【連載】生涯学習時代におけるオンライン大学のこれから(1)
水曜日はフリーテーマで書いています。今回から「生涯学習時代のオンライン大学のこれから」というテーマで書いていきます。4回くらいで完結の予定です。
1.はじめに:人生100年時代の生涯学習
人類の寿命は伸び続けている。『ライフ・シフト 100年時代の人生戦略』(グラットン、スコット 2016)では、これまでの「教育→仕事→引退」の3ステージモデルは過去のものになると予測した上で、新しい生き方のモデルを提案している。そのために必要となるのが3つの見えない資産である。それは、生産性資産(仕事の生産性を高めて所得を増やすもの)、活力資産(肉体的・精神的健康と幸福)、変身資産(100年ライフではマルチステージになるので変身することが必要)の3つである。
この中でも生産性資産は、引退を先延ばしして仕事を続けていくために最も基礎的なものである。生産性資産は、スキルと知識、仲間、そして評判(ブランド)の3つからなっている。まず、いつでも新しいスキルと知識を自分に取り込んでいくことが必要となる。その意味でスキルと知識を獲得するために教育を受けることは自分への投資である。そして、同じ志を持った仲間を自分のまわりに置き、その中で働くことが充実感を生み出していく。最後に、その中で自分の評判をブランドとして確立していく。そのブランドは自分のキャリアを貫く軸となる。
このように見ると、人生100年時代においては、成人になってからの教育は、人生を充実させるための単なるオプションではない。そうではなく、誰もが何らかの形で選択しなくてはならないコースとなる。そこでは「教育」という言葉の意味を、「人生の若い時期に集中的に受けるトレーニング」ということではなく、「生涯に渡って自分自身を高め、拡張し、変えていくための体験」として拡張する必要がある。
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