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星の指輪をいつか君に

────エッセイ

先月のある日曜日、妻が知り合いから貰ったチケットで演劇を見てきた。13時からの講演で、会場は自宅から電車で1時間。子どもたちのお昼はどうしようかと、妻と相談した。30秒後に結論が出て、長男にお金を渡し、次男と二人分の昼飯を調達してくれと頼む。あとで聞いた話なんだけど、2人でカップラーメンパーティーをしたらしい。兄弟の意見が一致して、1位はペヤングのソースやきそばだったみたい。アレ、美味しいもんね。

妻と二人で演劇を見るなんて、十数年ぶりのこと。結婚したての頃は、年に数回劇場に足を運んでいた。映画とは違う独特の雰囲気。CGもない、特殊メイクもない。限られた舞台空間で展開していく様々なシーンに、二人で物語の世界に浸りきった。

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浜田省吾さんの「星の指輪」という曲に、とても素敵な場面がある。

髪をとかし 化粧して
一番好きな服を着て
子供達 お袋に預けて
出かけよう今夜

この曲を初めて聞いたのは学生の頃、妻と出会う10年ほど前。結婚することの大変さも苦労も、その狭間で感じる代えがたい幸せな瞬間も知らない世間知らずの若者だった。ただ漠然と、こんな映画のワンシーンみたいな二人に、こんな夫婦になれたらいいなと思っていた。

あれから20数年。お袋でなく、カップラーメンに子供たちの胃袋を預けるカタチにはなったけど、妻と二人で出かける時間を持てるようになった。劇場に向かう道を歩きながら、「星の指輪」の歌詞が頭の中に浮かび上がる。何百回と聴いた歌詞は、一字一句頭の中に刻み込まれている。

ほら 誰もが振り返るよ
君のことを

ん~~、ごめん。この部分は、断言できないや。最近お気に入りの、緑のワンピースを着た妻の姿に、視線をくれる人はいるかもしれないけれど、誰もがとは断言できないな……。色白の肌に映える、鮮やかなグリーンを視界に捉える人はいると思うけど、それは女性が大半かもしれない。とても素敵な服だからね。でも、やっぱり誰もがとは言い難い。実際、誰もが振り返ったら、それはそれで気が気じゃないんだけどさ。

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休憩を挟んだ2時間半の演劇は、それはそれは素晴らしくて。帰りの電車で「あの場面が良かったね」なんて話していたら、帰りの1時間はあっという間に過ぎた。また行きたいね、という言葉がお互いの口から溢れ出る。

「星の指輪」で一番好きな歌詞がある。このセリフを自然に言える関係でいられたらいいのにと、昔から思っている。

今も変わらず 俺 君に恋してる

面と向かって言ったことは一度もないし、自然に言える自信もないし。なんなら小さいケンカは日常茶飯事で、こんなセリフとは程遠いのだけど。いつの日にか、素直な気持ちで妻に伝えたいとずっと思っているんだ。

3連休初日の夜に、お酒をたくさん呑んで、酔っぱらって夜中に書いた文章だから説得力はゼロなのだけど。




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