ユーザーの声を拾うことで、ストアの評価もインストール率も爆上がりしたお話
こんにちは、UIデザイナーの すみやましおり(@sumiyama_design) です!
今、世界で大変な事態になっていますね。ニュースを見ては、はらはらしたり、胸が苦しくなる毎日です。この記事は、外出自粛で自宅に籠っている間に執筆しました!
さて、本題ですが、今回はタイトルにあるように「体験満足度の高いユーザーの声を拾う施策を行ったら、ストアの評価が上がったよ〜」と言うお話。
※本案件は、以下のような役割分担の元、チーム全員で進めました!
ストアのレビュー評価がとにかく低かった
本案件の背景としては、シンプルに、ストアのレビュー評価が低かったこと。上のイメージ画像は施策前のAppStore(左)とGooglePlay(右)。共に★3を切るという残念な状態…(泣)
「これは何とかせねば!」ということで、始動しました。
レビュー評価が低いとまずいの?
個人的にはモチベーションに大きく影響すると言うのはあるのだけども、サービス的に何か問題はあるのか?
まずは調べてみることにしました!
アメリカでの調査ですが、Apptentive社によると、 約80%のユーザーがアプリをダウンロードする前に1件以上のレビューを読んでいる。 さらに、 アプリストアにある5段階の平均値が高ければ高いほどダウンロードしようと考えるユーザーの割合が高い 、という結果もあるそうです。(星が5つの場合はなんと100%)
国内での調査でもアプリストアのレビューに大きな影響力があることを示すデータもあります。セガゲームススタイル研究所が2016年に行った調査では、「アプリをダウンロードする時に参考にする情報は何ですか?」という質問をしたところ、以下の結果となりました。
どんなに良いアプリになるようブラッシュアップに打ち込んでも、ストアでの評価が低いとダウンロードさえしてもらえない・・!
私たちは、アプリレビューでよい評価を得るための対策が不可欠だと悟りました。
他社アプリはどうしてる?
ありがたいことに、先人たちが多くの効果的な施策を行い、考察を記事にしてくれていました。
・エキサイトニュースのインタビュー記事
・レビュー依頼ダイアログをヘビーユーザーにだけでるように調整
・20回起動すると1回ダイアログが出る確率に
・「レビューする」「あとで」「結構です」という3択にしていて、「あとで」を押すとまた10回に1回でてくる、「結構です」を押すともう出てこない。
・アプリのレビューを獲得するための施策紹介
・ポップアップの回数はほどほどに。そして、表示するのはヘビーユーザーに限り、表示のタイミングにも十分気配りをする。具体的には以下のような指標を使う
- インストールからの経過日数
- 起動回数(回数が多いほどヘビーユーザー)
- 特定のイベントの実行時(たとえばメモアプリなら特定回数以上記入したときなど)
- 一定期間ごとの起動回数が一定以上(たとえば過去1か月、週に3回以上利用しているなど)
・アプリマーケティング研究所のレビュー改善事例
・ユーザーはどんなときに、アプリのレビューを書くのか?
- 「ネガティブな体験をしたあと」には、65%の人が(低評価の)レビューを書くことを考え、「ポジティブな体験をしたあと」には、49%の人が(高評価の)レビューを書くことを考える。
すべてのユーザーに「良い評価くださーい!」と訴えるのではなく、体験満足度の高いユーザーに絞ること。体験を阻害しないよう十分に配慮すること。成功体験をした瞬間を狙うことなど、ユーザーを不快にさせないための戦略を知ることができました。
本施策の方針!
上記のアプリマーケティング研究所の記事を参考に、ポジティブな体験をした時にレビューを書いてもらい(ポジティブ施策)、ネガティブな体験をした時にご意見箱に吐き出してもらう!(ネガティブ施策)と言う方針で進めることになりました。
ちなみに、ストアで最も多いネガティブなご意見、”悪質な案件へのご不満”については、全社をあげて活動中の「クラウドワークス安心安全宣言」の方で対策をしていくことになっています。
そしてここからは、ポジティブ施策についての内容紹介になります。
ユーザーの声と数字から仮説を立てて、ターゲットを決める
ポジティブな体験は、アプリを使う中でどんな時に起きているのか。ユーザーの、飾らない生の声を聞きたかったので、まずはTwitterを調べてみました。
「クラウドワークス」というワードを入れているツイートを一定期間分見てみたところ、上のイメージのように、”報酬”に関するポジティブな意見が多く見られました。
「ワーカー、特に始めたばかりのワーカーは、報酬をもらえた時に感情が高ぶるのかも?」
そう思い、報酬が確定時に報酬画面(報酬を確認できる画面)を開いている数を集計してみたところ、全体の約20%のユーザーが確認していることがわかりました(細かい数値は割愛します)。これは、想像以上に高い数値でした。
・・とはいえ、報酬を受け取る全てのワーカーをターゲットにしてしまうと少し広すぎてしまいます。
そこで、報酬金額のデシル分析により金額ごとの大体の割合をだし、感情が高ぶるであろう”初めて報酬を受け取るワーカー”と、”一定金額以上の報酬を受け取るユーザー”にターゲットを絞り込みました。
画面仕様とデザインを詰める
私たちのチームは基本的に毎日リモートで作業してるので、オンライン上で密にコミュニケーションをとって詰めていきました。(使用ツール:Qiita, Slack, zoom, Figma, Sketch, Zeplin)
↑仕様を考える上で気になることがあればすぐにSlackで相談
私の方で仕様の提案がまとまり次第、zoomでフィードバック会を開催。UX視点、PO視点、エンジニア視点、テスター視点。あらゆる観点で、あーでもないこーでもないとわいわい意見を出し合って、仕様を固めていきました。
↑フィードバック会でみんなが閲覧しやすいよう、Figmaで制作
無事リリース!気になる効果は・・・
一言で言うと、効果テキメン!
リリース後6週間で、
・両OSともに★3を突破!(iOSが1.3改善、Androidが0.7改善)
・星5の評価数が、かなり増えました!
そして肝心のインストール率(プロダクトページに遷移して、インストールした割合)は・・・
・リリース前の1週間:58.8%
・直近1週間:71.0%
なんと、12.2%も改善していました!🎉
やはり、ストアでの評価はインストールのモチベーションに大きく影響するようです。
この施策によって、ユーザーの成功体験のタイミングで適切なお伺いをすれば、喜びの声を聞けるということ。そして「ちゃんとサービスの価値を感じてくれているユーザーもいるんだ」ということがわかり、シンプルに、嬉しかったです。
チームで喜びを分かち合うことで、モチベーションも上げられたと感じています。
最後に
もちろん、「数字が上がった。よかったね!」で終わりではないなと思っています。ネガティブな評価も貴重なご意見。そう言う声にお応えして根本的な解決を行ったり、潜在化している新しいニーズに対応していかないといけない。
アプリ開発に終わりはないのです・・。
今回のように、ユーザーの声に耳を傾けて、実際の数値を見て。チームメンバーであーだーこーだ言い合って。全身を使って施策行うことが、ユーザーにとってより良いアプリをつくる秘訣なのかもしれません。
ここまでお読みいただきありがとうございます!それではまたノシ