃空が「俺が意気地の無い、つまらない男なのは知っての通りだ」と言った後、オランピアがすかさず「そんなことは思っていないわ」と真っ直ぐ伝えていたのが良かった。そして極め付けの「俺は…この世界の誰よりも〔青〕でありたかった」ってそりゃそうですよ。たくさん葛藤しただろうし、島﨑さんのお芝居も相まって、璃空が一言一句丁寧に大事に言っていて、オランピアを信頼して打ち明けたんだろうなと感じた。何に対しても誠実な所が素敵です。臆病な璃空を導くオランピアも最高です。まあまあ奥手な璃空が縁とカメリアの手助け(?)もありつつ、一夜を過ごせて良かった。まあ押し倒したのはオランピアですが。櫛を贈ったのも好感ポイント。珠監様にはオランピアをどれだけ想っているかを言えるのにオランピア本人には伝えられないのが、「おい~!」ってなったけど、いつか直接伝えられるといいね(?)珠藍様のバドェンももちろん良かったけど、璃空の未練がましい男エンド良かったです。スチルも好き。
・天草四郎時貞 (CV.上村祐翔さん)
天供島に漂着したマレビトの一人。〔緑〕に帰化したため、〔緑〕の長の元で暮らしている。 以前の記憶は残っているが、多くを語ろうとしない。だいふくの弟である自鼠の「パリス」を飼っている。
出自が天供島ではないマレビトだからこその苦悩が伝わる√で、他√とはまた違った新鮮みがあった。オランピアを背負った時の「やっと……お姉さんのために何か出来て嬉しい」って言葉とか、「だから……僕がここにいるのを誰が許してくれるのかなって」って言葉が時貞の儚さとか苦悩とかを象徴しているんじゃないかと思いました。よりどころがない不安は"英雄”として崇められていたこそ、より強いんじゃないかって。 オランピアちゃんと慎重に距離感をはかっている所とかにも時貞のおびえのようなものが現われているようで好きでしたね。でもひとたび距離が縮まったら結構グイグイ来て、「お姉さんがいい」「お姉さんじゃなきゃ嫌だ」「お姉さん以外……触れたくない」っていう時貞三段活用を生み出していたわけですけど。なのに自分で初心で奥手な少年って言っちゃうあざとさと強かさよね。まあそれ自体は間違ってないんですけど。個人的にはクルスとクルスを合わせるスチルがとても好きだった。神聖さがケタ違いでしたね。この√、柑南もいい仕事をしていて、「白鼠は……やはり僕の元には来てくれないらしい」って言った柑南よ…。まあ私はこの時まだ柑南のことをそんなに知らなかったので「なんなんだこの男…」程度にしか思っていなかったんですけど。バドエンも伝説ですねアレは…。時貞もラストはオランピアの事もそうだけど桃のこと、緑の長のことっていう“役割”が見つかって良かったし、天供島での新しい生を楽しんでほしいです。
・縁 (CV.内田雄馬さん)
黄泉で一番大きい店である湯屋「死董城」の主人。自ら「地獄太夫」と名乗り、黄泉を仕切る権力者でもある。特技の占いと、自慢の薬湯で客をもてなしている。
この男が!今回の戦犯です!何度頭を抱えたことか!色気ムンムンの縁だけど、それだけじゃない、まさにこの作品の運命cpです…。cvも内田弟だし、私の好きを具現化したようなキャラだった。紫の言い伝えがあって白は憎むべき存在なのに過去のことで愛さずにはいられない。でもよく考えたら縁って自分とか家族が白に何かされたとかそういうわけではなくて、あくまで自分が接してきたオランピアをとるの、割と現実的な縁らしいなとも思ったりもする。幼い頃出会ったこともないオランピアからもらった貝がらを後生大事に持っているの最高でしたね…。もうここで完全に落ちた。紫の仲間がいなくなって一人黄泉に落とされた縁と白の仲間がいなくなって孤高の存在として生きていたオランピアが出会ったのもまさに運命ですよ。そこに月黄泉って存在がいたからこそだとも思うけど。