ケネディ大統領になろう -バブル相場の構造-
最近、職場とかで
こんな言葉を聞くようになった。
「私もビットコイン買おうと思ってるんだよね」
「僕もビットコインとかFXとか勉強したいと思ってるんですよ」
「やってるんでしょ、教えてよ」
僕が言いたいことは一つだ。
「バブルの崩壊は近い」ということ。
投資の世界にはこんな話がある。
(これはある種の教訓として語り継がれているものだ)
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1929年。
アメリカにある男がいた。
当時のアメリカは空前の株ブームで、
ニューヨークの株式市場でも
取引が毎日活発に行われていた。
男は大量の株を保有し、
大きな利益が上がっていた。
そんなある日、
彼は証券取引所の近くで靴磨きを頼んだ。
靴磨きの少年が靴を磨きながらこう言った。
「旦那、株って儲かるらしいですね。
僕も株を買ってみようかなと思ってるんですよ」
男はそれを聞いてこう思った。
(路上で靴磨きをしている少年まで
株に手を出すようになったのか…。
あぁ、もはやこの株のブームもお終いだ)
彼はその直後に、
所有する全ての株を売却した。
株価が急騰しているタイミングでの売却となったため、
その利益はとてつもない額になった。
そしてそのあとすぐに株の大暴落が起き、
空前の株ブームと思われていた熱狂は
文字通りバブルの泡と消えた。
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この話で出て来た男は
ケネディ大統領の父親だ。
彼はこの時に得た莫大な財産を元に
ケネディ一族の発展を作り上げた。
まぁ、作り話という向きもあるけど
それでもこの話が
重要なことを教えてくれることに変わりはない。
バブルの拡大、そして崩壊のステージには
はっきりとした特徴が現れる。
特にバブルの頂点付近を知らせる
シグナルとしては、
今まで興味を持っていなかった層の参入
がある。
投資家のジョージソロス氏は
バブルを下記の8ステージの構造に分類した。
■ 第1ステージ
第一幕、つまり初期段階では
このトレンドはまだ理解されていない。
■ 第2ステージ
続いて訪れるのが加速段階である。
そのときにトレンドは理解され、
市販的なバイアスによって強化される。
この時点ですでに価格は均衡水準からかけ離れてしまっている。
■第3ステージ
その後、試練の段階がやって来て
価格は一時的に下落する。
■ 第4ステージ
確立期。
もしバイアスもトレンドもこの試練を克服すれば、
どちらもかつてないほどに強くなり、
結果的に均衡からかけ離れているはずの価格が
しっかり確立してしまう。
■ 第5ステージ
だが、いずれは誇張された期待を
もはや現実が支えきれない正念場がやって来る。
■ 第6ステージ
次が「黄昏の期間」で、
ゲームに参加し続けている者たちも、
自分たちのやっていることの危うさに気付いている。
■ 第7ステージ
とうとう転換点に到達し、
トレンドは一気に下向きになり、
バイアスも逆転する。
■ 第8ステージ
その後に発生するのが
「暴落」として知られる、
破局的な下向きの加速である。
このソロス氏のモデルによれば、
価値と価格の足並みは
当初は揃って上昇していく。
しかしあるときから突然、
大幅に価格が急騰する。
その後、価格が大幅に下落して、
本来の価値を下回っていく。
ソロス氏は、このモデルが
“左右対称でない”ことに
注目して欲しいと言っている。
価格の天井は
時間軸の中心よりも後ろにあり、
価格が上昇する運度よりも
下落する速度の方が速くなっている、と。
少し相場の経験がある人なら、
このモデルは正しいと直感的に感じるはずだ。
第4ステージで一気に加速して
価格は上昇していく。
ここにくると興味がなかった層の参入を伴う。
これがいわゆるバブルの最高値というやつだ。
その後に控える第6ステージ以降では
より大きく価格が変動することになる。
しかし、次なる買い手が現れず
バブルは崩壊する。
さあ、みんなで
ケネディ大統領(厳密にはその父親)になろう。
靴磨きの少年になっちゃダメだ。
僕はビットコインを買いたいって言われたら
絶対に買うなと言ってるけど
イジワルを言ってるように思われてると思う。
かと言って、彼ら彼女らに
バブルの構造と相場の人間心理と
チャートの読み方を
2時間も3時間も講義する訳にはいかない。
いや、
それでも足りないかもしれない。
相場を知らなければ
投資では100%損失を出す。
理由は簡単だ。
売るタイミングを自分で判断できないからだ。
だったらリスクを負わせるわけにはいかない。
もどかしい。
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