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健康に勝る宝なし
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先週健康診断があった。朝いちばんに行ったせいか診断はとてもスムーズ。測定も自動化されてるから早いはやい。身長と体重が同時に測れる機械とか、血圧計も昔より早く結果が出る気がする。極めつけは視力検査機。「C」が開いてる方向にレバーを倒すのだけど、片目で3回しかテストしない。こんなので正しく測れるのかと訝しんだが、結果は右目が0.3、左目が0.7という結果。去年より落ちすぎてるので測りなおすも、今度は右が0.6で左0.3。どうしましょうか……? と場違いな質問をスタッフからいただく。もう結構です、と水のつぎ足しを断るようにぼくは答えた。ニコっと笑って次を促すスタッフが喫茶店の店員に見える。
結果は一か月後に分かるのだが、毎年少しづつ数値が変化している。規定値には入っているものの、生活習慣に気を付けましょうというコメントも気になる年齢になった。健康に勝る宝なし、という言葉が身に染みる。
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今年の夏休み、酷暑のせいもあるが下の子はずっと家にいた。テレビを見たりゲームをしたり、自由気ままな夏休みを謳歌していた。一学期が終わる7月の頃、下の子で気がかりなことがあった。学校に行くのが辛くなってないかな、という微かな心配。遠回りに聞いたりもしたけれど、下の子は「別に」と繰り返すだけ。ほんとうに何もないのかもしれないけど、毎日遊びまわっていた同級生との交流がピタっと止まったことが気になっていた。
他にも気になることがあり、妻と相談して夏休みは自由に、自分のやりたいことをやらせてあげようと決めた。特に「勉強しなさい」は、禁句にした。夏休みが10日も過ぎると、毎日のびのびと過ごしたせいか下の子の表情が和らいだ。晩ごはんのときの会話も増えてきた。下の子の笑顔を見て、良かったねと妻とうなずき合った。
喉元過ぎれば、という言葉があるがまったくその通りで。お盆を過ぎても悠々自適に過ごす下の子の姿を見ると、口が「べ」の形になってしまう。「べ…… べべんべんべんべん♪」と意味のないメロディを口ずさんでしまったこともあった。机に上に積みあがっていく白紙のままの塾のテキスト。夏期講習で大変よぉ、と嬉しそうに嘆く同級生のママの言葉を聞くと、なんともいえない気持ちになる。
きっと二学期のテストはガクンと点数が落ちるだろう。受験シーズンになって、あの夏休みに勉強しておけば、と後悔するのかもしれない。でもこの夏は、元気が一番だと、親はホントにそう思ってることを感じてもらえればいい。勉強しなさいと口すっぱく言ってる親だって、心の根っこの一番深いところでは、元気に健康で過ごして欲しいと願ってる。ただそれが伝わってないだけ。勉強しなさいとうるさい親に対して、怒りの感情を持ってしまうもの。思春期ならなおさらのこと。
明日元気に登校できますようにと願わない親はいない。始業式が終わり、ただいま! と元気に帰ってきて欲しい。そんな親の気持ちが伝わるような日曜日にしたい。勉強しなさいとは言わない。宿題やったの?とも言わない。子どもが大好きなコロッケをこねて、たくさん揚げて。ほくほく顔で過ごせる夏休み最終日になったらいいなと思っている。