0-日心特集

【日本心理学会大会特集】生涯学の視点で人間の発達と老化を考える。脳は老化しない。

日本心理学会第81回大会が、9月20〜22日に久留米市で開かれました。そこでのシンポジウムを聞いて仕入れた話題について私の考えを交えて、特集でお届けします。次のような話題を順番に取り上げていきます。
 (1) 職場のストレスをどうするか
 (2) ポジティブ感情の働き【省略】
 (3) 生涯学 脳は老化しない
 (4) 感情労働と感情制御研究
 (5) 心の訓練としてのマインドフルネス瞑想
 (6) 個性記述的パーソナリティ研究法としてのKellyのレプテスト(RCRT)

今回は「(3) 生涯学 脳は老化しない」という話題を取り上げます。

「生涯学」は、人間の乳児期が長いことと、子育てが終わってからも期間が長いということに注目して、生涯にわたって変化する心と脳のメカニズムを明らかにしようとします。

このシンポジウムでは、特に人生の始めと終わりに注目しました。つまり、乳児の知覚発達と老化ということです。乳児の知覚発達では、だいたい6ヶ月前後で、様々な情報を統合する能力が完成します。それによって「恒常性 constancy」のある世界観が持てるようになるのです。

老化の問題は、高齢脳(認知)と高齢身体(運動)の問題に分けられます。重要な発見は、年を取っても脳細胞は減らないし、むしろ増えるということです。しかし、その条件としては、身体機能の保持が第一なのです。この点で、脳だけを鍛えようとするいわゆる「脳トレ」は効果がありません。

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