【お題拝借】教え方のおすすめ3冊/仕事の引き継ぎ/粘着する人に
日曜日は皆様からの質問やテーマをいただいて「お題拝借」で書いています。質問は「Peing 質問箱」からお送りください。匿名で送ることができます。
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1冊目は、大村はま『新編 教えるということ』(ちくま学芸文庫, 1996)です。
私は前々から大村はまは「日本の元祖インストラクショナルデザイナーだ」と密かに思っています。それは、次の本からの抜き書きを少し読んでもらえば納得していただけるでしょう。
大村はま・苅谷夏子・苅谷剛彦『教えることの復権』(ちくま新書, 2003)より:
子どもは優しくしてさえもらえば先生が好きなものですよ。……だから、子どもに好かれてるなんていって、ぼおっとしていては駄目ね。とにかく、教える技術、書くとか読むとか話すとかいったような、いわゆる国語の力が、どの教科の教師にも必要ですね。
テストはその判定のために出題されるのでなければならないということです。この病気を持っているのは、クラスの誰と誰だ、それを診断するために問題を作っている。それが教育のなかでの評価ということ。
子どもに考えさせるのがいいことは決まっています。そんなことはあたりまえです。でも、ヒントも出さないでいきなり、それはこの頭が考えるのよって言ってもねぇ。いい頭といわれたのがうんとうれしいから、子どもはにこにことするし、優しい先生ということになる。形の上では子どもにも考えさせたということにもなるかもしれない。でもほんとうは何も教えていない。よさそうな新しい先生のようでいて、しかしなにも教えていないでしょ。
自由研究と称してあなたの好きなことをやっていいと気軽に言って、教師はその子が何をやるべきか、何が好きか、何をやれそうか、そういうことについて考えない。そこのところが戦後の大失敗だったと思う。自由のはき違いというのが。
「そうです。教師ですので、教えます。」これが大村はまの真髄。
2冊目は、鈴木克明『教材設計マニュアル: 独学を支援するために』(北大路書房, 2002)です。
鈴木克明さんはたくさんの本を出していますけれども、この本が原点であると思います。私自身もここからたくさんの影響を受けました。自分で学んでいくためにはどうすればいいか、そしてそれをどう支援できるかということのために読んでおきたい本です。
3冊目は、私の本です。向後千春『いちばんやさしい教える技術』(永岡書店, 2012)です。
2012年に出版してから、ロングセラーとなっています。この本では、子ども、学生、社会人といった多様な人に教えるときの共通点を説明しています。教え方の基本がやさしく書かれています。
そして、この本を元にしてビジネス・職場向けに改訂した本を現在準備しているところです。お楽しみに。
引き継ぎという仕事はかなり大変だと思います。当人は異動するのでその先のことで頭がいっぱいかもしれません。また、今までやってきた仕事は自分では自然なものになってしまっていて、逆にそれを説明することが難しくなっているのかもしれません。最小限のことを伝えるために文書に書いてもらうのがいいのかもしれません。
@kirikは山本一郎さんですね。私もお会いしたことはありません。たくさんの記事を書いていて忙しそうなので粘着している時間はないと思いますが、もし仮にそうであってもブロックすれば何もできないと思います。
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