空間AI白書 - 活用編その2
生成AIの進化は引き続き高速で、自分だけでは実験したいことに手が追いつかなかったのですが、4月に「空間AI白書」を公開した後、仲間がたくさん集まってくれました。このnoteは白書の続編noteです。
要素を絞ったデザインをする
画像生成AIは画像が綺麗になるアップデートに注目が集まりやすいですが、プロンプトの解釈の精度も日々改善されています。その結果、特定の条件の中でデザインを検討したり生み出すことが、よりできるようになってます。
特定の素材を使用した空間を製作する
「天井 + 素材」「壁面 + 素材」のように、仕上げたい場所とそこで使用したい素材や建材を指定することで狙った空間をつくることが可能です。
特定の施設のデザインを検討する
ホテルや図書館といったように施設毎の特徴の精度もあがっており、らしい形状を出力できるようになってきました。プロンプトでテイストを固定するとで内観と外観が一致したようなデザインも出力することができます。
建築の用途毎の特徴をについては下記noteでまとめてあります。
周辺環境の要素の取り込み
追加学習やそれに準ずる機能も簡単にできるものが増えてきました。それを利用することで、街並みや周辺環境の要素を取り込んだ建築のデザインを考案することもできたりします。
東京大学の学生が中心となって、街単位で要素の学習を行っているプロジェクトもとても面白かったので是非みてみてください。
建築関連領域での活用
建築に関連する表現やプロダクトでの活用もできるようになってきました。スタディやプレゼンテーションの幅も広がっていきそうです。
ドローイングシリーズ
多様なドローイング表現もできるようになりました。
モデルシリーズ
3Dモデル風のヴォリュームスタディをすることも可能です。施設名をプロンプトで利用すると形状の変化が起きやすいです。
家具シリーズ
家具や家電のアイデアを出すことも可能です。アートやデザインのスタイルをプロンプトで使用すると安定した形がでやすかったりします。
AIを活用したデザイン手法
既存の業務やデザイン手法をAIによって効率化することとは別に、AIが存在するという前提条件ができた際にどんな新しいデザイン手法を組むことができるのかを考えることは、AIの可能性を広げていく上で非常に重要だと感じています。実験の1部を紹介します。
大量の画像から図面を立ち上げる
スケッチやドローイングとは異なり、パースを描く行為は時間のかかる行為です。なので、これまでの図面とパースの関係は図面を書いてからパースをつくるが自然な流れだったと思います。しかし、画像生成AIはパース(に近いクオリティの画)を出力できるのでパースを決めてから図面を引くのが可能になるかもしれないと思い行った実験がこちらです。
複数の部分(オブジェクト)から空間の全体像を立ち上げる
画像生成AIには描かれているものを解釈した上で、周囲の空白のスペースを埋めるように画像を生成する機能があります。これを利用すると、特定の家具や建具など建築の部分が先に決まって、そこから全体が定まっていくような空間デザインプロセスも可能になるかもしれません。
無作為な線から図面を書き起こす
現時点の画像生成AIには線の意味を理解して図面を引く能力はありません。それをあえて利用したデザインも可能かもしれません。無作為な線を大量に出力し、設計者が残す線と際出力をする線を定義。これを繰り返すことで他者性の入ったデザインを考えることができるかもしれません。
単なる画像生成からの発展例
画像生成の技術をベースとしながら、それを応用することで可能性を広げている例もみられるようになりました。これらの技術はまだ精度としては不十分なものもありますが、数年で実用に耐えるものになると想定されます。
画像生成AIを利用したVR空間の出力
画像生成の技術を利用することで、簡単なスケッチからVR空間をつくることもできます。生成AIでできることは絵の検討から立体的な検討まで数年で飛躍するかもしれません。
模型のモデル化
画像生成とは異なりますが、画像を3Dモデルにする技術も日進月歩で進んでいます。製作した模型の写真を生成AIに渡すことで3Dモデル化してくれるサービスも登場しています。
仕上げ変更の自動化
AIの技術は様々ありますが、それを組み合わせることで無限の可能性がありそうです。下記で紹介しているのはRenderyを開発する株式会社SAMURAI ARCHITECTSのみなさんが作成したものです。パースも領域選択と素材の変更をすべてAIで自動でおこなうこともできるようになってきました
ご案内
これまでに実験してきたことの記録は一覧としてみれるようにマガジンを作成しました。今後のアップデートもこちらに追加しようと思います。
レクチャーやワークショップも随時受け付けています。
連絡はDMまで : https://twitter.com/koh__dai