私のことを遠い昔からご心配くださる仏さま
野球日本一のオリックスバッファローズ!
新型コロナウイルスの影響で延期になっていた野球のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が久しぶりに開催され3大会ぶりに日本は世界一に輝きました。手に汗握る熱い戦いに日本中が盛り上がり、テレビ、ラジオにくぎ付けでした。大谷翔平選手が二刀流で活躍し、MVPを獲得する中、吉田正尚選手は打点で大会記録を塗り替え、中でもメキシコ戦での同点ホームランは諦めないことの大切さを教えてくれました。
吉田選手は今年から大リーグのレッドソックスに入団しますが、昨年まではオリックスバッファローズで活躍していました。
オリックスバッファローズは昨年にリーグ連覇と26年ぶりの日本一をつかみ取りました(26年前の日本一は仰木監督やイチロー選手が在籍)。この26年間、Aクラスは2回だけで成績も人気も低迷が続き暗黒時代とも言われていました。しかし、球団、選手、ファンも日本一を願い、諦めずに努力し、再び日本一を掴み取ることが出来ました。
劫とは時間の長さ
桃栗は3年で実がなり、柿は8年で実がなり、オリックスバッファローズは26年かかって日本一の実を結びました。
阿弥陀さまは、もっともっともっともっと計り知れない昔から、私たちのことを救わんがために、はたらきっぱなしのお姿を表現したのが今回の言葉です。
一里四方(一里は約四キロ)の巨大な岩山があるとします。この岩山の上に、百年に一度、天女が降り立ち、その羽衣で岩山を一回なでるとします。羽衣はそよ風のようなに柔らかい布ですので、一回なでられたとしても岩山はびくともしません。そのようなことが繰り返され、一里四方の岩山がすべて砂になるまでの時間が「一劫(いっこう)」の単位だと言われています。
阿弥陀さまという仏さまは私たちを救いたいと思いめぐらせ、私たちを救うことが出来る仏さまになってから十劫(じっこう)という時間が立ち、私たちの思いも及ばない到底分かりえないほどの宇宙的時間の中で阿弥陀さまのはたらきが今ここに南無阿弥陀仏のお念仏となって届いてくださっています。
親の姿
コロナウイルス感染拡大により緊急事態宣言が出されたのが2020年の春。その時、息子は小学校に入学のはずでしたが6月に入学式が延びました。
無事、入学が出来て、さあ、初めての登校。
朝は集団登校、お兄ちゃん、お姉ちゃんが迎えに来てくれて手をつないで一緒に行きます。お寺の前は、結構車が多いんです。なので、遠回りで車の少ないコースを歩いています。特に車の多い横断歩道には見守りたいの方や校長先生、警察の方も立ってくれています。有難いことです。
しかし、帰りの時間は上級生はおらず、一年生だけで帰らなければならない日もあります。
母親は朝から息子に言い聞かせています。
息子の通学路のコースを下見して、気をつけるとこを伝えます。
それでも母親は帰ってくる時間が近づくと「心配だから様子を見てくる」と言ってお寺を出ていきました。家の前で帰りを待つはずが心配になり、居ても立ってもおられず母親も学校に近づいていきます。気づいた時にはだいぶ学校の近くまで行ってしまっていたそうです。
息子には「ちゃんと自分たちで帰ってきなさいよ」と約束してますから、息子に見つからないように隠れて見守っていたはずなのですが、後で息子が「お母さん、あそこで隠れて見とったやろ。見えちょったよ」と。
息子の言葉を聞いて、隠れきれずに前のめりで見ていた母親の姿を想像しながら心が温かくなりました。
いつも見ているのが親なんですね。子供の事が心配で心配でいてもたってもおられない。何かあればいつでも駆け出していく姿。座ってなんかおれないのが親なんです。
阿弥陀さまのお心
阿弥陀さまの事を親しみを込めて親さまとお呼びすることがあります。
誰の親か、ほかでもないこの私です。阿弥陀さまはこの私が心配で心配でならんのです。だからいつでも見てくださっていて、いつでも案じてくださっているんです。
浄土真宗の阿弥陀さまのお姿は前かがみで座っていない。お立ち姿の仏さま。既にあなたのところに届いているよと今にも歩き出しそうな阿弥陀さま。これは大悲の姿をもって、私たちを救おうとはたらかれているお姿。
自分中心の考えの中、慢心の生活を送る私たちに座ったまま声をかけたんじゃあ、到底追いつかないこの私を見抜いてくださり十劫の間、お前を救う仏はもう届いているぞと換び通しの阿弥陀さまに抱(いだ)かれてお念仏とともに人生を歩んでいきたいものです。
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