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法制審家族法制部会第9回議事録13~赤石委員・窪田委員・原田委員・池田委員・石綿幹事

先日から話題の件については検証予定 でも議事録読んでいく

自分で養育費調停を申し立てよう!っていう流れ?

養育費は愛情

そんな折に、児相に対する国賠請求認容の報道

時代が変わっていくのかも
議事録の議論はどうなる?

○赤石委員 

ありがとうございます。この養子縁組の話に余り付いていけていないのですが,1点少し気になっているので,申し上げます。13ページ,第4の6のところです。連れ子養子縁組をしたい場合における親権者の配偶者による子の養育です。
 社会保障分野でどんなことが行われているかというのを少しだけお伝えしたいと思います。児童扶養手当法上は今は,父から養育されていない子どもがいる家庭に対して児童扶養手当が出ており,2010年から,それが父ではなくて母も適用されて,要するに1人の方で扶養されている場合には児童扶養手当が出るというような形になっており,そして,子どもが親の配偶者から扶養されている場合には支給停止になるというふうになっています。その配偶者というのは事実上の配偶者でも支給停止になるので,その事実婚の規定が非常に広いということは私どもは結構問題にはしているのですけれども,同居親だけではなくて,頻繁にかつ定期的な仕送りがあるですとか,社会的に事実婚として認められるような場合には,その支給を停止するという規定が生きております。なので,社会保障分野では扶養されるのは当然ですよねという概念がもう何十年も続いています。
 それから,年金の方なのですけれども,遺族年金法も死別の方には基礎年金あるいは厚生年金が出ることが多いわけですけれども,その場合も,子ども加算とかが付いているのですけれども,それも親が再婚した場合には支給停止となります。その後,離婚しても復活しないので,その矛盾にすごく嘆いている方もいらっしゃるわけです。もう配偶者がいなくなっても復活しないのです。 
 だから,社会保障分野では扶養するのが当然ですよねという想定でいろいろなものが組み立てられているということを6番に関してお伝えしておいた方がいいかと思いました。これがいいのかどうかってすごく難しいのですけれども,やはり社会的には不正受給ではないかみたいな議論があるので,非常に拡張した,親の配偶者からは扶養されているのが当然ですよねという適用がされています。厚労省さん,きっと聞いていらっしゃると思うので,もし私の言っていることが間違っていたら補足してください。お願いします。

○大村部会長 ありがとうございます。13ページの⑥について,親権者の配偶者による子の扶養を民法上何らかの形で規律しよう方向の御意見が出ていますけれども,社会保障給付の世界ではそれは前提にされているのではないか,そうだとしたら,それについてどう考えるかは別にして,事実としてそうであるということを踏まえた形で民法の方の規定を考える必要があるだろうという御指摘を頂いたというかと思います。赤石委員,違っていますか。

○赤石委員 

 そうであるか,民法がこうであると言ってくれたら社会保障給付の方は違う規律を設ける,何しろ穴が落ちてはいけないわけですので,そこは連動しなければいけないと思います。

この辺りの問題提起を応援したい

○大村部会長 いずれにしても,社会保障給付が現状を踏まえた上で,民法の規定をどうするかということを考えるべきだという御意見だと受け止めてよろしいですか。

○赤石委員 はい。
○大村部会長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 部会資料9-1の第4から第6について御意見を頂いてきました。前の問題についての議論の際に,最後に窪田委員や棚村委員から御意見がありましたけれども,今こういう形で資料が出ておりますが,2読で議論するときにどういう形で問題を絞り込むのかということについては,第4から第6について頂いた御意見も併せて,事務当局の方で更に御検討いただくということにさせていただきたいと思います。

 それで,予定した時間まであと30分ほどですが,ここで休憩しないで続けて,残りについて御意見を頂くということでよろしいでしょうか。よろしければ続けさせていただきたいと思います。最後まで行けるかどうか分かりませんが,残っている第7及び第8について御意見を頂ければと思います。離縁に係る問題で,先ほど水野委員からも御発言があったところにも関わる問題です。どなたからでも結構です。

○窪田委員

 窪田でございます。小さな点ですし,あるいは,今頃こんなことを言い出すなということで怒られてしまいそうなのですが,第8の特別養子縁組の離縁に関する規律について,どうしても気になっている部分がありますので,発言させていただきたいと思います。
 特別養子については,もう法改正も終わったところですので,見直しというのは難しいのかもしれませんが,私自身が大変に疑問に感じておりますのは,18ページのところで現行法の条文が上がっており,民法817条の10の1項第2号,実父母が相当な監護をすることができることという要件が上がっております。特別養子制度の改正においては,基本的には養子となる者の年齢というのはずっと引き上げられて,6歳だったのが15歳まで上がって,そして,場合によっては特別の事情があれば,それ以降でも行けるとなりました。一方で成年年齢の引下げがありますので,18歳が成年年齢になる。この現行法の817条の10というのは,2号があって,実父母が相当の監護をすることができること,ということが置かれている以上は,未成年の間にしか離縁はできないとされています。6歳までのケースであれば,その後,実父母の状況が変わって,監護ができる状況になるということもあるのかもしれませんが,むしろ1号にあるような虐待だとか悪意の遺棄だとか,こうした事情があって,そもそも特別養子縁組が成立している。実母との関係でそういうふうな状況があって,成立している。にもかかわらず,仮に特別養子の方で養親によってこういうふうな事態があった場合には,実父母が相当の監護をすることができる場合にだけ離縁できますよというのは,何かやはりもうルールとしては破綻しているのではないかという気がいたします。
 以前からもそうだったのかもしれませんが,特に養子となる年齢が引き上げられたこと,成年年齢が引き下げられたことによって,この部分が持っている意味,問題点というのはかなり大きくなったのではないかと思います。人の名前を勝手に出して恐縮ですが,恐らくこの点は特別養子の法改正のときの法制審議会で久保野幹事が発言されていた点であったとも思うのですが,何とか今回,見直してもらえたらなというのが素直な気持ちでおります。

