ネバーエンディングストーリー
「亡くなったいまの方が仲良しなんです」
昨年お連れ合いを亡くされた70代前半のご婦人。お参りに伺ったさいに、亡くなった夫さんとの思い出を語ってくれました。
この世のいのちを終えたからといって亡き方とのつながりが消えて無くなるわけじゃない。それどころか亡くなったからこそ芽生える関係もあるようです。
死者と、ともに生きる
このお話を聞きながら思い出したのが、ディズニー映画『リメンバー・ミー』です。
メキシコの伝統文化「死者の日」を題材に、夢に情熱を燃やすことの大切さと家族愛の尊さを描いた物語です。
「死者の日」は、先立って大切な方々のお墓参りに行き、花を供え祭壇を作り、生者の国と死者の国とがつながるこの日をお祝いするのだそうです。私たちのお盆やお彼岸と似ているように感じます。
物語の舞台の中心となる死者の国は、カラフルな色使いと煌々と輝く光によって、通常であれば暗いイメージのある死者の国が明るくポップな印象に描かれています。
私はこの映画には「あなたを大切に想っている人がいることを忘れないで」というメッセージが込められていると感じました。
主題歌の歌詞にそのまま表れています。
相手を大切に想う気持ちは目に見えるものではありません。そのため、その想いに気が付けなかったり、忘れてしまうことが起こります。ましてや家族という身近な存在は、いつも近くにいるからこそ、ぞんざいに扱ってしまうことも多いように感じます。
この映画は、その想いの見えづらさと尊さを描くことで「あなたを大切に想っている人がいることを思い出してほしい」ということを伝えたかったのかもしれません。
必ず再び会える世界
『仏説阿弥陀経 (ぶっせつあみだきょう) 』というお経に「倶会一処 (くえいっしょ) 」というお言葉があります。
「倶 (とも) に一つの処 (ところ) で会う」。この世のいのちを終えた暁には阿弥陀さまに抱き抱えられお浄土に往き生まれ、先立って逝かれた大切な方々とお浄土でまた会うことができる、という意味です。
死んで終わりじゃない、「必ず再び会える世界」があるのだとお示しくださいます。
お墓参りに行くと「倶会一処」と刻まれたお墓を目にすることがあるかもしれません。
お盆は先立って逝かれた大切な方に想いを馳せてほしい
今年もあっという間に8月。お盆の時期です。
お盆は、レジャーに繰り出して思いっきり遊んで日頃の鬱憤をリセット!も大切ですが、是非とも実家やお寺、お墓などご先祖や亡き方々をゆっくりと偲べる場所に足を運んでいただければと願います。
いまこの私にいのちを紡いでくださったご先祖や亡き方々に想いを馳せる。そしてこの私も、いずれいつの日か、この世のいのちを終えゆく存在であることを想像する。そんな営みのなかで、ほしい未来の在りようがうっすらと浮かび上がってくるかもしれません。
それぞれのご事情あって実家に帰れず、お寺やお墓に参れなくても、お盆の頃には先立って逝かれた亡き方々にゆっくりとじっくりと想いを馳せる時間をとっていただければと思います。『リメンバー・ミー』の鑑賞もオススメです。
暑い毎日が続きます。どうぞ気をつけてをお盆のお参りにお越しください。ようこそ、ようこそ。
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