【教える技術】#02 教え方のゴールデンルール
火曜日は「教えること/学ぶこと」のトピックで書いています。早稲田大学エクステンションセンター中野校での「教える技術」講座に並行してその内容を連載しています。
前回は、教えたい技能は大きく分けて、運動技能、認知技能、態度の3種類あることを言いました。運動技能は、外界の刺激を知覚して自動的に体が動くようになることです。熟達するとコトバの介在がなくなります。認知技能は、コトバやイメージを道具として使って、知識を整理して覚えたり、新しいアイデアを出したり、問題を発見したり解決したりすることです。態度は「自分をコントロールする能力(自己調整力)」と定義します。自分で決断し、目標を立て、計画を作り、それを実行し、ふりかえる能力を態度と定義します。
これらの3つの技能の上手な教え方について順に見ていきましょう。
まず、運動技能の教え方について考えましょう。運動技能は、外界の刺激を知覚して自動的に体が動くようになることです。たとえば、自転車に乗ること、キーボードを見ずにタイプができること、けん玉の技ができること、ピアノが弾けること、テニスができることなどです。運動技能が熟達するとほぼ自動的に体が動くようになります。そこではコトバによって考えるという介在がなくなります。コトバの介在がないので、素早く、滑らかに特定の動きができるのです。
熟達するとコトバの介在がなくなるのが運動技能です。しかし、教えるためには最初にコトバを使う必要があります。これが運動技能を教えるときの難しさといえます。教える人はもうその運動技能ができるようになっているので、コトバは不要です。しかし、初めての人に教えるときには、コトバによって伝えなければなりません。そのコトバをどう選び、どう伝えていくかに工夫が必要です。
運動技能の上手な教え方のコツは次の3つです。また、これは運動技能に限らず、あらゆる技能を教えるときの、ゴールデンルールとも呼べるものです。
・スモールステップで課題を出していく
・活動に対してすぐにフィードバックを返す
・相手のスキルに合わせて挑戦の難易度を変える
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