4-お勧めの本

【本】アーヴィン・ヤーロム『ヤーロムの心理療法講義』:セラピーの秘訣集

木曜日はお勧めの本を紹介しています。

今回はアーヴィン・ヤーロム『ヤーロムの心理療法講義』(白揚社, 2007)を取り上げます。

■要約

料理、ガーデニングなどどんな分野でも「秘訣集」は人の興味を惹きつける。この本はセラピーについてのヤーロムの秘訣集を各項目1ページから数ページの短い文章にまとめている。内容は、セラピスト・患者間の関係性、4つの究極の関心事、セラピーの中で起こってくる事柄、夢の扱い方、セラピストのリスクと恩恵などに分かれている。そのひとつひとつの項目が具体的でしかも味わい深い。全体を一気に読んだあとは折に触れて取り出して眺めれば、何か助けになるヒントやアイデアを見つけ出せそうなそんな本。

■ポイント

ヤーロムはホーナイの本が一番役に立ったと書いている。ホーナイからの一番有益だった考えは「人間には持って生まれた自己実現を目指す性向がある」とのこと。アドラーを知っている人であればこれはアドラーの考えと一致していることがすぐにわかるだろう。ネオフロイディアンのサリヴァン、フロム、ホーナイといった人たちは対人関係に重心を移した。その意味でネオフロイディアンというよりは「ネオアドレリアン」と捉えた方がいいという意見もある。だからアドラー派の人たちはこのヤーロムの本を気にいるだろう。アドラーの言及はないけれども。その代わり、本の後半ではフロイトの再評価と夢判断の文章がたくさん入っている。

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