3-コラム用

私たちの決断は、直観的で、感情的で、バイアス満載。だって人間だもの。

水曜日はフリーテーマで書いています。

2017年のノーベル経済学賞がリチャード・セイラー氏に贈られました。セイラーは、行動経済学の分野で活躍しています。行動経済学というのは、経済学に心理学の考え方を取り入れたものです。

人間は、お金の計算に限らず、損得勘定をしてあらゆることを決断するときに、完全に合理的に判断しているわけではありません。そうではなく、いわば「心の会計 mental accounting」を使っているのです。メンタル・アカウンティングは、合理的なものではなく、直観的であり、感情的であり、バイアスのかかった判断プロセスなのです。

こうしたとらえ方が「行動経済学 Behavioral Economics」という学問領域を作りました。英語の Behavior は「行動」という訳語が当てられますが、内容的には「心理学」が相当します。ですので、「行動経済学」というよりは「心理経済学」や「経済心理学」と訳した方がよかったかもしれません。

私のブログでは、2009年にセイラーの次の著作を取り上げていました。

リチャード・セイラー 、キャス・サンスティーン『実践 行動経済学』

この本から、面白いトピックを抜き書きすると、次のようなものがあります。ここから行動経済学のイメージがつかめるでしょう。「ナッジ」というのは、その人をちょっとつついて、行動を起こすきっかけを与えることです。行動経済学のキーとなる概念の1つです。

・皿が大きかったり、容器が大きかったりすると、食べる量は増える。体重を減らしたいなら皿を小さくする。

・仲間内で賭をする。締切を決め、原稿を出さないと、拠出された小切手を現金化し、パーティを開いてしまう。当人は呼ばない。

・人は他の人にナッジされる。太りすぎの友人がたくさんいる人は太りすぎになりやすい。

・選挙の前日に投票するつもりかどうかを聞くと、その人が投票に行く確率を25%高められる。←プライミング効果

・フィードバックは学習に必要だが、選ばなかった選択肢についてはフィードバックは得られない。長く使っている道よりも近道があることは気づかない。そういうときにナッジが必要。

・禁煙したい人は、口座を開き、そこにタバコ代を貯金する。6ヶ月後禁煙が証明されるとお金は戻る。そうでないと、お金は寄付される。

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