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picophon
風邪の時には/シロクマ文芸部
ハチミツは熱々のお湯に溶く。
そこにレモンを搾る。
風邪をひいた時に母が作ってくれていたホットはちみつレモンだ。
子どもの頃はしょっちゅう風邪をひいていたような気がする。
特に喉が弱く、扁桃腺を腫らしては高熱を出していた。
咳と喉の痛みを緩和する目的のホットはちみつレモンだったのだと思うが、効能云々よりも子どものわたしにはただ甘くて美味しかった。
先日、6年ぶりに風邪らしい風邪をひいて寝込んだときに、本当に無意識に当たり前のように、このホットはちみつレモンを作って飲んでいる自分がいて驚いた。
飲めば味がそのまま材料だからレシピなんてない簡単なものだし、母から作り方を教えてもらったこともない。
こんなふうに知らない間に身に付いていることは他にもあるんだろうなと、少々感傷的な気持になってしまった。
母はもうこの世にいないが、ホットはちみつレモンは変わらずに甘くて美味しいのだった。
シロクマ文芸部の企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。