荒れてもいいじゃない
命をつなぐ奇跡の物語
みなさん、映画「ディア・ファミリー」をご存じでしょうか?
「カテーテル」と呼ばれる医療機器が誕生するまでの実話を描いた作品です。カテーテルは、心臓の病気を持つ人たちのために作られた医療用の細い管で、今までに17万人以上の命を救ってきました。
物語の舞台は1970年代。小さな町工場を経営する夫婦の娘が、生まれつき心臓に病気を抱えていました。医者からは「あと10年しか生きられない」と言われ、二十歳まで生きるのは難しいと宣告されてしまいます。どの病院でも治すことができないという厳しい現実に直面した夫婦は、娘を救うために、自分たちで人工心臓を作ることを決意します。
医療の知識も経験もない中での挑戦は、限りなく不可能に近いものでした。しかし、夫婦は娘の命を救いたい一心で勉強し、多くの専門家に教えを請い、資金を集めるために奔走しました。
知識ゼロの町工場の社長と家族が、娘の命を救うために人工心臓の開発に挑んだ実話です。
映画には胸を打つシーンがたくさんあり、多くの観客が涙を流していました。主人公が娘の病状や開発過程で揺れ動く様子が描かれており、家族や周囲の支えによって、その状況や気持ちを受け入れながら進んでいく姿が感動的です。
心の動揺や混乱が生じるのは当然のこと
今月のお寺の掲示板の言葉
仏教では、心の状態を「海」や「波」に例えます。静かな大海に風が吹くと、海水に波が立ちます。風が弱ければ小波が立ち、強ければ大波が立ちます。風が止めば波も消え、海水は静かさを取り戻します。
波が海で常に変わりやすく、風などで動くように、私たちの心も外からの出来事に影響されて揺れ動きます。「波風が立つ」という表現は、心が動揺したり混乱したりすることを意味しますが、それは自然なこととして受け入れるべきだと仏教では教えています。
日常生活でも、ちょっとしたことで心が揺れることがあります。後悔したり反省したりすることもあるでしょう。でも、それは自然なことであり、その変化を受け入れる柔軟さを持つことが大切です。仏教では、心の状態が変わることを否定せず、そのままを受け入れることが大事だとされています。
お盆は死生観を耕す絶好の機会
今年もあっという間に8月、お盆の時期がやってきました。今年の夏は、死生観にまつわる映画などの作品を鑑賞しながら、自分の生き方や大切にしたいことについて考えてみてはいかがでしょうか。
お盆休みはレジャーを楽しんでリフレッシュするのも良いですが、実家やお寺、お墓でご先祖様や亡くなった方々を偲ぶことも大切にしたいですね。
いのちを紡いでくださったご先祖や亡き方々に想いを馳せ、自分もいつかはこの世を去る存在であることを考えることで、今後の生き方や大切にしたいことについて考えるきっかけになるかもしれません。
暑い日が続いています。どうぞお盆のお墓参りの際はくれぐれもお気をつけてお越しください。
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