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共同親権研究会 法の欠缺

運動会気分を改め学びを再開していく

訴状を読んでいた

違法な立法不作為があるという根拠は,人権侵害をしている法の欠缺があるということ!

さあどんな欠陥か? 3つあるという!

以下において詳論する。
(2) 子の連れ去り(引き離し)を防ぐ刑事法の規定の不存在について(法の欠缺1について)

1つめ

ア 日本法について
(ア) 刑法224条は,「未成年者を略取し,又は誘拐した者は,3月以上7年以下の懲役に処する。」と規定している。
(イ) 刑法224条についての日本政府の立場
ところが,刑法224条は,一方親が,他方親の同意を得ずに子を連れ去ること(引き離すこと)については適用されない,とするのが,日本政府の立場である。
日本の国内法において,子の連れ去り(引き離し)を防ぐ刑事法の規定は存在しないことは,以下の日本の政府機関のHPにおいて明記されている。

刑法があるけど,適用していないって!そのことを政府が言っているよ

(ア) 仏日本大使館の HP「フランスと日本の親権制度の相違点」(甲10)
「3 いわゆる子供の連去りの問題 ・・日本にも「未成年者略取・誘拐罪」という犯罪が規定されていますが(刑法第224条),連れ去られた未成年者の行動の自由と安全が侵害されたかどうかが重視され,夫婦間の協議が調わないまま,一方の親が他方に無断で子供を連れ去る行為は,通常は犯罪とされません。このような両国の法制度の相違には,十分注意する必要があります。」
外務省HPの「ハーグ条約」を解説した「子どもを連れて渡航することを考えている方へ」の頁(甲11)
「1 子の連れ去りにより起こりうること・・
(2)刑事訴追を受ける可能性があります
(ア)子の連れ去りの違法性
日本においては,親による子の連れ去りは略取又は誘拐の罪にあたるような場合を除き犯罪を構成しませんが,国によっては,父母の双方が親権を有する場合に,一方の親が,子をもう一方の親の同意を得ずに国外に連れ出すことを刑罰の対象としていることがあります(国によっては州外に連れ出す場合でも刑事罰の対象となる可能性があります。)。実際に,居住していた国への再入国に際し,子を誘拐した犯罪被疑者として逮捕されたり,ICPO(国際刑事警察機構)を通じて国際手配されたりする事案も生じています。
子を連れて国外へ移動することを考えている方は,御自分の滞在国の法制度を御確認の上,行動してください。」

日本は海外と違うということが明らかになっている

海外はどうなっているの?

イ 外国法について
これに対し,諸外国の国内法では,一方配偶者の同意なく,他方配偶者が子を連れ去ること(引き離すこと)そのものを罰する刑事法の規定が設けられている。ちなみに以下で引用する国は,日本が昭和54年(1979)年に批准した国際人権条約である市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約(B規約))(以下「自由権規約(B規約)」という。)や,日本が平成6年(1994年)に批准した児童の権利に関する条約や,日本が平成25年(2013年)に批准した,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(以下「ハーグ条約」という。)の批准国や署名国(アメリカは児童の権利に関する条約を署名しているが未批准である。)である。以下で引用する。
ドイツ
日本刑法の母国であるドイツ刑法では,刑法235条において「未成年者の引離し」を処罰している(ドイツ刑法235条の保護法益は両親などの配慮権と,面会交流権である。)。そして,親の一方が他方の親から子を引離す場合にも,他方の親に配慮権や面会交流権を侵害すれば,ドイツ刑法235条が適用され,犯罪が成立する(深町晋也「ドイツ刑法における未成年者の引離しを巡る議論状況(下)―両親による子の奪い合い事例を中心に」法律時報89巻12号(2017年11月号)(2017年)111頁(甲12))。
フランス
フランス刑法には尊属による未成年者奪取の罪(227条―7条)と尊属以外による未成年者奪取の罪(227条―8条)とがある。また,奪取の罪と同じく「親権行使に対する侵害」として位置づけられる犯罪として,未成年者の引き渡しを要求する権利を有する者に対して,不当に引き渡しを拒否する罪(227条―5条)がある。
そして,尊属による未成年者奪取の罪(227条―7条)について,親権者であっても子の奪取罪で処罰されている(佐藤結美「フランス刑法における未成年者の奪い合いを巡る議論状況」法律時報90巻10号(2018年9月号)(2018年)105-106頁(甲13))。
上でも一部を引用したが,在仏日本大使館HPも以下のようにフランス刑法の解説を行っている(甲10)。
「3 いわゆる子供の連去りの問題 フランスでは結婚中又は同居中,一方の親が他方の親に無断で子供を連れ去る行為は,やはり親権行使の侵害に当たるとして犯罪とされており,1年以下の拘禁刑又は1万5,000ユーロ以下の罰金に処せられる可能性があります(刑法典第227-7条)。夫婦間の折り合いが悪くなった場合に,父又は母が,他の親の承諾を得ることなく子供を連れ去って,別のところで子供と生活を始めた場合,子供の連れ去りが暴力等を伴うことなく平穏に行われたとしても,他の親の親権行使を侵害する犯罪であるとみなされます。日本にも「未成年者略取・誘拐罪」という犯罪が規定されていますが(刑法第224条),連れ去られた未成年者の行動の自由と安全が侵害されたかどうかが重視され,夫婦間の協議が調わないまま,一方の親が他方に無断で子供を連れ去る行為は,通常は犯罪とされません。このような両国の法制度の相違には,十分注意する必要があります。」
イギリス
イギリスでは,コモン・ロー上の拐取罪(Kidnapping)について,1984年の判例(Rv.D[1984]1A.C.778)により,イギリス国内における親による児童の連れ去りについて拐取罪の成立が認められている(樋口亮介「イギリスにおける家族による児童の連れ去りに対する処罰のあり方(上)」法律時報90巻4号(2018年4月号)(2018年)104頁(甲14))。
アメリカとカナダ
アメリカとカナダについては,在カナダ日本大使館HPにおいて,以下の
解説がされている(甲15)。
「子どもの親権をめぐる問題について
1.実子誘拐罪の適用
カナダや米国の国内法では,父母のいずれもが親権または監護権を有する場合に,または,離婚後も子どもの親権を共同で保有する場合,一方の親が他方の親の同意を得ずに子どもを連れ去る行為は,重大な犯罪(実子誘拐罪)とされています(注)。例えば,カナダに住んでいる日本人の親が,他方の親の同意を得ないで子供を日本に一方的に連れて帰ると,たとえ実の親であってもカナダの刑法に違反することとなり,これらの国に再渡航した際に犯罪被疑者として逮捕される場合がありますし,実際に,逮捕されるケースが発生しています。
国際結婚した後に生まれた子どもを日本に連れて帰る際には,こうした事情にも注意する必要があります。
(注)○カナダ:14歳未満の子の連れ去りの場合,10年以下の禁錮刑等を規定。(刑法第282,第283条)
○米国:16歳未満の子の連れ去りの場合,罰金若しくは3年以下の禁錮刑又はその併科を規定。(連邦法 Title 18, Chapter 55, Section 1204)州法により別途規定がある場合もある。」
⑤ その他の国について
加地良太「深刻化する国際的な子の連れ去り問題とハーグ条約」『立法と調査』2012年3月号(326号)52頁には,「欧米諸国では,例え実の親であっても,他方の親の同意を得ずに子の居所を移動させることは,子を誘拐する行為として重大な犯罪とされている。」とされた上で,その立法を行っている国として,アメリカ,イギリス,フランス,スイス,オーストラリア,カナダ,スペインが挙げられている(甲16)。

