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RKスクール②離婚裁判の闘い方

離婚事件を広く扱ってきているものの、やはり対応が多いのは、離婚を請求する離婚訴訟における被告の依頼をうける訴訟代理人活動

もちろん、なんだかんだと調停が成立して解決することもある

離婚訴訟に移行しても、和解で解決することもある

とはいえ、離婚請求に対して、全うに闘っていくことのニーズもあるので、開拓すべく、本シリーズを用意している

これまでの、離婚訴訟の対応では何が問題だったのか?

第1.原告の離婚請求の構造を分析する

請求の趣旨としては、1.原告と被告は離婚する 2.親権者を原告に指定する 3.被告は養育費として、~まで、○円ずつ支払え 4.財産分与 5.慰謝料 6.年金分割 7.訴訟費用、な具合だろう

1.離婚請求

これについては、多くは、民法770条1項5号「婚姻が継続し難い事由」の存在を根拠とした離婚請求であり、1号不貞2号悪意の遺棄3号3年以上の生死不明4号回復の見込みがない精神病といった法定離婚事由と呼ばれる各項目が挙げられているものの、あまりお見かけしない

不貞が明らかだと、かえって、離婚裁判に至らないからかもしれない

この5号の争い方は実際難しい

でっちあげだ、虚偽だ、と反発したくなるほどの具体的エピソードを並べられ、感情的になるのも自然だし、冷静に証拠に基いて反論が成功しても、だ

原告主張の離婚事由の不存在の主張立証に成功したとしても、それでも、やっぱり夫婦は破綻しているよね、ってなれば、やっぱり離婚事由あり、なのである

一生懸命、原告の主張を覆そうとすればするほど、意見の対立は深まっていく

離婚請求をする原告からしたら、たとえ虚偽に近く誇張した事実の主張をしたとしても、その主張が事実として認定されれば離婚請求認容、事実として認定されなくても、意見対立が激しい様子からはやはり破綻していて夫婦関係の修復は不可能だから離婚請求認容、という具合に、負けのない戦術になる

被告としては、原告主張の離婚事由の不存在だけでは勝てない、負け戦である

その上、そもそもは見解の異なる言いがかりを受け、気分が悪い

離婚請求をしてくるような悪感情の相手に、離婚しないというスタンスで闘うにも気持ちが続かない

挑発されれば、すでに愛が冷めているのもあって、離婚自体は受け入れようという判断もある

そうすると、さらに裁判所の離婚事由存否の判断が緩む

お互いに離婚したがっている、それ自体が破綻だ、と原告の離婚請求について有利に傾いていく

2.その他の請求

離婚する以上、その後の判断として必要な親権者の指定については、よっぽどひどくなければ、現状維持でよしとする傾向にある

別居しても親子であることは、面会交流の問題だから、離婚裁判では附帯処分の申立てもなければ判断する必要さえないから考慮しない

親権者を現状維持で決めた上で、あとは別途調停手続きの中で面会交流の問題として解決すればいい、としていく

残りの、慰謝料、養育費、財産分与、年金分割は、いずれも、お金の問題であり、よくも悪くも割り切れる・・・裁判所が得意ともいえる

資料収集に時間がかかるが、とにかく解決策が出せるのが財産分与だし、慰謝料は、さすがに、原告主張の離婚事由が否定されれば肯定しにくいのかもしれないが、あっさり請求棄却でもいいから、一応「解決」はできてしまう

そうやって、離婚判決が量産されていく

およそ、離婚訴訟を提起する時点で、離婚意思は相当に固いものになるわけで、客観的に正当かはともかく、お互いの情愛という関係性自体が壊れているのが明瞭で、離婚事由の存在が肯定されやすい構造にあるのが、実情である

第2.法廷で愛を叫ぼう

結論として、被告にとって、唯一の有効な戦法が、愛を貫くことになる

一生添い遂げる、そういう覚悟をもって結婚したのだ、という信念を示す

意外に、これが本当に難しい

愛してくれる相手だから愛おしいのであって、強烈な嫌悪を突きつけてくる相手に、それでも、愛を示す

子どもたちはもちろん愛おしい

そんな子どもたちの親だから、という尊重にとどまらず、愛と寛容を示すという、無理難題に挑む闘いをしなければならない

寛容を競い合う

それが、離婚事由の存在を否定できない状況になって、親権者の指定をしなければならないときにおいてさえ、ただの現状維持の結論に終わる運用を改める契機になるかもしれない

これまで現状維持判決が多かったのは、お互いに親権の主張をし合うことで、罵り、誹謗中傷しあう悲劇的な展開の中で、父母のどっちにしても、片親を失いそうな高葛藤状態で、無理に子を引き渡すというような判断をするわけもなく

せめて現状を追認するしかないというオチが待っていたのだと思う

そうした構造を固めてしまってきた歴史があるのも、弁護士不足・弁護士偏在の問題があるように思う

単独親権制が温存する割に、破綻主義だけが実態として浸透していってしまった

単独親権制と破綻主義のセットが、子の最善の利益の確保と相反する

単独親権制であるならば、有責主義を厳密に全うする必要がある

子どものために離婚はしない

単独親権制を撤廃させたくするためにも、離婚請求を争っていく意義がある

しかし辛い

愛していないものを愛そうとするのはおよそ難しい

そこに不幸がある可能性もある

愛は終わったのだ


恐れずに、そこに向き合い一歩前進していくことの意味があるかもしれない

破綻主義を受け入れるからこそ、寛容が実現するのかもしれない

単独親権制下の離婚訴訟の攻略方法は、ハードモードだけど、たしかな戦術によって、ひょっとするかもしれない

最近の離婚訴訟の手応えを感じている

受理機関と言われる裁判所も、実は苦しんでいたのかもしれない

父母の離婚紛争で、子どもに迷惑をかけるようなことだけはしたくない

裁判官のメッセージ総括

それを叶えるための訴訟活動をサポートする代理人活動が求められているように思う

当事者の学びも有用である

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弁護士古賀礼子
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