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アメリカのオンライン授業#11 折り返し地点にて、4つの気づき

さて、4月から始まった大学のオンライン授業も、5週目を終え、折り返し地点を過ぎました。今回は、ここまでの感想や、気づいたことについて、書いていきたいと思います。

授業の最初は『お絵描きの時間』にしよう

普段、教室で授業をおこなう時、授業が始まるまでの時間や、終わってからの時間に、学生同士や、先生と雑談をする機会があります。そこで学生も先生もお互いのことを知って、打ち解けていくのですが、Zoom授業の場合は、そういった機会がないので、敢えて作らないといけません。

最初の5分間を、Breakout Sessionにして、学生を数人ずつのグループにして、自由に雑談してもらうという形をとっている先生もいます。私の場合は、授業の初めをお絵描きの時間にしています。

Zoom Sessionが始まる前に、Whiteboard画面を共有して、そこに、元気にしているか(How are you all doing?)という質問と、もう一つ、週替わりで何か質問をしていきます。先週は、最近やっていること、今週は、感謝していることについて聞いてみました。学生は、授業に来て、始業時間を待っている間に自由に書き込みやお絵描きをして、私がそれに反応して、コメントしたり、雑談をします。匿名なので、シャイな学生も参加しやすいようです。

実際にどんな感じなのかというと。。。

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これは、初めて行なったときのホワイトボードです。学生のコメントやらスタンプやらが、ポンポンと画面を埋めつくしていきました。ちなみに、これを描いたのは、二十歳前後の学生たちです。

まだ学期初めで、ポジティブなエネルギーに満ちあふれていて、かなり楽しんでいる様子が伝わってきます。そんな中でも、苦労しているとか、不安だとか、慣れないといったコメントもポツポツみられます。こういったコメントを汲みとって、教える側も実は慣れなくて参っているよ、とか、なにかできることがあったらフィードバックしてね、などと話しかけます。

ちなみに、5週目では、学生もだいぶ落ち着いてきたのがわかります。まだ慣れないという学生もいますが、新しい楽しみを見つけて毎日を過ごしているようです。

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この取り組みは、授業だけではできない交流が生まれるので、こちらも楽しみです。学生からも人気なので、これからも続けていきたいと思っています。

その他にも、学生からのフィードバックで、私が何をしているのかを知りたいという要望があったので、毎回の授業で、日常の写真を一枚、スライドで共有して、雑談するようにしています。これまで、お散歩中に出会ったウサギの写真や、桜の写真、大学のある町の様子などを共有してきました。

こうやって授業に入ることで、少しでも先生や同じクラスの仲間を身近に感じてもらい、ディスカッションも、人間味のあるやりとりになったらいいなと思っています。

フィードバックは多い方がいい

画面を通してのZoomの授業は、何回やっても疲れます。そして、その割に、手応えがありません。スライドの操作もあって、画面に20人以上の学生を全員を映し出せるわけではないので、誰がどんな顔をしているのか、反応が分かりにくいのです。

前回の記事で、フィードバックをもらう仕組みをたくさん取り入れていると書きましたが、これが本当に大切だと実感しています。特に、授業の後に、復習を兼ねて、短い感想文を書いてもらっているのですが、学生が何を考えながら参加しているのか、何を理解できて、何を理解できないのか、何に興味を持っているのかなど、知ることができる、よい機会になっています。また、授業後に手応えがほしいなかで、着実に学生の反応と成長がわかるので、教える側にとっては本当にありがたいです。

また、いつでも匿名で提出できるアンケートからは、要望よりも、ねぎらいの言葉だったり、感謝の言葉が送られてきて、励みになっています。

もちろん、私の方からも、学生にもなるだけフィードバックを与え、ポジティブな言葉をかけるようにしています。

「学び」のために成績は厳しくしない

今学期のカリキュラムは、シンプルに、そして、学生に負担がないようにと心がけて組みました。そのなかで、学生の毎週のオンライン・ディスカッションへの投稿や感想文なども、やったか・やらなかったかで成績をつけています。例えば、やれば5点、やらなければ0点という感じです。逆に言うと、どんな質のものを提出しても、出せば5点もらえることになっています。

しかし、ここで驚くのが、学生が手を抜かないで、毎回しっかりしたものを提出してくることです。

先日、オフィス・アワーにきた学生が、この授業は成績のつけ方が寛大なのに、成績が厳しい授業よりもちゃんと中身のあるディスカッションになっている、とお話していました。成績というものが、いかに学生のプレッシャーになっているか、それを気にするあまり、自分の考えを表現することが難しくなってしまっていることを考えさせられたと言っていました。

私自身、オンライン移行の前には、学生は、成績基準を厳しくした方が授業に真面目に取り組むのではないかと思っていました。でも、今回、かなり寛大な成績のつけ方をしてみて、学生は学びたくてそこにいるという、本当に基本的なことに気づかされました。

成績のつけ方が厳しくなればなるほど、学生は、授業の中身ではなく、成績に気をとらわれてしまい、少しでも失敗してしまったら、それだけでやる気をなくしたり、不安になってしまうのです。そのハードルがないだけで、学生も、学びという過程を思う存分に楽しむできるのだと、改めて感じました。

ビデオをつけない学生が増えている

最後に、気づいたこととして、最近、ビデオをつけないでZoom授業に参加する学生が増えているということです。最初の頃は、22人中、2−3人がつけていない状態だったのですが、今週は、半分くらい、つけていませんでした。これは、同僚も感じている変化です。

ビデオをつけたくない理由は人それぞれだと思うので、私自身は何も言わないのですが、学生の表情がさらに見えにくくなってしまうのは、正直、残念です。大抵の学生は、ビデオをつけずとも、その場にいて、参加しているので、今のところ大きな問題もなく授業を進められていますが、たまに、呼びかけても反応がない学生もいます。

学生がその場にいるのか気になる方は、Poll機能を使ったり、Breakout Sessionを行うと、その場にいない学生は反応がないので、すぐに分かります。

私の場合は、ネット環境の悪い学生を考慮して、Zoom授業への参加は任意にしているので、特に気にしていないのですが、Zoomを中心に授業を行なっている同僚には、これが大きな悩みのタネのようです。


今回は、これまで5週間、オンライン授業を行なってきた感想や気づきを4つお話ししました:
* 授業の最初はお絵描きの時間にしよう
* フィードバックは多い方がいい
*「学び」のために成績は厳しくしない
* ビデオをつけない学生が増えている

現在、オンライン授業をされてる方にも、受けている方にも、これからという方にも、何かしら参考になることがあったらうれしいです。みなさんの取り組みについても、ぜひ、教えてください。

春学期後半戦、また頑張っていきたいと思います。



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