2-教える技術ヘッダ

【教える/学ぶ】学校の先生の教え方をモデルにしない。

火曜日は「教えること/学ぶこと」のトピックで書いています。

いろいろなところから依頼を受けて「教える技術」をテーマにした講演やワークショップを実施しています。そのイントロでは次のようなことを話します。

現代では誰もが教える技術を持っていることが求められています。どんな仕事でも、どんな職場でも、1年目は新人として迎えられます。しかし、1年後にはすぐに次の新人が入ってきますので、そこで教えなければいけません。さらには、求められる知識やスキルがどんどん新しくなり入れ替わっていますので、それを職場の同僚同士で教えたり、教えられたりしなければならないのです。

誰もが教えるという仕事をしなければならない、と主張したところで、さて、では自分が教えるときに、そのモデルになるものはあるでしょうかと聞きます。そうすると、あまりモデルがないことに気づきます。しかし、学校の先生に教えられてきたということは誰もが経験しています。したがって唯一教えることのモデルとなるのは学校の先生ということなります。

しかし、と私は言います。学校の先生を教え方のモデルにするのはやめましょう、と。なぜなら学校の先生の教え方は、学校と教室という特殊な環境でのみ成立するものだからです。私たちが、職場で教えたり教えられたりするのは、教室の中ではありません。リアルな現場で、多くの場合、一対一で教えるのです。ですから次のような多くの点で学校での教え方とは違っています。

- 先生が教えるのではなく、同僚が教える
- 大勢ではなく、1人が1人を教える、あるいは数人のグループ内で教えあう
- 教室ではなく、現場で教える
- いつか役に立つことではなく、今すぐ必要な知識とスキルを教える
- カリキュラムや教える内容の順番は決められていない
- 時間割はなく、空いた時間や問題が起こったそのときに教える
- 1時間以上かかることはなく、長くても数十分、多くは数分以内に終わる

これほどの違いがあると、学校の先生が教えることと、私たちが教えることは、同じ「教える」といってもまったく違うものであることがわかります。ですから、私は「皆さんが教えるときは、けっして学校の先生をモデルにしないでください」と言います。いや、むしろ学校の先生とは反対のことをした方がいいことが多いのです。それは次の回に書きましょう。

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