毒々しい #連れ去り 後の世界
連れ去るとどうなるか、知っていたら、連れ去ろうとする人は多少躊躇するようになるかもしれないと期待する。それほどの毒々しさがある。
どんな理由で連れ去るのかは問わない。
連れ去るとどうなるか。
連れ去ったあと何もしていない状態かもしれない。
自分で、調停を申し立てたところかもしれない。
弁護士に依頼をして受任通知を送ってもらうところかもしれない。
連れ去り後、離婚を求め、また離婚が成立するまでの生活費を請求しようと能動的な行動の準備は想定していたとしても、では、裁判所から呼び出しを受けることは覚悟しているだろうか。
こちらのペースで進めようとしていた矢先に、監護者指定・子の引渡審判事件、その保全の呼び出しを受ける。相手方欄に、自身の名が記載されている書面を裁判所から受け取る。
その書面には、自分が描いていたストーリーとは全く違う景色が表現されている。
子どもの奪い合いになるのだろうか。子どもと一緒にいれなくなるのだろうか。不安が募ることだろう。
弁護士費用は、法律事務所ごとに自由ではあるが、法テラスの扶助を受けて、離婚と婚姻費用事件の2つを依頼しているつもりが、相手方となった事件も追加で依頼しなければならないことになることもある。元々低価格に設定されがちな法テラスの扶助金額だから、事件が増えた分だけ、弁護士費用が増額することを弁護士は厭わないかもしれない。ようやく、適正な報酬に相当すると考える場合もある。
これが、長い長い裁判所通いの始まりになっていく。
連れ去った子どもを戻すべし、というだけではなく、面会交流も要望され、その事件も追加されるかもしれない。
ただ、面会交流は調停に付すことが多いので、申立てておいた離婚調停と婚姻費用調停とまとめられていく。
いくつかの委任状を提出して、ようやく期日を迎えたとき、調停で、離婚に向けて協議しようと思っても、ほとんど面会交流の実現に向けて、面会交流の大切さ、定期的・継続的に実施していくための説得が開始していく。離婚の話をしたかったのに。。。協議が全く実現せず、出口の見えないトンネルに入り込んでいく。
現在単独親権の日本とて(だからこそ、でもある)、婚姻中共同親権だからとも限らないが、子には両親がいて、父と母双方が親だからこそ、こうした手続きが発動しうるのだ。
事実婚の場合も、手続きこそアレンジはされるが、親には、父と母がいるという揺らぎない自然的状態を前提に、「協議」という状況にはまっていく。
断絶をよしとしたくても、相手もよしとする単独親権脳の合意に至らなければ、裁判所通いが数年にわたって続くことになるだろう。
#単独親権脳 での合意があれば、よいのか、というと、それは、過酷なワンオペ育児と養育費未払いといった貧困リスクが高まってしまう。
いかに、父母が協力しあえるよう、関係を再構築するかが、経済の成長・発展段階を過ぎた成熟社会で生き延びるために不可欠な知恵であるが、連れ去りがあると、そのスタートでつまづくことになる。
連れ去って、連絡先を隠し、居所不明、支援措置によって、知られないようにすればいいのか、と思うかもしれない。
だが、破綻主義ではない離婚制度が残る日本では、一方的に離婚するには、裁判所の理由が欠かせないため、裁判所に申し立てをすることになる。申立前でも、住民票開示を制限する支援措置は、裁判所には働かないから、連れ去り後行方がわからなくなったならば、なおさら、監護者指定・子の引渡、その保全手続きの申し立てを誘引する。
連絡手段がないからこそ、裁判所に申し立て、居所秘匿の事情を説明することで、裁判所自ら住民票を取得して、事件を受理し呼出をしていく。
以前の裁判所であれば、「住所がわからない相手には何もできませんよ~」となっていたところだ。ずいぶん、サービスがよくなったともいえる。
連れ去ったらどうなるか。
裁判をする、ではなく、裁判を起こされかねない、ということ。
この情報社会で、親権制度について何も知らなかった一般人が、当事者になることで、声を見つけてしまうこと。
この引き金を引くのが連れ去りである。
それでも、どうしても、連れ去りが必要というのであれば、どういう進め方があるか、早期解決方法というのもありえる。だが、常に選べる方法とも限らず、失敗をすると、高葛藤・長期化の事態を引き起こしかねないので、ぜひ、慎重に、冷静に、選択肢を見極めたい。
離婚がよぎったとき、果たして、どれくらいのスパンで解決するつもりか、考えているだろうか。
子どもが子どもの時間は意外に短い。
人生をも左右しかねない影響を及ぼしかねない大切な時期をどう過ごすか。
衝動的に行動するにはあまりにも喪失が大きなものになりかねない。
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