しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。ありがとうございます。①から④までを一般的な解釈をできる規定にするという方向性について、私は法律家でないので、かなり想像が難しく、とはいえ今の議論を聞いていても、ある程度は抽象的なものになっていた方がいいのだろうということは容易に想像できますので、基本的には賛成です。ここに来て初めて窪田委員の扶養と養育という言葉を変えることについての御提案を聞いたので、今必死に考えているわけですが、パブリック・コメントの意見などを見ていますと、また、今まで規定がないものを入れるということでは、扶養という言葉の方に私の意見は今、傾いております。
その上で、②ですかね、子の利益、この言葉をワーディングするというような話になっているのですが、子の最善の利益ではなく子の利益とするところはどんな理由なのかというのは、少し想像がまだできかねるところです。
あと、つらつらと児童の権利に関する条約のこととかを考えていて最近思っていることは、子の利益というところにいろいろなことがあるわけですよね、意見表明権ですとか親子交流の権利とかももちろん位置付けられておりますし、いろいろな権利があるのですけれども、どなたかが少し書いていらした、パブリック・コメントの意見であったかもしれないのですけれども、子の利益といったときにやはり階層がある、これは考え方として少し置いておいた方がいいなと思うので、条文に入れてくださいということではないのですが、まずは生存が保障され、そして安心・安全が保障され、その後に社会的な承認とか交流とかそういったものがあるというふうに、やはり子の利益というものには階層があるのではないか、マズローの欲求階層説ではないですけれども、これがごちゃごちゃになって順番を優先されると非常に議論がおかしくなると思っておりまして、安心・安全というところが、各国の親子法の中の改正論議の中でも結構この頃、オーストラリア、それから英国司法省の提案や、カナダ、スイスですかね、そういうところで安心・安全というのをすごく重視されてきている方向があると聞いているので、ここでその言葉を入れるかどうかはともかく、解釈としてやはりこどもの安心・安全というものが何かきちんと観念されるといいなとは思ったところです。
あと、意見の尊重というのはやはりものすごく大切で、ヒアリングでもいろいろなお子さんの立場の方に聴いたときに、やはりこどもの意見が聴いてもらえなかったときに非常に?奪感というか、非常につらいお気持ちになったという御発言もありましたし、また、暴力を受けた方の意見の中でも、とはいえ御自身で決めて父親と会う決心をしたことによって、ある種、それに関しては自分で決められたということで、よかったと思っているということや、とはいえ御兄弟でも意見は違うというような、非常にこどもの意見ということを、その言葉はともかく、尊重されるというのは、非常に大きなこどもたちにとってのよい状況だと思うということはあるかと思うのですが、子の年齢及び発達の程度に応じて配慮するものを何とワーディングするかとかいうのは、本当に水野先生の意見もありつつも、やはり何か基盤はあった方がいいと思います。
これは言わずもがななのですけれども、落合委員の社会的な支援についてのお気持ちもすごくよく分かります。ヒアリングの中でも、お子さんが非常にスクールカウンセラーに救われたという話を少しだけ出してくれたと思うのですが、私も後で聞いているのですけれども、毎日スクールカウンセラーは彼の意見をずっと小学校のとき、聴いていたのですね。それは今の学校の中でなかなかないことなのですけれども、彼はそこに第三者に支えられて、もう家は荒れ狂っているわけですから、お父さんの暴力もあったので、そういうことをどう担保するかというのは、この法律では難しいのかもしれないけれども、支援制度として考えたときにはものすごく大事なことになるということは、一言お伝えしたかったです。
生活保持義務をどこまでにするのかというのは、あれなのですけれども、今の奨学金制度とか生活保護を活用すればいいのではないか、みたいな御意見があったように見受けられ、非常に残念に思いました。私どもはこの新入学時期にひとり親のお子さんに入学金のお祝い金を、小学校2万5,000円、中学3万円、高校6万円、大学等5万円で、総額2,380人に1億321万円をこの間、御支援しました。一団体としては精一杯の支援でございます。それがなければひとり親の方たちは進学すら成り立たないところに追いやられている中で、奨学金や何かがあればいいのではないかというような御意見にはすごく残念な思いをしております。とはいえ、ここで書き込めることはそれほどはないということも理解しております。
1点気になることをお伝えしたいと思います。7ページですかね、これはおまとめのときにお願いなのですけれども、5行目、忠誠葛藤や片親疎外などの影響など、幾つかのところにこの片親疎外という言葉が、かぎ括弧付きでもなく留保付きでもなく、出てきておりますが、これからのおまとめのときにはかぎ括弧を付けるなり(注)を付けるなりしていただきたいと思います。ヒアリングでも渡辺久子乳幼児精神医学会の先生が、これはもう概念としては成り立たないのだということを言っておられて、いろいろな学会でも否定されており、片親疎外症候群はアメリカの精神医学会の中でも入っていない言葉でございます。そこを踏まえた御対応をお願いします。
○大村部会長 ありがとうございます。赤石委員からは、全体の方向としてはこれでよいのではないかという前提で、扶養、養育については扶養を支持したい、それから、子の意思については御懸念もあるけれども、何かの形でやはり書き込んだ方がいいのではないか、さらに、子の利益については、書けるかどうかは別にして、利益といってもいろいろなものがあるということについての認識を深める必要があるといった御指摘を頂きました。それから、立法そのものの問題ではありませんけれども、補足説明での用語法について御注意を頂いたと理解をいたしました。