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子供を通して見る世界

長女が第一志望の大学に合格し一人暮らしを始める。僕の人生にはない世界が長女の目の前に広がっている。次女も第一志望の高校に合格圏内。二人のこれからの人生を感じ、違う人間でただ親ってなだけなのに勝手に僕がワクワクしている。

長女は小学生の頃に話してくれた。

「夢がないから何にでもなれる様に良い成績をとっておく!」

繊細な長女。不登校気味でケンカしながらも幾度となく学校に送り、繊細が故に外で疲れ果て家で爆発していた。塾も合わない中で黙々と自宅学習。苦しみながらも有言実行し続け、学校を選び、学歴のない僕も知っている難関大学に合格した。

長女が受験勉強を始める前、僕は行政書士の勉強を始めた。地方の底辺高校卒業の父が合格率10%前後の法律職である行政書士を取っていく姿を見て「努力」の本当の意味を知ってもらいたいと思っていた。

努力は意味ないんだよ!といって車の中で泣いていた長女。

背中で示し合格して努力はただの準備であって、結果を期待するもんなんじゃないと伝えたかったが、情けない事に子供達が合格するのに間に合わず、僕は試験を落ち続けている。

そして役不足な父に対して自分で努力とは何たるかを知った長女が言ってくれた。

「お父さん、頑張ってね!来年こそ(受かるよ)!」

受験勉強に打ち勝った長女の応援は重みがあった。子供たちは小さい頃から勉強の楽しさを僕に教えてくれた。物事を知っていく楽しさ、社会の成り立ち、子供たちは学校から教わってきた事を僕に教えてくれた。とっくの昔に親の僕が背中を見せてやろう!じゃなく、僕は子供達からたくさん与えてもらってきたんだ。

そして、今度は子供たちが僕に新しい世界を見せてくれてる。これがどんなに楽しみな事か、伝えておくべきだと思い伝えた。

長女は「そうなんだー!」と嬉しそうだったのが印象的で、これから一人立ちする長女の少しの支えになれた気がした。

思いっきり自分の思うまま生きてほしい!そして、それを帰ってきたときにでも僕に教えて欲しい。僕にできなかった違う人生を子供を通して味わう事ができるって、親って本当に楽しいなぁと思う。

父親にしてくれた妻と子供達との今を大事にしようと一層強く感じたし、それに長女も残り少ない家族の時間を大事に向き合ってくれている気がした夜だった。


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