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海外のVRDJさんを日本(cluster)のイベントにお招きするためのToDo

Discordでつながる

まずはDiscordでコミュニケーションできる状態を作ります。誰かのサーバーの中で、打ち合わせ用のチャンネルを作るか、サーバーがなければ、フレンド登録をしたうえで、グループメッセージでも大丈夫です。

グループメッセージは、自分を入れず最大9人まで招待できます。

イベントの日程を決める

海外の演者さんと日程を決めるにあたり、時差について知っておくことが大事です。
時差はいろいろありまして、ばらけすぎていると告知の表記が大変なためか、USのメンバー主体のイベントでは、EST(EDT)が使われ、ヨーロッパのメンバー主体のイベントでは、CET(CEST)が使われることが多いようです。

日本との時差

アメリカ(東部時間):-14時間(サマータイム時は-13時間)
アメリカの場合は、EST(東部時間:ニューヨークなど)を使う場合が多いようです。3月第二日曜日から、11月第一日曜日までは、サマータイムとなり、表記もEDTと変わります。

ヨーロッパ(中央ヨーロッパ時間):-8時間(サマータイム時は-7時間)
ヨーロッパの場合は、CET(中央ヨーロッパ時間:パリ、ベルリン、ローマなど)を使う場合が多いです。3月最終日曜日から10月最終日曜日までは、サマータイムとなり、表記もCESTと変わります。イギリスに関してはBSTという表記を用いて、-9時間となります。

アジア、オセアニアなど:だいたい-2~+1時間
国によって違いがあるものの、だいたい同じ、という認識で、アジア各国やオセアニアの方々と時差の話をすることは少ないです。

時刻をコミュニケーションする方法

この時差を、それぞれのタイムゾーンごとに、計算をして表記するのは大変ですし、誤記もあるかもしれません。そんなとき、便利な方法があります。
Discordでは、ユーザーのタイムゾーンに従った時刻表記を自動的に行ってくれる機能があります。

<t:[UNIX時間]:[アルファベット1文字]>

の表記で書き込むと、自動的に見ている人のタイムゾーンの表記に変わります。UNIX時間とは「協定世界時での1970年1月1日0時0分0秒からの経過秒数」とのことです。
出したい日時のUNIX時間を導くのはうるう秒とかもあってたいへんなので、ツールを用いるのがよきです。

これを使うと、時刻とタイムゾーンを指定すると、Discordにペーストできる形で文字列を生成してくれます。

最後のアルファベットの一文字の付け方で同じ日時をいろんな表現で使い分けられますので、活用してみましょう。

イベントのタイムテーブルを決める

とくに、タイムゾーンの異なるメンバー間で一つのイベントを開催するときは、ほかの作業よりも優先して、出演順番などのタイムテーブルの調整を行いましょう

人によっては、早朝だったり深夜だったりで騒げない時間帯だったり、あるいは仕事をしている時間帯だったりします。なので、基本的には週末が候補となります。

余談:VRChatでの海外イベントは、開催時間が6~8時間と長めに取られていることがよくありますが、複数のタイムゾーンに対応できるようにする配慮もあると思います。日本のゴールデンタイムに、異なる時間帯に住む方々を一同に集めるのは結構難易度の高い調整です。

告知用クリエイティブの確認依頼

イベントフライヤー、イベントページなど、草案をまとめて演者さんたちに確認していただきます。とくに注意すべきは、

  • パフォーマー名の表記 … アルファベットの綴りはもちろん、大文字小文字の区別や、特殊文字・記号も正確に表記しましょう。かのA.M.Cさんも「文字の間にあるドットはいろんな事情があるから付け忘れないでね」とおっしゃってます。

  • パフォーマーのジェンダー表現 … SNSではどの代名詞を使ってほしいかを表明する欄があったりします。よく、自動翻訳を使われる方は、日本語だと人称に性別が特定されていないときに、翻訳したものがご本人の性自認と異なる表現になっている場合があります。気を付けましょう。

  • タイムゾーンの表記 … ここをミスすると、演者さん、オーディエンスにとって、本番時刻にいなかった、という悲劇になりかねません。日時には必ず、JSTなどタイムゾーンの表記を添えましょう。海外タイムゾーンでは、春・夏はサマータイムなどもあるので、1時間ずれが起きないよう、確認は念入りに。。。時刻を24時間表記するのは日本特有なので、海外の方向けに伝えるときは、12時間(am / pm)表記を用いたほうがベターです。

VRChatのユーザーをclusterに呼ぶ場合

ここから先は、日本人中心に使われているVRSNS「cluster」にVRChatの海外ユーザーをお呼びする際のすべきことについてまとめます。

アプリをダウンロードして、IDを作ってもらう

こちらからアプリをダウンロードし、IDを作ってもらうように連絡しましょう。

主要なヘルプを教える

以下の主要なヘルプを見てもらいましょう(英語版)。アカウント作成、ユーザーIDの変更、アバターのアップロードが主に必要とされるところだと思います。イベントスタッフ登録にはIDが必要なので、余裕をもって作ってもらいましょう。

