【連載】オトナの研究(第01回):「オトナの研究」とは何か。
金曜日は特定のテーマで講座を連載しています。前回までで「みんなの前で話す技術」(全12回)の連載の区切りを入れましたので、今回から新しい連載を始めたいと思います。
そこで、新しいテーマについてちょっと考えていたのですが、「オトナの研究」というタイトルにしました。その意図は、こんな感じです。
フツウの大人が「研究」のようなことを始めると、大人の人生は楽しく、意味のあるものになるだろうな。そしてそういう人たちが増えていくと、社会は全体としてより良くなっていくんじゃないかな。
と、このような予感がするのです。
私は自分の仕事として、いろいろなところで講演やワークショップをします。そこでは専門家や研究者として、さまざまな質問をもらい、それに答えます。私は質問に対して自分の知っている範囲で答えるわけですが、知らないこともあるし、現在の段階の研究としては明らかになっていないこともたくさんあります。つまり、専門家や研究者は絶対の存在ではないし、たかだか現状で知られている範囲のものでしかないのです。
その一方で、インターネットの恩恵で、普通の人が入手できるデータやエビデンスはそれこそたくさん溢れています。ですからその範囲においては、インターネットを使える普通の人も専門家もまったく同じ立場なのですね。そうなると、データの読み取り方やそこからロジカルに議論と主張を展開する方法といった技能やリテラシーを、少しの努力で身につけるかどうかの違いだけなのです。
とはいっても、こうしたリテラシーを身につけようと、なんでもドリルにしてしまうことにも反対です。修行僧ではないのです。そうではなく、大人は必ず自分の「現場」を持っています。現場のリアリティから離れたところで研究を語ってみてもそれは長続きしないものになります。現場のリアリティ(Reality)と、現場との関連性(Relevance)が「オトナの研究」には必要なのです。
そんなところから連載を始めてみようかなと思っています。おつきあいいただければ幸いです。
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