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(014) 中野民夫『学び合う場のつくり方』:場づくり/グループサイズ/問い/見える化/プログラム・デザイン

先日、東工大の中野民夫さんのワークショップに参加したことは「(008) 大学授業の中のファシリテーション:ワールドカフェ用ツールえんたくんを体験」の記事で書きました。その後、彼の著作である『学び合う場のつくり方』(岩波書店, 2017)を読んだので、そのポイントを紹介しようと思います。

【ポイント】
・中野民夫の『学び合う場のつくり方』(岩波書店, 2017)
・場づくり/グループサイズ/問い/見える化/プログラム・デザイン
・それを実現する道具としての「えんたくん」とKP法

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中野民夫『学び合う場のつくり方――本当の学びへのファシリテーション』(岩波書店, 2017)

著者はアクティブラーニングを成功させるためのファシリテーションのスキルは次の5つにまとめられるとしています。

(1) 場づくり
(2) グループサイズ
(3) 問い
(4) 見える化
(5) プログラム・デザイン

それぞれについて説明していきます。

(1) 場づくり

場づくりには、空間の物理的デザインと関係性の心理的デザインがあります。物理的デザインは、机や椅子の並べ方などといったことです。また心理的デザインは、オリエンテーションとして「参加者がどこに行くのか」を明確にすることと、導入ワークやアイスブレイクをして、参加者が安心して没入できるようにすることです。

オリエンテーションでは、OARR(オール)の枠組みを使うと明確になります。

・Outcome = どこまで行くのか、ゴール、目的と目標
・Agenda = どのように行くのか、アジェンダ、大まかな流れ、プログラム
・Role = 参加者の役割
・Rule = 参加の心得、グランドルール、お約束

(2) グループサイズ

様々なグループサイズをファシリテーター自身が体験して、場面に応じて使い分けられるようにしておく。中でも4人は小グループの基本形です。また、参加者全員が輪になるというのも意義があります。

(3) 問い

参加者にとって話しやすい問いを作るのは重要です。問いづくりの五原則は以下の通りです。

1. 共通で触発的な問い
2. 身近で具体的な問い
3. ポジティブで楽しい問い
4. 自分の体験から始める
5. 裁かれる恐れのない問い

プログラムの早い時期に行うチェックインでは、A4の用紙を四つに折って、そこに4つの問いに対する答えをキーワードで書いてもらうといいでしょう。たとえば、以下のような4つの問い。

1. どこの誰か
2. 好きなこと、得意なこと
3. 大学に入って印象的な出来事、よかったこと、大変だったこと
4. この授業をとったわけ

(4) 見える化

KP法(紙芝居プレゼンテーション)では、A4の用紙に水性マーカーでキーワードを書いて、それを見せながら話します。ブレインストーミングでは、ホワイトボードを使って、その場で書きながら進める「ライブ・レコーディング」を使うといいでしょう。ワールドカフェでは、円形段ボールの上に同じサイズの用紙を載せた「えんたくん」を使うと、見える化が可能になります。

このように見える化することで、目に見えない大事なものを表現に変えることができます。

(5) プログラム・デザイン

「プログラムデザイン曼陀羅」を使って流れを考えるといいでしょう。真ん中の小さい円の中には「ゴール」を書きます。外側の円は四分割して「起承転結」とします。「起」では、あいさつ、自己紹介をして、オリエンテーション、そして導入ワークとなります。「承」では、ミニ講義などのインプットに当てて、ゴールに向けて展開していく。「転」では、ガラッとモードを変えて展開する。インプットからアウトプットのように何かを共同で作っていく作業など。「結」では、個人やグループでまとめたものを発表して、共有していく。最後に、全体を振り返って学んだことを確認し、感想を一言ずつ話すチェックアウトで締めくくる。

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ファシリテーションのツール「えんたくん」については次の本を読むといいでしょう。

川嶋直・中野民夫『えんたくん革命-1枚のダンボールがファシリテーションと対話と世界を変える』(みくに出版, 2018)

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