アバターのVRM対応をサポートする

ここが最初の難関だと思います。VRChatのアバターをclusterでも再現したいところですが、VRMというフォーマットは海外VRSNSユーザーにはほとんど知られていないのが実情です。大まかに以下の手順を案内して、それなりに作業が必要なことを早めに示しておきます。

1.VRChat Creator Companion(VCC)から、アバター用の新規プロジェクトを作る

2.「VRM Converter for VRChat」をインストールする

VCCにリポジトリを登録してインストールするのがスムーズです。

VRChat CreatorCompanion (VCC/VPM) のコミュニティリポジトリとして、以下のURLを追加します。 https://esperecyan.github.io/VRMConverterForVRChat/registry.json ※以下のURLをクリックすることでもリポジトリ追加が可能です。  https://id.pokemori.jp/vrm-converter-for-vrchat

VRM Converter for VRChat

3.VRChatアバターの変換、調整、VRMへの書き出しを行う
上記ツールで、VRChat向けのアバターをVRMに変換したあと、

  • MToonシェーダーの色味調整

  • SpringBoneの設定(ボーンとコライダー)

  • 表情用BlendShapeの設定

を行っていただきます。Humanoidボーン形式なら、だいたいなんとかなるはずなのですが、ユーザーさんで改変をしていたりなど、そのまま変換できない場合があります。とくに、T-poseでない場合はVRMに変換できないので、それで困ったときは以下のツールを試してみてください。

あとは、Gumroadで売っているVRChatアバターは、マテリアルにpoiyomiシェーダーが使われていることが多いです。VRM標準のMToonでは表現に制約があるので、テクスチャや設定で見た目を近づけることはできても、完全に再現はできないことに留意する必要があります。

アバターをコンバートすることの詳細については、こちらに英語に翻訳した記事がありますので、ぜひご紹介ください。

イベント用インスタンスへの入りかたを案内する

VRChatと異なる点に、イベント用のインスタンスの存在が挙げられます。事前にcluster内での合流方法を知っていただくために、以下に案内文のテンプレートを作りましたので、適宜お使いください。

Important
Here is an explanation of how to join the event instance.
Unlike VRChat, Cluster sets up a dedicated instance for events, and there are two ways to join:

Method 1: From the Cluster app, find the event thumbnail in the "Events" section and join from there.
Method 2: From the Cluster event web page, click the "Enter " button and join from there (this will require restarting the app). 
(イベントページのURLを書く)

You can use either method, but please note that the latter requires restarting the app.

あと、スタッフ向けに別のスポーンポイントを設定しているときは、事前にパフォーマンスをする場所までの導線を案内しておきましょう。(VRChatにはない動作なので、混乱しがちなポイントです)

音や映像の出し方を案内する

音や映像の出し方については、以下のヘルプで案内します。

ただし、clusterの環境にまだ慣れていないユーザーは、本番当日でこれらを使いこなすのは困難であることが予想されます。

したがって、個人的には、上記のヘルプを案内せず、誰かをホスト役にして、OBSとVRCDNを使って、RTMPで映像と音声のストリーミングデータを送ってもらい、それをホスト役がOBSの「メディアソース」で受け取り、受け取った音や映像を、clusterへの入力にする形式がおすすめです。

構成図

その場合、VRChatでいつも通りの手順で出力するのと同じなので、新たに習得にかかるコストもありませんし、事故の確率を下げられます。

VRCDNはプライベート回線が使えるVRCDN100のプランなのが前提です。詳しい使い方はこちらにて。

よくある質問への対応

  • フルトラッキングはできる? -> できる!

  • VRで集合写真を撮りたいとき、カメラをどう移動するの? -:> 他の人に撮ってもらった写真をもらいましょう!

  • 持ち時間オーバーするとどうなる? -> イベント全体で4時間の制約があります!その範囲内ならだいじょぶ。

イベント中のコミュニケーションについて

何かあればDiscordで連絡を取り合うことを事前にとりきめておきます。

たとえば、予定の時刻に集まれない、音が出力されない、など、トラブルは何かしら必ずあるので、その時にスムーズな対処をするためには、リアルタイムで連絡できる手段を確保するのが第一です。

VRで参加される方には、XS Overlayや、Virtual DesktopでフローティングウィンドウにしてDiscordの所定のチャンネルやダイレクトメッセージを見えるような状態にしてもらうか、常時接続のボイスチャットにつなぎっぱなしにするのもありです。

以上、海外のVRDJさんをお招きする際のポイントについて述べてみました。音楽は国境や文化を越えて一緒に楽しめる共通言語なので、積極的に国際交流して、楽しみをひろげていけたらいいですね! ではでは☆


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こはだ
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