TikTok Japanを卒業しました!
気づいたら、TikTok Japanを卒業してから割と月日が経っていました。周りの方から「TikTokでどんなことやってたの?」と聞かれることがよくあるため、TikTok Japanでの思い出や経験をnoteにまとめようと思います。TikTok時代で特に思い入れのあるハロウィン当日に公開します!
2021年6月にTikTokの運営会社であるByteDanceに入社しました。ByteDanceというと聞いたことがない方もいるかもしれないので説明をしておきます。ByteDanceは、TikTokをはじめ、写真加工アプリのUlikeや動画編集アプリのCapCutも運営しています。ユニコーン企業としても有名で、企業評価額も、もの凄い勢いことになっています。世界を代表する企業にいる誇りを持ちながら仕事に取り組んでいました。
入社のきっかけ
TikTok Japanに入社したきっかけはスカウトでした。かっこよく言うと、ヘッドハンティングです。当時、動画制作会社でコンサル営業をしており、転職してまだ1年も経っていない時期でした。ふとWantedlyを開いてみると、TikTok Japanの人事からスカウトメッセージが届いていました。TikTokってスカウトしてるの?と最初は疑っていたのですが、よくよくメッセージを読むと企画ポジジョンでの入社打診でした。
もともと企画職に興味があり、新卒で入った会社でラジオ番組の構成を考えたり、動画制作会社で動画コンテを自主的に作って提案していたりしました。TikTokのカジュアル面談で人事と話すと、TikTokのリソースを使ってもっと自由に企画ができそうということが分かり、正式にエントリーすることにしました。
面接はかなりカジュアルでした。1次、2次面接では、一緒に働く現場の社員(のちの恩師たち)と会話。「この動画が流行っている理由は?」「どんな企画が刺さりそう?」といった質問をしていただきました。また当時2021年Instagramの文字入れコンテンツが流行り始めた頃に、カフェのキュレーションメディアを自分で立ち上げて運営をしており、それに興味を持ってくださり、多くの質問を投げかけていただきました。そのアカウントは自分で立ち上げて運営していたのですが、誰から言われたわけでもないのに自主的に運営していることが好印象だったようです。2024年現在はそういう人も増えていますが、2021年当時はそれほど多くなかったのかもしれません。
またAfter Effectsを使ってアニメーション動画を作ったり、個人事業として当時テラスハウスに出演していたタレントのYouTubeチャンネルの編集をしていたことなども、エンタメ業界に親和性があるとも思っていただいたようでした。
とんとん拍子で話が進み、最初のコンタクトから2,3週間程で内定をいただきました。後から聞くと、謎に当時1番の内定スピードだったようです。ほんとなのか分からないですが、嬉しい(笑)
ただその当時、動画制作会社で働き始めてまだ1年も経っていなかったこともあり、TikTokからオファーをいただいても本当に入社するかどうかは迷っていました。そこで、追加で同世代の2人と話す機会をもらい、考えることにしました。その2人の話を聞くと、かなり自由に働いている様子が伺え、またチームの上司がキーマンで、かなりやりたいことやらせてくれる環境ということで入社を決めました。
リモート入社
当時2021年、コロナ禍だったためリモート入社となりました。自宅にMac book Proが郵送で届き、そこからフルリモートがスタートしました。チャットツールのアイコン写真は自由で、mtgも顔出しをしなくていいという感じだったため、ほぼ1年間は顔を知らない人とずっと仕事をしていました(笑)そして、ずっと家でリモートだと煮詰まるので、月に何回かワーケーションへ行っていました。