ドイツ,フランス,イギリス,アメリカとカナダ,その他の国いろいろ,各国において,連れ去りは犯罪となっている!

刑事上違法になっていないのが,法の欠缺の1つ目ということ

つぎ

2つめ

(3) 子の連れ去り(引き離し)を防ぐ民事上の法律規定の不存在について(法の欠缺2について)
ア 子の連れ去り(引き離し)を,日本の民事法において,他方親の権利を侵害する行為であり許されないとする法律規定を設ければ,子の連れ去り(引き離し)は発生しない。
原告らが,配偶者による子の連れ去り(引き離し)の被害を受けたのは,その行為が他方親の権利を侵害する行為であり許されないとする民事法の規定が不存在だからであることは明白である。
イ (ア) 民法766条は,以下のとおり規定する。
「1項 父母が協議上の離婚をするときは,子の監護をすべき者,父又は母と子との面会及びその他の交流,子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は,その協議で定める。この場合においては,子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2項 前項の協議が調わないとき,又は協議をすることができないときは,家庭裁判所が,同項の事項を定める。
3項 家庭裁判所は,必要があると認めるときは,前二項の規定による定めを変更し,その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4項 前三項の規定によっては,監護の範囲外では,父母の権利義務に変更を生じない。」
(イ) 民法766条は,父母が離婚前でも類推適用されると解釈されている。
(ウ) 民法766条は,「子の監護について定める」際には「子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」と規定している。とすると,一方親による子の連れ去り(引き離し)が,親の子に対する基本的人権を侵害する行為であるだけでなく,子が両親と同じように触れ合いながら成長する権利を侵害するという意味において,「子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」とした法の趣旨に反することは明白である。
それにもかかわらず,日本の民事法では,一方親による子の連れ去り(引き離し)を行った者が,民法766条の適用上不利な扱いを受ける制裁規定は設けられていないのである。一方親による子の連れ去り(引き離し)を防ぐためには,それを民事上許されないとした上で,それを行った者への制裁を与える規定を設けることが必要であることが明白であるのに,そのような趣旨の規定は設けられていないのである。
ウ 同様に,民法819条は離婚後に両親のいずれかが子の親権者となる内容の親権制度を定めている。
しかしながら,一方親による子の連れ去り(引き離し)が,子が両親と同じように触れ合いながら成長する権利を侵害するという意味において,「子の利益を最も優先して考慮しなければならない。」とした法(民法766条)の趣旨に反することは明白であるにもかかわらず,日本の民事法では,一方親による子の連れ去り(引き離し)を行った者が,離婚後の子の親権者の決定に際して不利な扱いを受ける制裁規定は設けられていないのである。一方親による子の連れ去り(引き離し)を防ぐためには,それを民事上許されないとした上で,それを行った者への制裁を与える規定を設けることが必要であることが明白であるのに,そのような趣旨の規定は設けられていないのである。

