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AI設計論|広域越境デザイン

AIによって切り開かれる空間デザインの可能性について考えるノート。3回目の切り口は"解釈"。「AIの理解力と統合力がデザインジャンルの横断を加速させるんじゃないか?」という話し。

空間デザインにおける越境の歴史


たとえば、ル・コルビュジエは美術や彫刻の要素を空間に取り入れ、フランク・ゲーリーがコンピュータサイエンスを設計に取り入れたように、空間デザインは、これまでもアートや多様な異なるジャンルからの影響を受けながら進化してきました。建築に限らず、デザインは昔から領域を横断して影響を受け合って進化してきましたが、近年では「越境」という言葉を用い、形のないものもで含めて語られています。AIはこの動きを加速させるツールなのではないか?という話しです。

AIの解釈力


AIは高い「解釈力」と「統合力」を持っています。特に、画像生成AIの画像統合力は日に日に増してきており、プロンプトに入力された言葉を咀嚼した上で、現実には存在しない概念や、人間の想像を超えたアイデア「それらしい形」を具現化してくれます。
例えば、「パイナップルのような家」や「風船のような家」といったプロンプトでは下図のようなをビジュアルが生成されます。

これによって生じるのは、今まで切り捨てていた案の具現化です。時間や手数の制約で形にできなかった案を頭の中を外にだせるようになりました。これが”建築の広域越境”に繋がるのではないかと考えています。


設計の広域越境


理由の前に、そもそもの前提の話しをちょっとだけします。

昨今の建築業界の越境は、デザイン業界全体で起きている盛り上がりにあまりついていけていません。これは、昨今の越境に含まれるUXやストラテジーと比較して、空間デザインは規模も大きく複雑性も高いため簡単に引用できないことに原因があると考えています。限られた時間の中では、検討に優先順がつき、結果的に越境を諦めることが起きている気がします。

この前提をAIの力を借りることで乗り越えられると思うのです。例えば、これまで建築デザインではあまり引用されてこなかった音楽やファッションの概念である「Vaporwave」や「Y2K」といった言葉をプロンプトで入力すると、下図のような空間デザインが生成されます。

"らしさ"のある空間になっていると思います。これが示すのは、従来の建築や空間デザインでは参照しなかったジャンルやデザイン言語を吸収しやすくなったということです。AIがもたらすこのような可能性は、建築や空間デザインに新たな表現を生み出す契機となるかもしれないと考えています。

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宮下巧大
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