○大村部会長 ありがとうございます。第8の特別養子縁組の離縁について,現行の817条の10の1項2号の要件が適切ではないのではないかという御指摘を頂きました。この資料では,この第8については課題ということで,成年に達した後に離縁を認めるという規律を導入してはどうかということが提案されておりまして,窪田委員が今御指摘になった,現状では15歳から18歳までしか養育されないというケースもあるということを踏まえると,今の御提案は,この課題と併せて検討する必要があるのかと思って伺っておりました。ありがとうございます。

 そのほかはいかがでございましょうか。

○原田委員

 余り御意見がないようですので,簡単に。17ページの家裁の許可の件は,先ほどの連れ子養子の場合の養子縁組の家裁の許可と同じような理由で,連れ子養子の場合は別に考えてもいいのではないかと思っています。それから,18ページの離縁の訴えを提起することができる者の範囲の問題で,どの範囲まで考えるかということがあると思うのですけれども,先ほどの,要するに,連れ子養子の場合に実親の同意あるいは関与が要るというものと裏腹で,またそういう方たちの申立てもあり得るということもあるので,ここの範囲についてはかなり慎重に,あるいはどういう場合だったら認めるのかというようなことも慎重に考えた方がいいのではないかと思っています。

○大村部会長 ありがとうございます。第7について御指摘を頂きました。17ページの,養子が未成年の場合における離縁について家裁の許可を得なければならないとする規律について,連れ子養子の場合については別途考える必要があるのではないかという御指摘を頂きましたが,原則としてはこの提案に賛成という御趣旨でしょうか

○原田委員 そうですね,はい。
○大村部会長 分かりました。その上で連れ子養子については別途考える必要があるという御意見として承りました。それから,18ページの課題の方については,これは慎重に考える必要があるのではないかという御意見を頂戴いたしました。

  ほかにはいかがでございましょうか。

○池田委員 

 弁護士の池田です。18ページの(2)の課題のところについて意見を申し上げたいと思います。意見といいましても,私自身は少し迷っているところで,日弁連での議論で両論あったところを御紹介したいと思います。これは,恐らく養子が養親から虐待を受けているようなケースが想定されると思うのですけれども,その場合には親権制限の制度が既にあって,一定の親族ですとか児童相談所長がこの親権制限の申立てができるとなっていますので,更にそれを超えて養子縁組自体を解消する手段を与えるのかどうかというところの話かと思いますけれども,第三者が身分関係にまで介入していくというのはやや過剰ではないかという消極的な意見がありました。他方で,親権制限事由には至らないけれども養親子関係が非常に悪化しているというような場合には,親権制限が用いられないわけです。子どもが幼い場合などを考えますと,自ら離縁の申立てをするというのもなかなか期待できないということを考えれば,一定の範囲で別の者に申立権を付与するという合理性もあるのはあるのではないかという意見もあったところです。

○大村部会長 ありがとうございます。18ページの,先ほど慎重にという御意見があった点につきまして,賛否両論あり得るということで,その根拠と併せて御披露を頂いたと思います。

○石綿幹事 

 石綿です。17ページの(2)について発言させていただきます。まず,未成年の養子の離縁に関して家庭裁判所の許可を経るということは,私は方向性として賛成です。子どもの身分関係に大きな影響を与えることだと思いますので,慎重に判断がなされるべきだと思います。原田委員とは逆に,私はここで連れ子養子縁組も含めるべきではないかと思います。恐らく原田委員は,不許可になって離縁が認められなくて,空虚な法律上の親子関係が続くことがかえって子どもの利益にならないのではないかといったようなことをお考えかと思います。そのような側面はあるかもしれませんが,ここで家裁の許可が離縁に必要だとすることによって,未成年養子縁組というのはそれぐらい重要な,一度形成すると容易には壊せない制度なのだ,婚姻と連動して離婚したらすぐ離縁もできるものではないのだということを当事者の方々に認識していただいて,それを踏まえて,自分たちの家族の形に合わせ,子どもの養育のために養子縁組をそれでもするのか,あるいはほかの方法を考えていくのかといったようなことを検討していただくことが,結果として子どもの利益になるのではないかと考えるのがその理由です。したがいまして,氏の変更とか,養子縁組をしなかった場合の配偶者の子どもの養育の関与の在り方など,様々な制度と連動して最終的には結論が出てくるかと思いますが,現段階としては全ての場合に家裁の許可を必要とするという方向性で考えていければと思っております。

○大村部会長 ありがとうございます。17ページの課題のところについて,例外を設けずにこの規律を設けるというのがむしろ,よいのではないかという御意見を頂きました。

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弁護士古賀礼子
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