すき家で鶏そぼろ丼を頼むということ

私は吉野家よりすき家派である。

大抵の人は「え~吉野家でしょ」と言って訝しがるが、それでも私は「まぁ、本当に味わいたい時は吉野家に行くけどね」等と共感で争いを避けるような事はしない。

何故そこまでして「すき家」を推すのか。答えは簡単。
「鶏そぼろ丼」がメニューにあるからだ。

普通、牛丼屋に行けば牛丼を食べるべきと誰しもが考えると思う。だが私はすき家ではあえて牛丼ではなく鶏そぼろ丼を食べる。幸い、人とすき家に行く機会は少ない為、「え~~?牛丼じゃなくて鶏~~?」という呆れの暴力を浴びることなく存分に鶏そぼろ丼を楽しめている。

すき家の鶏そぼろ丼には生卵が付いてくる。
まずは落ち着いて箸を入れ、温かいご飯の山にくぼみを作る。じゅうぶんに受け入れ体制を整えた山へ隕石を落とすかの如く、卵を落とす。

ここで私は気が付いた。
「あ・・・・温泉卵に変えてもらうの忘れてた」

そうなのだ。ここに来て私は完全な生卵が苦手だという事を忘れていたのだった。

デフォルトで付いてくる卵は生卵なので、炊飯器で保温されていたような生ぬるいご飯の熱ではせいぜい半熟止まり。半熟が苦手な私はあらかじめこの生卵を温泉卵に変更し、「うわぁ、白身がまだ透明だ、、」という状況を脱する必要があった。なのに、今日に限って忘れていたのだ。店員さんに「あ、温泉卵で」と9音発すれば良かっただけなのに。たった+10円で済んだのに。

なんて失態。

という事で、今日は人生初の生卵Ver.鶏そぼろ丼を食べた。予想通り卵の白身は透明のままであった。所どころ感じる「ナマ感」。だが、嫌じゃなかった。思ったよりいけた。「なぁんだ、透明も良いもんだね」なんて独り言を漏らす程度には、小さく感動していた。客は私とおっさんの2人のみであった。

私は今日、生卵を乗り越えることが出来た。
嬉しかった。人は成長するものだと感じた。

(追記)
文中では「鶏そぼろ丼」と記していますが、正しいメニュー名は「とりそぼろ丼」です。





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