足部と脳は遠くて近い

こんにちは。コゴです。どうしても運動器的な視点に向かっていってしまいがちなので少し脳のお話をしていきたいと思います。
ペンフィールドの小人でみても足部って結構大きいんですよね。離れているけど実は近い、そんな足部と脳のお話です。

1.立位での姿勢制御

足部と脳の関連性でまず思いつくのが姿勢制御ですかね。
立位においてバランス戦略として足関節ストラテジーをとれることが安定性につながるからです。

姿勢制御とは体性感覚系と前庭視覚系を統合して脊髄を含めた中枢神経によってコントロールされています。

体性感覚系とは
皮膚感覚(触覚、温度感覚、痛覚)
深部感覚(筋、腱、関節)
(脳科学辞典より)

触覚
足部は立位、歩行時においては地面と唯一接する部分であるため、姿勢制御において重要な役割と考えられる。

深部感覚

例)前脛骨筋への振動刺激→身体が前方に倒れる

筋紡錘ゴルジ腱器官から脊髄を介した伸長反射により筋線維を発火させ姿勢制御するものと、背側脊髄小脳路を介して小脳に送られた情報により筋緊張を調節することにより姿勢制御をするもの(脊髄小脳ループ)がある。

難しいことは置いといて、要は筋紡錘およびゴルジ腱器官が適切に働かないと姿勢制御がうまく行えないということです。

筋紡錘、ゴルジ腱器官が働く条件ってなんでしょうね?

それは筋がきちんと伸び縮みすることなんです!

例えば、、靴のフレックスポイントがなければ伸び縮みできないし、足関節アライメントtoe outしている状態だったとしたら、本来の底背屈とは異なり伸び縮みできるところと、できないところが出てきちゃいますよね?

そういった意味でもフットウェアや足部の状態って大事なんです!!


2.発達における足部

2足歩行を獲得することが脳の発達には重要なのです。
ヒトと4足動物で比較するとヒトのほうが発達の過程で脳の成長が早期に完成するといわれています。
それは脳への血液の量が2足歩行することによって増えるからなのです。

・ヒトの頭部血管分枝では眼窩および頭蓋部が退化するのに伴って、脳に送られる血液の量が増加する仕組みになっている。
・ヒトが直立したことは頭部の動脈分枝の関係から脳に多量の血液を送るのに都合よくなり、脳の発達に有利に働いた。
(血管分布からみたヒトの脳および脳頭蓋の発達について
中久喜正一 J.Anthrop.Soc.Nippon 人類誌 100(1):125-133(1992))

3.運動学習における足部

運動学習において足部は感覚器として考えると非常に重要な役割を担います。
運動学習初期では視覚中心のフィードバックが有効ですが、中期(いわゆる連合段階)では体性感覚からのフィードバックを用いることが有効だといわれています。

体性感覚から脊髄小脳路によるフィードバック(内在的フィードバック)と外在的フィードバックを元に小脳で内部モデルを形成します。その内部モデルを元に運動を修正し、正しい?運動を行っていくわけです。

前述のとおり足部は歩行や立位においては唯一地面に触れているため、触圧覚はもちろん、足部内在筋などの筋紡錘の豊富な筋がたくさんあるためフィードバックにおいては重要な役割なんです。

筋紡錘は繊細な動きをする筋に多い
(図解 ワンポイント生理学より)

4.歩行リズムを刻む

足部と脳の関係というよりかは脊髄なんですが。

Central pattern generatorです。

CPGのように脊髄レベルでの運動になるので大脳皮質が関与せずに歩行になるので他の情報処理に大脳皮質をさけるようになるのです。

CPGとは介在細胞群のネットワーク上位中枢からの入力により歩行リズムを生成する
(高草木 薫 歩行の神経機構Review Brain Medical 2007.12 19巻4号:307~315)

歩行のリズムを生成するうえで重要になってきますね。

その条件として股関節の伸展と足関節の背屈があげられています。
ただこれは関節運動が重要なわけではなく、ゴルジ腱器官と筋紡錘からの求心性入力によるものなので、股関節屈筋と足関節底屈筋の伸張が必要なわけです。

ここまでいえばおわかりですね?

歩行時に足関節が背屈せずに底屈筋が伸張されない

CPGが働かない

ほかに注意が周らない

転倒につながる

ということになりかねないわけです。

5.覚醒と足部

意識を覚醒状態に保つ役割がある脳幹網様体は中脳から橋にかけての背側に存在します。
脳幹網様体の興奮が視床を介して大脳全体を興奮させる事で、覚醒状態を保ち、注意や認知、感情等のコントロールが可能となります。


・表在感覚は、
脊髄視床路を通って視床に着きます。

・深部感覚は、
脊髄後索路を通って視床に辿り着きます。
        ↓
これらの脊髄視床路や脊髄後索路によって生じた情報は、
視床を介した後は大脳皮質の知覚領域へと送られます。
一部は脳幹網様体にも伝わります。
        ↓
伝わった情報は、整理・統合されて視床に伝わり、
大脳皮質や視床下部に命令を出します。

なんですが、足部とどう関連があるかというと、足底にはメカノレセプターが豊富というのはあまりにも有名な話です。

なので足底に刺激を入れることが覚醒にも大きな影響が、あるということです!!

6.情動と足部

足浴はリラクセーション効果や入眠の促進、前頭前野の血流増加の効果があるといわれています。

足浴が健常高齢者の脳循環状態と認知機能に及ぼす影響
美和千尋ら 日本温泉気候物理医学会雑誌 72(4)250-255
(睡眠を促す援助としての足浴についての文献検討
吉永亜子、吉本照子 日本看護技術学会 4(2) 4-13 2005)

足部への刺激が脳血流にも効果を出すということです。

前頭前野の血流低下は認知症の症状進行による変化の一つと考えられているため、足へのケアが認知症の進行予防にも効果があるかもしれません。


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