社内ツールがかなり多く、マニュアルも英語や中国語なので、自分から声をかけ、チームメンバーに15-30分の時間を割いてもらい、ツールの使い方などを教わっていました。ちなみに社内チャットツールのLarkもByteDanceから提供しているもので、かなり使いやすく、今でも愛用しています。これは元ByteDancerの多くが共感するはずです(笑)GoogleドキュメントもSlackもZoomもFigmaも全てシームレスに統合されているようなイメージで、使いやすい。おすすめです。
当時、オフィス移転前は新宿にオフィスがあり、用事があるときだけ申請して出社するスタイルで、そこで偶然会った人と挨拶し、やっと会えましたねという感じでした。入社して1年後くらいの時に、大きめの企画をローンチした後、そこで改めて社内の人と挨拶ができ、その後からかなり仕事がしやすくなったことを覚えています。
2023年、LINEがかつて入っていた渋谷ヒカリエにオフィスが移転し、週3出社になりました。オフィスはかなりクリエイティブな環境で、フリーアドレス制、メインオフィスデスクは昇降デスク、お菓子やフリードリンク、お昼にお弁当支給、キャンプの椅子やハンモック?などがある環境でした。よく気分転換に場所を変えて、仕事していました。
思い出を振り返っていたら、前置きが長くなってしまいました。そろそろTikTokでのお仕事の話をしたいと思います。
TikTok Japanで取り組んだこと
アーティスト・IPコラボエフェクトの推進
まず最初にTikTokの運営チームの中で、エフェクトを推進するチームに入りました。エフェクトは、TikTokで誰でも気軽に遊べるもので、有名なものだと、#AIマンガ、#頭身診断などがあります。そういったエフェクトを流行らせるというのが、最初のミッションでした。運営チームのミッションはDAUを伸ばすことで、その中でエフェクトを流行らせることは全体の投稿数や再生回数、休眠ユーザーの回帰にも繋がるという考えて取り組んでいました。またTikTokが広い世代にとって多様なコンテンツが楽しめる動画プラットフォームとして認知されるよう、コンテンツの拡充を通じたある種のブランディングとしても行っていました。
エフェクトを流行らせる方法として、まずは"遊び方"を見つけること。「この"遊び方"をすればバズりそう」とクリエイターに想起してもらえるよう工夫し、色んな試行錯誤をしていました。その後、既存のエフェクトを流行らせるところから、新規でのエフェクト作成に注力しました。特に、新規エフェクトを開発してアプリ内でイベントを開催したり、アーティストやタレントとコラボし投稿キャンペーンをローンチすることで、ファンの新規流入などを狙っていました。
2021年6月1日に入社して約1ヶ月で企画書を提出し、その後の約1ヶ月でローンチしたのがこちらの企画です。ローンチ日が8月27日になっているのを見て、急ピッチで実施したのを思い出しました。
食材にカメラをかざすと「食材の気持ち」が読み取れるというエフェクトを開発しました。コロナ禍でおうちご飯がトレンドだったことを皮切りに、食材の気持ちを聞きながら料理をすると、普段の料理がちょっと楽しくなるのでは?と思い企画しました(笑)
その後、より良い企画を生み出すために、宣伝会議のコピーライター養成講座に通い、電通や博報堂のクリエイティブディレクター・コピーライターの方々から企画の立て方などを教わりながら、日々業務に取り入れていました。ちゃんと金の鉛筆も貰いました。
ハロウィンの時期には、オフラインも絡めたイベントをローンチしました。JO1にアンバサダーを務めていただき、渋谷に貞子を歩かせたり、池袋ハロウィンフェスでフォトブースを出店しました。限られた予算で行う必要があり、代理店を使わずに全て自分で企画から実行まで行ったため、かなり大変でしたが、昨年対比の投稿数・再生回数を大きく上回り、結果は大成功でした。イベント準備から当日にかけて、会社の先輩や後輩が親身に手伝ってくれたり、イベント当日に上長がGODIVAの差し入れを持って応援しにきてくださったり、たくさんの方が協力してくださって、本当に感謝の気持ちでいっぱいでした。
