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藍羽放浪記・・・9ページ目【小説】

星の都、「アルカ・ナハト」にやってきた僕は町の広場にやってきた。
広場は環状になっていて中心には星が映し出された大きな噴水があり
その周りのベンチに多くの人が腰かけて談笑している。

噴水の周り、少し歩いて人や建物の様子を観察してみようか。

街ゆく人たちの服装は様々で、目に付くだけで
星の黒いローブに魔女帽子の男女。
ロングコートの怪しげな雰囲気の男性。
指にはめるには大きすぎる宝石の付いた指輪をつけた大きな木の杖を持った老父。
まるで中世の貴族のような赤を基調としたドレスを身に纏う淑女とそれに付き添う道化と猫。
高さが高すぎる、ぐしゃぐしゃの帽子をかぶった男性…….

…何か、この感じは.…どこかで見たことがある。

「そこのお人や・・・」

ふと後ろから声をかけられた。
振り返ると小麦色のローブに身を纏い、杖を持った老父が立っていた。

「お主はどのような人々がこの噴水の周りに歩いているように見える?」

「・・・え、えっと・・・・?」

「・・・」

「・・・」


沈黙が数秒続いた後、僕は今見える人々の服装と容姿を答える。
一通り答え終わると、老父は口を開いた。

「それはそれは・・・・・・それであれば、この先は周りの近しい人との関係にはお気をつけなさい。決して、感情的にならぬよう。」

「は、はぁ・・・?わかりまし・・・た?」

僕はなぜそのようなことを言われたかが理解できず、ぽかんとしていた。

「そして、不思議な雰囲気を感じる指輪をお持ちのようだ。それを肌身離さず持っていなさい。きっと、守ってくれる。」

「・・・失礼ですが、あなたは・・・?」

「はっはっは。ただのおせっかいやきのじじぃですとも。旅のお人とお見受けしたもので、声をかけてみただけですよ。」

「指輪のこと、何か知ってるんですか?というか。なんで僕がそれを持っていることが分かったのですか??」

「そこまでは答えることはできませんなぁ。ただ一つ言うとすれば、いずれ分かる。では、私はこれで」

「あ、ちょっと!」


その老父は僕にそう言って背中を向けるとフッと消えていなくなってしまった。
僕はただ行き場の失った右手を伸ばしているだけだった。

気が付けば、噴水の周りの人々もどこかへ去ってしまっていた。


まだこの街では何か情報が聞きだせる場所があるかもしれない。
帰るのはその後にしよう。
そうと決まればまず、宿を探すところから始めようか。

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