民法766条や819条から,連れ去りに対する制裁規定がないという指摘

エ フランスの法律制度について
この点に関し,フランスの法律制度では,両親の一方が他方の親に転居を知らせることなく,子を連れ去れば,その後の親権行使の態様の裁判官による裁定の際に不利になることがある。なぜなら,他方の親と子の関係を尊重できない親は,親としての適性(民法典373-2-11条3号)に欠けると判断されるからである。
それは,子を勝手に連れ去った親に対する,刑事罰とは別の民事上の制裁であるとされている(一般財団法人比較法研究センター「平成26年度法務省委託 各国の離婚後の親権制度に関する調査研究業務報告書」栗林佳代「フランスの親権制度―両親の離別後の親権行使を中心として」(2014年)38頁,43頁(甲17))。
このフランスの法律制度においては,親による連れ去り(引き離し)が発生することが予防される効果があることは明白である。

フランスでは,親権者の適格性としてマイナスよ

オ 日本の法律制度への指摘について令和元年11月14日の参議院法務委員会において,嘉田由紀子議員が,親権を付与する基準が法的にないことの問題を指摘された。そして嘉田由紀子議員は,基準なしに裁判所が原則ではない継続性の原則を適用するため,強制的に連れ去りをして実態を作っていると指摘された。議事録における以下の内容である(甲18)。
「〇嘉田由紀子君 ・・既に法律に,民法の八百十九条には,離婚後は単独親権という規定があるわけです。その規定を変える必要があるだろうことを私どもは申し上げておるわけです。
しかも,単独親権でありながら,親権を付与する基準が法的にございません。例えば,アメリカのニューヨーク州などでは子供を養育する親の能力やあるいは親の心身の健康状態,そこに親のお互いに協力し合う能力,フレンドリーペアレントルールというようなものがございます。これはフランスあるいはドイツでもございますけれども,この辺りの基準なしに単独親権というものがある。そうすると,法の実務,裁判所の現場ではどうなるかというと,実は継続性の原則,これは全くルールとして原則ではないんですけれども,法の実務上,継続性の原則というところで,例えば強制的に連れ去りをしたりというところから実態をつくっていくということが起きているわけでございます。」
この嘉田由紀子議員の指摘は,民法819条が定める離婚後の親権制度において,一方親が子を連れ去った(引き離した)場合には,制裁規定は設けられていないこと,一方親による子の連れ去り(引き離し)を防ぐためには,それを許されないとした上で,行った者への制裁を与える民事法上の規定を設けることが必要であることの根拠となるものである。嘉田由紀子議員が指摘されているアメリカのニューヨーク州における「フレンドリーペアレントルール」を参考にすると,「一方親の同意なく子の連れ去り(引き離し)を行った親は,フレンドリーペアレントルールを守る意思がないのであるから,親権者としては不適格である。」という基準を日本の民法に設けるべきであることを示唆する内容である。

フレンドリーペアレントルールがヒントになるという指摘

さあ

3つめ

(4) 子の連れ去り(引き離し)を防ぐ手続規定の不存在について(法の欠缺3について)

手続の欠落

ア 『論点体系 判例民法9 親族』(第一法規,第2版,平成25年)384頁(甲19)においては,民法818条3項が規定する夫婦の共同親権の解説として「親権行使について父母の意見が一致しない場合の取り得る手続きについては、現行法は何も規定しておらず、立法の不備であると指摘されている。」と記載されている。
イ また,大村敦志『家族法』(有斐閣,第3版,2010年)102頁(甲20)においても,民法818条3項が規定する夫婦の共同親権の解説として,「(イ)親権行使の方法 それでは,このような親権を現実に行使するのは誰か。嫡出子の場合には,父母の婚姻中は,父母が共同して親権を行使するのが原則である(民法818条3項)。ただし,共同行使ができない場合には単独行使が許される(同項但書)。民法は,父母の意見が一致しない場合の取扱いについては沈黙している。
諸外国の法では,このような場合に対応するための規定を置いている例が多い(フランスやドイツでは最終的には裁判所の決定にゆだねている)。日本でも,立法論としては規定を置くことが必要だといわれている。」と記載されている。
ウ つまり,現行の民法818条3項は,「親権は,父母の婚姻中は,父母が共同して行う。」と規定する一方で,その共同して行うこととされている親権行使について,父母の意見が一致しない場合の手続規定を,何も設けていないのである(「法の欠缺3」)。
仮に,その手続規定が設けられていれば,子の連れ去り(引き離し)が発生しても,手続規定により問題が解決されることになる。その結果,子の連れ去り(引き離し)を行う意味は失われるため,それを防ぐことができるのである。


刑事的にも民事的にも違法とならず,また手続規定もない

連れ去り天国なわけが見えてきた!

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