企業コラボにも取り組みました。学生時代に働いていたスターバックスとのキャンペーンで、これもまた思い入れがあります。夏に大人気の「バナナナナバナナ」フラペチーノを絡めたエフェクトを開発。首を振るとバ・ナ・ナと音を奏でるエフェクトで、キャンペーン期間中に全国のスターバックス店舗で発行されるレシートのQRを読み込むと、TikTokエフェクトが楽しめるという取り組みでした。期間中、テンション上がってフラペチーノを3回程買った覚えがあります(笑)
その他にも、アーティストやアイドルグループとも様々なコラボレーションを行いました。長くなるので、ここでは一部を貼っておくのみにします。
フォトモードの立ち上げ
2023年からTikTokで写真をカルーセル形式で投稿できる機能、「フォトモード」がローンチされました。ローンチ当時、まだ誰も「フォトモード」のことを知らない状況だったため、認知・投稿浸透施策を行いました。日本は特に海外と比較しても漫画カルチャーが盛んで、フォトモードはかなり漫画家さんと相性が良さそうということで、SNSで漫画を投稿されている方に向けて勉強会を開催しました。TikTok運営から直接勉強会を開催するということで、有難いことに満足度はかなり高かったです。
他にもCanvaクリエイターに向けて勉強会を開催し、Canva内にフォトモードテンプレートのタブを開設いただき、ユーザーがフォトモードを投稿しやすいようにテンプレを拡充してもらいました。またCanva公式から使い方動画も公開してくださり、分かりやすい導線にもなっているかと思います。
また出版社とも取り組みを行い、VOGUE JAPANやOggi、CanCamなどの公式アカウントから雑誌の表紙や一部コンテンツをフォトモードとして投稿するカルチャーができ始めました。TikTokで #雑誌 などを見ていただくと、分かりやすいかと思います。東京ガールズコレクション(TGC)やガールズアワードの公式アカウントからも芸能人のランウェイ写真やスナップ写真が投稿されるようになり、フォトモードの芸能人投稿も増えたことで、クリエイターにもフォトモードの投稿習慣が広がっていきました。
Effect House Community Managerとして
これまでTikTokのエフェクトは"遊ぶもの”でしたが、「Effect House」の登場によって"作るもの"にもなりました。「Effect House」というARツールで、TikTokで遊べるエフェクトを誰でも気軽に作ることができるようになりました。UIがUnityなどに似ていて、ゲーム開発者にも親しみのあるツールとなっています。
その「Effect House」を拡げるべく、Community Managerを担当していました。具体的には、「Effect House」を利用するクリエイターのコミュニティ作り、マネタイズ施策、コラボなどの認知施策、利用者拡大に向けたキャンペーンなどです。認知施策では、「東京ゲームショウ2023」に出店したり、ゲームセンターGiGOとコラボし、ゲームコーナーやフォトブースを設置したり。コミュニティ作りでは「Effect House」での制作スキルアップ向上を目的に勉強会を開催したり、ユーザー拡大に向けて友達紹介キャンペーンを走らせたりしました。
上司・メンバーに感謝
私を採用してくれた直属の上司は仏のようなかなり懐の広い方で、私含めメンバー全員から慕われていました。新しい試みをすることに対していつも前向きに応援してくださり、何か相談したら「全部お任せします」「責任は私が取るので大丈夫です」というのが鉄板でした。マイクロマネジメントはなく、メンバーの自主性に任せる方針で、チームメンバー全員伸び伸びと仕事をしていました。仕事が大変なときは、この人のためなら頑張れるなと思って仕事をしてました。海外出張も行かせていただき、良い経験をさせてもらいました。
一緒に働く同世代のメンバーや年上の方も皆いい人ばかりで、プライベートもフルマラソンを一緒に走ったり、キャンプに行ったり、サッカー観戦に行ったりとよく遊んでもらいました。
そんなこんなで、今回TikTok Japanで思い出や経験をnoteに記録として残せて良かったです。今後もこのように経験の棚卸しにもnoteを活用できればと思います。ではまた!