ちなみに私は、天女島の言い伝えを聞いた時思わずオランピアを追い出して「まるで僕が本当に半身みたいじゃないか」って赤面したシーンと、天女島でのイチャイチャシーンです!縁√から天女島に渡れることも発覚したので感動もひとしおでした。オランピアに対しては結構初心な所もありつつ、でも魂の半身になったら色気満点で迫ってくるし、ずっと地獄で生きてきているから物騒な一面があるのも全部縁の魅力ですよ。あと本人の√ではないけど、時貞√での「う・そ」って言葉が言い方含めとても好きでここで8割縁に落ちたと言っても過言ではない。ハピエンでは明日羽やカメリアも含め黄泉メンバーが一緒に海ではしゃいでいてとてもまぶしかったし、一歩前進や…ってなった。…し、バドエンも月夜の咎人エンドが特に好きだった。縁の晶がとても美しくて、拔を施したのがオランピアっていうのも業が深くて良かったです。
・ヒムカ (CV.堀江瞬さん)
「弔い屋」と呼ばれる少年。非常に強い拔の力を持っており、日々黙々と黄泉の人間の魂を晶に変えている。自らのことを語らないため、彼自身のことを知る者はほとんどいない。
HPにも公開されているひょっこりはんスチル、すっっごく可愛いかったです!オランピアに出会えたことに感極まるヒムカも微笑ましくてとにかく最初は可愛いの塊という感想。ゲームをプレイしていくうちに途中からそうなんじゃないかと思っていたけど、ヒルコ様その人でしたね。ネガティブ思考だったり、控えめなのも両親に捨てられたっていう過去があるからだろうね。「僕はお婿さんにはなれない。だけど、それでもあなたの事が大好きだよ」って言葉、切ないのはわかるけどどういう意味なんだろうって思っていたら、実は「人間」ではなくてそこに苦悩を抱えていたりだとか、アマテラスへの憧れをオランピアに重ねていただけのはずなのに、次第にオランピア自身を見るようになって、恋になってっていう積み重ねがあって苦しくなっちゃったよ。ヒムカ消えてしまうし、アマテラスの助けもあって人間として復活できたこと、オランピアの花婿になれたことが心から嬉しかった。花婿になれないと言っていたヒムカが「僕は貴女の花婿なんだからね」と言ったのがエモい。個人的にヒムカの√は時計草の実を食べるシーンが甘美で好きだったし、あとバドエンの楽園がオラソワのバドエンで一番好きだった。美しさの中に潜む影って感じがたまらなく好きでした。スチルもとても綺麗だったし。攻略制限かかっていたこともあって色々なこともわかっていく楽しい√だった!
☆総評
CERO Dゲーム、多分オラソワが初めてだったんだけど思っていた以上に甘美で刺激的だった。CERO Dも色々あると思うけどね。日本神話も好きだから全体的に楽しめたし満足だった。主人公のオランピアもいい意味でギャップがあって好みの主人公だった。恋愛過程に関しては、どうして好きになったのか疑問に思ったり、恋に落ちるの早くないか?と思う部分は否めずそこが惜しいポイントだったかな。シナリオもボリュームあって読みごたえは◎だったけど、まだ天供島の根本的な課題が解決したわけではなく、まさにスタートラインに立ったばかりなのでFD出てほしいなと思います。この制作陣の特徴なのかわからないけど、サブキャラも含めキャラクターの作り込みがすごくて、エンド後におまけで見れる手記とかでキャラの造詣はかなり深まる。まあそれでももっと見たいと願ってしまうのがオタクの性なんですけど。エンド後に流れるボイスとかシステム面がオタクの需要をよくわかっていて良かった。とにかくFDを出してくれ。切実です。
☆攻略順
璃空→時貞→縁→玄葉→ヒムカ→朱砂
☆CERO
D (17歳以上対象)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?